
辻 嘉文先生(日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医)にインタビュー
外科として入局後、博士号の取得やアメリカ留学などを経て肛門外科の道に
その後、大阪大学第二外科学教室に入局し、研究のため大学へ戻ったタイミングで血管外科のグループに入ることになり、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症といった疾患を手伝う機会を得られました。それから、博士号を取得後、アメリカのボストンに留学しesearch fellow(研究員)として研究をしておりました。
私のキャリアも外科からのスタートでしたが、入局や留学、勤務医を経て1997年、当院を継ぐ形で戻ってまいりました。まずは副院長として就任後、前院長であった父が引退したため、2002年に私が院長に就任しました。外科として基礎を学びながら痔の治療や肛門の手術に携われた経験は、今に生かされていると思います。
手術を受けるかどうかは、患者さまの意志を尊重していきたい
手術に関しては日帰りで行います。痔の種類にもよりますが、手術の翌日と1~2週間に一度のペースで経過観察を行います。2カ月の間にトータルで4、5回通院していただくイメージです。また、外痔核と内痔核の違いについてもよく質問されるのですが、外痔核は痛みを伴いますが切る必要はなく、お薬で軽減できるのが特徴です。一方、内痔核は減らすことはできても失くすことはできません。こちらは手術を要する場合がありますが、手術するかどうかの決定はご本人の意志を優先にしています。
便秘にもさまざまな種類があり、毎日便があっても便秘ということもあります。週に一度でも便秘ではないこともあるのです。痔は即手術というイメージをお持ちの方もおられますが、実際には手術を行うケースはそう多くないのです。
「この程度なら」と自己判断せず、早めに相談して欲しい
早めに相談に来られる患者さまが増えてきたとお話しましたが、まだ中には「行くのが恥ずかしい」、「この程度なら」と思う方がいるのも事実です。一方、「もっと早く受診すればよかった」という患者さまもおられます。どうか自己判断せず、勇気を持って来院していただければ幸いです。