早川 潤先生(日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)にインタビュー
分娩・手術・研究とハードな日々を送ってきた経験が、今に生かされている
産婦人科の医師になったのは、先代が産婦人科の医師をしていたという理由もありますが、それ以上に内科から外科まで女性の人生全般をサポートできる点に魅力を感じたからです。親族から産婦人科についての話を聞いたり、助言をもらったりしたことでやりがいのある科だと感じ、産婦人科の道に進みました。
また、内分泌研究室というホルモン系の研究室に入り、研究にも励んできました。エストロゲンやがんの研究です。特にがんに関しては、がん細胞の増殖抑制に関する研究に没頭し、アメリカへも留学しました。3年半ほど遺伝子治療部門で研究をしていたのですが、その経験も今に生かされていると感じています。
また、指導してくださった方々の言葉は、今もしっかりと自分の中で生きています。例えば、「テーマを持って生きろ」という言葉ですね。どんなに忙しくても、何か一つ自分の中にテーマを持って仕事に励むことの大切さを教えられました。
培った経験と知識を生かし、幅広い選択肢から一人ひとりに合わせた治療を
私が治療をする際にまず大切にしているのは、ストレスの原因から距離を置くなど、生活に関するアドバイスをすることです。PMSは脳内のホルモンや神経伝達物質の異常が原因とされており、これらはストレスの影響も受けます。そのため、「ハーブティーを飲む」「ヨガをする」「お風呂で体を温める」といった日常生活のアドバイスに力を入れています。
お薬を処方する際は、低用量ピルや安定剤、漢方薬など、複数のお薬の中から患者さまの症状やご希望に合わせてご提案をしています。また、低用量ピルには複数の種類があり、その作用・副作用はそれぞれ異なります。成分の含有量なども考慮しながら、患者さま一人ひとりに合ったお薬をご提案することも大切にしています。
また子宮頸がんは、早期で発見ができれば治療による改善が見込める病気です。「生理ではないのに出血があった」「おりものがいつもと違う気がする」など、普段と異なることがあれば些細なことでも遠慮なくご相談ください。子宮頸がんの予防につながるHPVワクチンの予防接種(※)にも対応しています。
(※)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。各自治体によって公費負担になる場合があります。
例えば、更年期障害の治療法の一つであるホルモン補充療法は、血管の病気や骨粗しょう症の予防にもつながるといわれています。更年期障害の治療をすることが、その後起こりうる病気の予防にもつながりますので、そのような点は丁寧にご説明しています。また、ホルモン治療が合わない方や、抵抗感がある方もいらっしゃいますので、漢方薬やサプリメントなどもご用意しています。患者さまが「嫌だと感じる治療」はできるだけ避けるようにしています。他にも子宮内膜症や子宮筋腫に関しても得意としており、当クリニックで対応していますので、まずはご相談いただければと思います。
丁寧な説明と負担に配慮した治療で、幅広い年代の女性の人生に寄り添う
また、独りよがりな医療にならないよう、副院長とのカンファレンスや、知見を得るための勉強も率先して行うようにしています。知識を偏らせることなく、新しい知識を取り入れ続けていくことが、患者さまへのより良い選択肢の提示にもつながると考えています。
また、低用量ピルをはじめとしたホルモン治療に関しても、抵抗感をお持ちの方が多いのが現状です。ただ、ホルモン剤の種類は年々増えており、副作用が出にくいものや、同じ値段でも成分のバランスが異なるものなどさまざまな種類があります。私は臨床治験や臨床研究をさせていただいていることもあり、そういった成分の作用や、どのような症状・体質の患者さまにどの薬が合うかなどをよく理解しています。そういった細かい点も患者さまに丁寧にご説明することで、正しい理解を広めていくとともに、より多くの女性の方が毎日を快適に送れるようサポートできればと思っています。
「内診に抵抗がある」など、産婦人科に対し行きにくさを感じている方もいらっしゃるかもしれません。「産婦人科の受診のハードルを下げること」は、私がテーマとしていることでもあります。必ずしも内診をするわけではなく、血液検査や超音波検査で診断につなげられる場合もありますので、まずは気兼ねなくご相談ください。
もし、産婦人科では対応が難しい症状や疾患だった場合も、「○○科に行ってください」だけではなく、「この病院のこの先生がいいと思いますよ」というように、不安なく任せられる先生をご紹介いたします。