
権藤 純先生(日本東洋医学会認定 漢方専門医)にインタビュー
不定愁訴でお悩みの患者さまをきっかけに、漢方療法について学びを深める
その時代の漢方薬は、保険適用はされているものの、医学部での講義などもなく、率先して使う医師もあまりいらっしゃいませんでした。そのため、メーカーに足を運んだり、実際に使用している医師にお話を聞いたりすることで、学びを深めてきました。時間はかかりましたが、さまざまなお悩みを抱える患者さまにご提案できる選択肢が増えたことで、より寄り添った診療が可能になったと感じています。
治療をする際は、患者さまの症状やご希望をもとに、柔軟に使い分けるようにしています。西洋薬と漢方薬を併用することや、どちらかだけを処方することも可能ですので、遠慮なくご相談いただければと思います。
漢方薬と西洋薬、それぞれの利点を取り入れ、よりニーズに合った治療を
その不快な症状が、「血の巡り」や「乾燥による熱」など、何で起こっているのかを見極めてお薬を選ぶところが、西洋薬との違いです。「生活習慣の改善やお薬で血糖値は改善しているけれど、つらい症状が残っている」という場合に、ぜひ漢方薬も試してみていただければと思います。
また、症状の一つである「むくみ」に対しても、利水作用のある漢方薬を使うことで改善が見込めます。利水薬の良いところは、「水が足りていないところに、余分な水を持っていく」という考え方で作られているところです。利尿剤のような強い作用はありませんが、その分効きすぎて脱水になってしまうというようなこともなく、穏やかに作用していく点が特長です。
西洋薬にも漢方薬にもいろいろな種類があり、その作用の出方も患者さまによって異なります。「夜眠くならなくて困る」という患者さまには「漢方薬を朝昼にのみ、晩は西洋薬を飲む」といった処方したり、二つの薬を併用することで眠気の作用を打ち消す工夫をしたりといったことも可能です。そのように患者さまの生活背景やニーズに合わせた処方ができることが、東洋医学と西洋医学を融合した医療の利点だと考えています。
診断がつかない症状も「仕方ない」で終わらせることなく、次の一手を考える
また、漢方療法を行う医師としては、そういったことを踏まえながら、慎重に処方をしていかなければならないと思います。特に慢性疾患の場合は長い期間処方することになります。最初の結果だけで判断するのではなく、定期的な検査、患者さまのご様子やお話など、いろいろな角度から経過を観察し、健康をサポートしていきたいと思っています。
私は、「日本東洋医学会認定 漢方専門医」のほかに「日本内科学会認定 総合内科専門医」や「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」「日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医」などの資格も持っていますが、これはこれまでやってきたことの結果であるとともに、裾野を広げることでより多くの患者さまのお悩みにお応えしたいという気持ちからでもあります。資格を持っているからどうこうというわけではありませんが、専門性の幅を広げることで少しでも患者さまのお役に立てればうれしく思います。
当院が、病気や健康について疑問や不安がある際に、それを遠慮なくぶつけていただける場所になれれば幸いです。「ちょっとした悩み事相談」のためにお越しいただけるような、気兼ねなく相談できる存在になれればと思っています。