関 真理先生(日本乳癌学会認定 乳腺専門医)にインタビュー
「日本乳癌学会認定 乳腺専門医」が検査を担当。小さな異変も見逃しません
診療では、乳腺疾患だけでなく、甲状腺疾患の診断・治療にも力を入れています。これまで大学病院などで甲状腺疾患に携わってきた経験から、甲状腺がんなどの早期発見にも力を入れており、地域の方々に意欲的に検診を受けていただけるよう、検査の重要性についてお伝えしています。そのほかにも、地域のかかりつけの医院として、生活習慣病のコントロール管理をはじめ、何かを見つけた場合、大学病院に速やかに紹介するなど、プライマリ診断にも力を注いでいます。
当然私だけでなく、放射線技師や看護師、受付スタッフなどの力も必要ですので、チーム一丸となり地域の患者さまをサポートして行けるよう、院内での知識の共有や指導にも力を入れています。
当院の乳がん検査は、マンモグラフィとエコーを使って調べます。年齢などによるお身体の特徴も考慮しながら、検査を使い分けています。例えば、乳腺濃度が高い傾向にある20代や30代などの若い方の場合、マンモグラフィで確認すると、画像の影が多く十分な情報を得られないので、そういう方には形状を見ることができるエコーを優先的に使用しています。
検査には責任を持ち、見逃しがないよう細心の注意を払っております。当院では放射線技師を配置し、検査結果をダブルチェックしたり、必要に応じて他の医療機関と連携して複数の検査ツールを用いたりしながら、見落としのない検査体制を整えています。
紹介先の病院は、アクセス面や、その病院での手術待ち患者さまの数なども考慮しながら、一緒に決めるようにしています。がんは、しこりをはじめ、痛みや乳頭部からの異常な分泌物などがきっかけで受診される方もいらっしゃいますが、早期発見するには、1年に一度の検診が何よりも重要だとお考えください。
当院でも、久米郡美咲町の乳がん検診をおこない、若い方からご年配の方までの早期発見に努めています。医師も含め、放射線技師や看護師は女性を配置し、女性のプライバシーに配慮した環境で実施しています。自覚症状の有無にかかわらず、定期検診を心がけていただきたいですね。
他の主訴であったとしても、甲状腺疾患を鑑別できる診断力
私はプライマリ・ケアを意識してあらゆる疾患を診ているからこそ、他のお悩みで来た患者さまでも甲状腺疾患があれば、それを見つけることができるのが強みだと思っています。首の腫れやしこりで見つかることもありますが、乳腺と同様、何よりも定期的な検診が重要です。周りの方もしくは、健診で異常が指摘された時には自覚症状の有無に関わらず、早めの受診を心がけてください。
現在、ご来院いただいている幅広い世代の患者さまを大事にしながら、さらに私やスタッフの専門分野も活かせるよう、乳腺疾患に悩む方々にも、受診しやすい医院として広げていくつもりです。
診察からはじまり、手術、その後は再発させないための治療をし、万が一再発した時には、また同じ医師が診察をして再度治療をします。そして、たとえ緩和ケアや終末期医療が必要な段階になっても、引き続き同じ医師がその患者さまを担当し、診療をするんです。このように、勤務医時代から、最初から最後まで一人の患者さまと向き合うという経験を積めたことはとても大きな財産だと思っています。
あらゆる診療を通して、患者さまお一人おひとりと最後まで寄り添って関わらせてもらった経験は大変印象深く、医師として、また一人の人間としても勉強になる部分が多かったです。今の元気な状態が続くとはかぎりません。いつかは誰もが死を迎えますが、悔いがない人生にしてあげたいと思い、日々診療にあたっています。
乳腺外科の医師として地域に尽力できるよう、設備や医療体制を強化
私が院長になる頃には、自身の専門分野である乳腺外科の医療も十分に提供できるように、機器の導入や放射線技師の採用などもおこなってきました。
祖父や父が診療していた時代は、消化器の診療がメインでしたが、これからは乳腺外科の医院としても皆さまに受診してもらえるようにと、スタッフみんなで一丸となって頑張ってきました。今後は、地域のかかりつけの医師としての役割を担いつつ、専門分野である乳腺に関するお悩みも、気兼ねなくご相談いただける医院を目指していきたいです。
例えば、定期的なお薬のフォローで健康管理ができる患者さまであれば、ゆっくり患者さまがお話しできる医院側で受け持つことで、大学病院側は手術などに集中することができ、患者さまのご負担軽減にもつながると考えています。
大学病院は大学病院の、医院には医院それぞれの役割が発揮できる病診連携をおこない、患者さまのニーズに添える医療提供で、地域の皆さまを支えて行ければと思います。
将来的には、幼い頃から乳がんなどを勉強する機会をつくり、命の大切さに気付けるような社会になって行くことを願っています。お子さま発信でご家族皆さまに命の尊さが伝えられるようになれば、定期検診の受診率が上がり、より長く命をつないで行けるのではないでしょうか。
しこりというと、悪性のがんをイメージしてしまうかもしれませんが、決してそうではなく良性のしこりもあります。まずは、電話でのご相談からでも構いませんので、もっと気兼ねなくご相談いただきたいですね。
「日本乳癌学会認定 乳腺専門医」として、悩んでいる方がお一人でも少なくなるよう、今後も頑張っていきたいと思います。