「ただ治療する」だけではなく、患者さまの健康寿命をサポートする女性医師
管理医師
赤木 琴江
取材日:2022年12月2日
赤木 琴江先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
専門性にとらわれることなく、患者さまの健康を支えようと開業を決意
なぜ、消化器内科の分野に注力しようと思ったのでしょうか？
おなかというのはお子さまからご年配の方まで、老若男女問わずさまざまな疾患が現れる場所だと思います。おなかが痛くて学校に行けないだとか、胃がムカムカして仕事に集中できないなどのお悩みを、じっくりとお話を聞いたうえで必要な検査を行いつつ、投薬などで改善出来ればという思いで消化器分野を選択しました。
大学を卒業して臨床研修中には、内視鏡の魅力に惹かれたため、ひたすら内視鏡検査に携わっていました。その後、医師としてキャリアを築き、大腸ポリープ切除や胆石の除去、早期胃がんの内視鏡手術に専念するようになりました。この経験があるからこそ、当院では、検査時に見つかった大腸ポリープをそのまま当日に切除できます。仮にポリープの数が多い場合であっても、患者さまのご負担を考え、できるだけ取りきるように努めています。
大学を卒業して臨床研修中には、内視鏡の魅力に惹かれたため、ひたすら内視鏡検査に携わっていました。その後、医師としてキャリアを築き、大腸ポリープ切除や胆石の除去、早期胃がんの内視鏡手術に専念するようになりました。この経験があるからこそ、当院では、検査時に見つかった大腸ポリープをそのまま当日に切除できます。仮にポリープの数が多い場合であっても、患者さまのご負担を考え、できるだけ取りきるように努めています。
勤務医時代に印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
胃内視鏡検査をしてみると明らかな進行胃がんがありました。肝臓にも転移が見つかり、すぐに入院し、化学療法を継続しました。数年継続したでしょうか。ほとんど消失したように見られたので、外科的に胃と肝臓を切除したところがんは消失していました。とても幸運な患者さまですが、今も元気に過ごされ、当院へ通院していただいているのがとても嬉しいです。今お話しした以外にも、検査を受けて早い段階でがんが見つかるケースを何度も経験しています。やはり早期発見、早期治療に越したことはありません。治ると思える段階で診断出来たときは、やっぱり内視鏡検査をしてよかったなと思います。患者さまには、何かしらの症状があれば迷いなく検査を受けていただきたいですし、症状がなくても、ご自身のおなかの状態を知っていてもらいたいと思います。
開業する際は、どのようなクリニックにしていきたいと考えていましたか？
当院は循環器内科と消化器内科を掲げています。当院へ来院された患者さまには「ただ治療をするだけではなく、来院された方の健康寿命を延ばす」「質のいい生活を送っていただけるようサポートする」と考えこの地で開業しました。来院された患者さまに対して、あらゆる悩みにお応えするべく診療にのぞんでいます。私の専門である消化器疾患はもちろん、循環器や内科の疾患もクリニック一体となって対応していきます。今までの医師人生で身につけた技術や経験を生かし、かかりつけの医師として地域の皆さまの健康をお守りできるクリニックとして尽力してまいります。
患者さまが抱える不安を取り除き、症状を悪化させないことが大事
大腸内視鏡検査で気を付けていることがあればお聞かせください。
大腸内視鏡検査は、大腸がん検診で便潜血が陽性になった方が受けに来られることが多いですが、家族に大腸がんの方がいる、慢性的な便秘、下痢が続く、下血した、などでも大腸カメラを勧めます。特に最近では、数か月以上下痢が続いたり血便が出る潰瘍性大腸炎という病気が増えています。潰瘍性大腸炎は若い方に多いので、「ストレスが原因かも」「過敏性大腸炎かも」と放置する方がいらっしゃいますが、ご自身で判断せず受診をお願いしたいです。慢性便秘の原因が甲状腺異常だった場合もありますので、胃や腸だけでなく身体全体を診るように心がけています。
潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群は、生活の質を落としかねない疾患ですし、学生さんや働き盛りの方も多いことから、患者さまと相談しながら無理なく治療を進めるようにしています。また、困ったときはご連絡を頂いて話を聞いたうえで、治療が止まらないよう一緒に相談できる環境づくりに努めています。
潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群は、生活の質を落としかねない疾患ですし、学生さんや働き盛りの方も多いことから、患者さまと相談しながら無理なく治療を進めるようにしています。また、困ったときはご連絡を頂いて話を聞いたうえで、治療が止まらないよう一緒に相談できる環境づくりに努めています。
胃内視鏡検査では、どのような疾患を見つけて、治療へとつなげますか？
