中田 英之先生(日本東洋医学会認定 漢方専門医)にインタビュー
長くお悩みを抱える方を減らすため、分野を限定せず「つなぐ診療」を提供
例えば、めまいと鼻炎の症状がある方が耳鼻咽喉科や脳神経外科を受診しても原因がわからず、最終的に精神科の受診を勧められるというケースがあります。しかし、そのような方のお話をじっくりと伺ってみると、日々の疲れがたまり体力をかなり消耗している状態で、少し休んだり胃薬を処方したりすれば快方に向かうことがあります。このように、患者さんご本人がどのような生活をしているのか、なぜ不調に至ったかをしっかりと観察し、さまざまな観点をつなげて診断をつけるのが私の診療です。
身体の不調はどこから来ているのか、患者さんが抱える不安の裏に身体の不調はないかなどとエピソードを拾い集め、ご自身の身体になにが起きているのかを説明することを大切にしています。
過去に、統合失調症と診断され20年ほど悩んでいる方の診療をしたことがあります。夜眠れず、感情が不安定になることに困っておられたのですが、よくよくお話を聞いて行くと、消化力に問題があり、漢方にて排便ができ、消化が安定するようにお手伝いしたところ、ものの2月ほどで快方に向かわれました。「何のために今まで治療を頑張ってきたのだろう、、」とつぶやかれたその言葉が、耳に残りました。その方がつらく苦しい思いをした20年間をやり直すことはできません。ちょっとした事が落とし穴になって、悩みを長く抱える方を少しでも減らしたい、という思いで「つなぐ診療」を提供するようになりました。
身体に見られる症状は、ご自身の中にある異常をメッセージとして表してくれているため、ただ治療をすればいいというわけではありません。また、バラバラに起きているように感じる症状や不具合はすべて身体の中でつながっています。そのため、どのような仕組みで不具合を起こしているのか、どう対処すれば良いのかをご自身で理解してもらいたいと考え、体験し学ぶ場としてスタートした養生ヨガと連携し、また、必要に応じて宿泊型転地療養サービスに案内しています。
自分自身を見つめ、日頃の生活の中で行える養生法や生き方のヒントを得ることで、多くの方が病院やクリニックに頼ることなく生活できるようになることを願っています。
自身がつらい経験をしたからこそ、親身に患者さんに寄り添う診療がモットー
漢方治療を行う際もただお薬を処方するだけではなく、「日本東洋医学会認定 漢方専門医」として食事や睡眠、運動を整えるサポートを行いながら、疾患や身体の不調にアプローチしています。
このような経験があるからこそ、患者さんの訴えは人ごとに思えませんし、不安を抱えている姿を見ているのはつらいです。苦しい思いをし、いずれ症状が良くなることを知っている当事者だからこそ、患者さんのお悩みに寄り添うことができているなと感じています。
開業時の思いとしては、少しのつまずきで不調に陥っている人、快方の余地があるのに深刻化してしまう人を減らしたい、そして体調不良の方々には、どんどん良くなって定期的な通院を卒業していって欲しいなと言うことです。この思いは現在も変わっていません。
患者さんが学べる場をつくり、クリニックを必要としない世の中を目指して
また、私と同じ考えを持った医師が増えてほしいと考えているので、研修施設としての役割も担っています。若い医師が心身は関連があるということについて学びを深め、「つなぐ医療」がもっと広がることを期待しています。
また、治療の際は手っ取り早くなんとかするのではなく、真実をお伝えしたうえで手間暇かけて不調を根本から良くすることに力を入れています。患者さんのお話をじっくりと伺い、お悩みに寄り添いながらサポートいたしますので、気兼ねなくご相談ください。