
内田 創先生(日本小児科学会認定 小児科専門医)にインタビュー
幼少期の経験から小児科の医師に。身体・心に関してトータル的に診療
もともと子どもが好きで、成長や発達に関わる仕事をしたいと考えていました。教員になるという選択肢もありましたが、幼少期にお世話になった先生の影響から「私も病気を抱える方の力になりたい」と考え、小児科の医師を志すようになりました。
なかでも、精神面の診療には特に力を入れています。現状、小児科の分野において心の面まで診療できる医師は少ないです。私は学生時代からオールマイティーに診療できる医師を目指して学んできたので、どんなことでも相談していただき、悩んでいるお子さまやそのご家族をサポートできれば幸いです。
先日、院内で秋祭りを開催した際には、当クリニックを受診していた高校生たちがお手伝いをしてくれました。自発的に参加してくれたことがうれしかったですし、将来、保育士や小児科の医師など、子ども関係の職業に興味を持ってくれるきっかけになればいいなと思っています。
臨床心理士・作業療法士と連携し、相談しやすく通いやすい環境作りに尽力
また、精神面の診療は「専門外だから診られない」「精神科に行ってください」と一般診療とは分けられがちです。しかし、体調不良の原因が心の不調から来ている可能性もありますし、病気が長く続くことで気持ちが落ち込んでしまうこともありますから、きっぱりと切り離すことはできません。私は学生時代から、子どもの心の分野について注力して学んできました。この経験を生かし、子どもの心と身体、双方から診療できるクリニックを作りたいと思ったのです。
いずれもご家族の理解・協力が必要不可欠で、長く向き合っていくことになるため、当クリニックでは診療予約が入った時点で神経発達症・心身症に関するパンフレットをご自宅に郵送しています。また、来院されてからは、心電図検査や脳波検査・リスク検査を行い、血圧・脈拍の変動や脳波に異常がないかを確認したり、記憶力・理解力・処理能力にばらつきがないかを数値化したりして、客観性のある診断へとつなげていきます。
親御さまに対して、段階ごとのゴールを共有することも欠かさずに行っています。お子さまが大人になっていく過程のなかで、何歳頃にどういう傾向があるのか、発育を促すためにどう過ごしたらよいのかなどを、私をはじめ、臨床心理士、作業療法士が具体的にお伝えします。
医療拡大・効率化に向け、本の制作や講演などで情報発信に取り組んでいます
あとは、学校に出向いたり相談会のような機会を設けたりして、病気のこと、病気に対する向き合い方などを発信していきたいです。最近は、私が発信したいことを形にする方法の一つとして、自分で本を作って患者さまに配ったりもしているので、今後も何かしらの媒体を使って情報を伝えていければと思っています。
また、子どもの心に関して診療できる医師が少ないという問題も改善していかなければなりません。私たちが発信することで若い先生が育ったり、この分野に携わる医師が増えてくれたりしたらありがたいなと思います。