胃内視鏡検査は、胸の不快感や胃もたれ等の上腹部症状で来られた方にまずはお勧めします。近年では、ピロリ菌の感染者数は減少傾向にありますが、まだ感染している方も多いです。胃のバリウム検査で慢性胃炎を指摘された方はピロリ菌感染の可能性が高いのでぜひ胃カメラを受けてください。ピロリ菌がいれば早めの除菌治療が望まれます。内視鏡をしてみて、ピロリ菌がいないきれいな胃の場合は胃がんのリスクはかなり少ないですし、逆流性食道炎なら投薬や生活習慣の見直しで改善します。
最近では機能性ディスペプシアといって検査では異常がないんだけれども、胃もたれや胃痛など慢性的な症状が続いている患者さまが増えています。その場合も、内視鏡検査や腹部エコーで器質的疾患がないことを確認したうえで、漢方薬などを使いながら症状緩和に努めています。画像で自分の胃の中をみることで、不安から解放され症状がなくなることもあります。胃のむかつきや胸やけ、胃の痛み、吐き気などの症状が現れた場合は、早めに相談していただければと思います。
最近では機能性ディスペプシアといって検査では異常がないんだけれども、胃もたれや胃痛など慢性的な症状が続いている患者さまが増えています。その場合も、内視鏡検査や腹部エコーで器質的疾患がないことを確認したうえで、漢方薬などを使いながら症状緩和に努めています。画像で自分の胃の中をみることで、不安から解放され症状がなくなることもあります。胃のむかつきや胸やけ、胃の痛み、吐き気などの症状が現れた場合は、早めに相談していただければと思います。
大腸内視鏡検査は、どのような流れで行われるのか教えてください。
食生活の欧米化などによって、大腸がんはがんの中でも増加傾向にあります。特に40歳以上の方は定期的に検査を受けてほしいと思いますね。大腸内視鏡検査では、検査当日に下剤を飲む必要があるのですが、ご自宅でもクリニックでもご希望に合わせて服用することが可能です。遠方の方や飲むのが初めてで不安に感じる方は、院内の専用のスペースで心置きなくお飲みいただけます。検査中は眠っているような状態なりますので、「気付いたら検査が終わっていて、思ったよりも楽でした」という声も頂戴しますね。
便潜血検査だけでは、小さながんや大腸ポリープを発見するのは難しいと言われていますので、大腸がんの家族歴がある方も含めて、一度大腸内視鏡検査を受けていただきたいです。
便潜血検査だけでは、小さながんや大腸ポリープを発見するのは難しいと言われていますので、大腸がんの家族歴がある方も含めて、一度大腸内視鏡検査を受けていただきたいです。
女性医師だからこそできること・求められることを大切に診療
先生が今後力を入れていきたい治療や疾患などはございますか？
当院は女性医師と男性医師がいますので、女性同士、男性同士の方が相談しやすい場合もあり、それが当院の強みと考えています。消化器でいうと大腸がんの患者数は年々増えていますので、出来るだけ多くの方に大腸カメラを受けていただききたいです。ただ大腸カメラには、恥ずかしい・怖い・痛いなど、検査までに高い精神的ハードルがあるようですが、女性医師であることを強みと考え、丁寧な検査を行っています。検査は眠っている間に終わりますので、リラックスして受けていただきたいです。この地域での胃がんや大腸がんの患者さまを減らしたい、早期で病気を診断したいと考え、日々努力しています。当院では出来るだけ患者さまのニーズにお応えするために、いろいろな検査機器をそろえています。心臓病や高血圧、高脂血症など循環器疾患や糖尿病の方にも、より良い医療を提供できるよう努めています。地域の皆さまが、「なにか困った場合は、さくら通り循環器消化器内科に相談すれば大丈夫」と思っていただけるように頑張りたいですね。
今後、消化器内科の分野において、先生が期待していることはありますか？
各自治体によって、行っている検査の種類は異なります。現在、箕面市の胃がん検診ではバリウムによる検査を行っていますが、内視鏡での検査がもっと広まり、受けやすい環境が整えばいいなと思っています。消化器がんは胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査、腹部エコー検査を1年～３年に1度受けていただくだけで、がんでつらい思いをする可能性が低くなります。40歳を過ぎたら、定期的に検査を受けることが当たり前の世の中になってほしいです。さらに当院で受けていただけるとなお嬉しいですね。そのために「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」として、できる限りのことを頑張りたいと思っています。
最後に、ご覧になっている患者さまへメッセージをお願いします。
ささいな相談でも健診目的でもかまいませんので、気兼ねなくいつでも来てほしいと思います。胃がん・大腸がんをはじめ、がんで亡くなる方を一人でも多く減らすことが私の願いでもあります。女性医師として、患者さまの気持ちに配慮した診療を行うように心がけています。特に女性の方は、男性医師には相談しづらかったり抵抗があったりする方もいるかと思いますが、女性同士、肩肘張らずリラックスしてお話ししましょう。
