村上 仁志先生(日本整形外科学会認定 整形外科専門医)にインタビュー
自身が入院・手術を受けた経験を生かし、患者さまの声によく耳を傾ける医師
医学部高学年時に病院実習でさまざまな診療科を経験しましたが、脚を骨折した方が手術やリハビリテーションを終え、元気に歩いて退院していく姿を見られるところ、大きな手術機器や画像装置を用いてダイナミックな手術をするところに魅力を感じたのが、整形外科に特に興味を持ったきっかけです。
このようなカルテ記載は開業医となった現在も続けるようにしています。腰が痛くて来院された方に対して「腰痛」とだけ記すのではなく、患者さまのお話から、痛み方、程度はどれくらいか、日常生活でなにに困っておられるのか、などを具体的に記載することで、その方に合った治療方針を立てることができ、引いては患者さまとの信頼関係を築くことにも役立っていると思っています。
近年、関節リウマチはお薬が奏功し病気が寛解するケースが非常に多くなってきているため、手術が必要となるケースは少なくなってきました。しかし、もし手術治療が必要になった時には「どのような手術なのか」「どのくらいの日数、費用がかかるのか」など不安に感じる方が多くおられます。そのような時に勤務医時代に得た経験と知識を踏まえて、わかりやすく説明して不安を少なくし、紹介先の医療機関でスムーズに治療に入っていただけるというのが私の強みです。
患者さまとの信頼関係を大切に、副作用やホームケアの説明などにも尽力
副作用についての説明にも力を入れていますね。治療を受ける方はもちろん、そのご家族に対しても、「どういう副作用が起きるか」「副作用が起きた際はどのような対応をするか」「副作用があってもこの薬を使用する必要性」などをしっかりとお伝えし、信頼関係を築いたうえで治療に取り組むように努めています。
日常生活での基本的な動作や歩行などの運動機能の改善に向けて、ストレッチ、筋力アップのための訓練、装具治療、小さいお子さんの場合はご両親にストレッチの方法の指導などさまざまなリハビリテーションをマンツーマンで行います。また、北海道や九州など、遠方から来られる方は頻繁に通院できませんから、メールで動画のやり取りをしたり、ご自宅で筋力トレーニング、ストレッチができるように理学療法士が中心となって相談や指導をしています。
当院は1973年の開院当初から多くの二分脊椎症の診療を行っており、幅広い年齢層、さまざまな残存脊椎レベルの患者さまに対して治療しています。
また、二分脊椎症の個々の症状に合った、患者さまの将来を見据えて縦に長い治療を提供するように心掛けています。
看護師・理学療法士と密に連携を取り、患者さまに寄り添った医療を提供
私自身、学生時代にアメリカンフットボールをやっていましたので、我慢できない痛みがあることは理解できますし、整形外科の医師として運動制限、休養の重要性や、復帰までの期間や方法、サポーターなどの使用を含めいろいろな情報をお伝えすることもできます。必要に応じて指導者の方にお手紙を書くなど、スポーツに頑張っている学生さんのサポートにも力を入れています。
このような課題がありますから、私が説明しきれない部分をリハビリテーションの最中に患者さまに説明してくれている理学療法士の存在はとても大きいですね。
医療に携わるということは、時にしんどいと感じることもありますが、患者さまが健康になるための手助けができ、はつらつと帰っていく姿を近くで見ることができるとてもやりがいのある職業です。
今後も理学療法士の受け入れなどで後進への指導を行い、医療従事者としての魅力を発信しつつ、患者さまには看護師・医師・理学療法士が一体となったサポートを提供できる整形外科クリニックとして精進して参りたいと考えています。