
田代 圭太郎先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
研修医時代から大の内視鏡検査好き。検査や手術後のケアも見届けていきたい
そのように思う背景には勤務医時代の経験があります。大学の関連病院では内科や外科という科目に捉われず、消化器の病気を全部一人で診て、内視鏡検査も行っていました。ですから、内視鏡検査で病気が見つかったときに、私であれば「この患者さまであればどんな手術をしたらいいか」まで考え、写真の撮り方や検査の進め方まで取り組むことができますね。
また、現在、関西大学と企業とで連携して、内視鏡検査で使う器具の特許を申請しているのですが、それにも関わらせていただいています。内視鏡検査に関して色々と学び深めてきましたので、病気を発見したときに、この患者さまは今後どんな治療をすることになるのか、どんな規模の手術が必要になるのかまでおおよその見当がつきます。ですから、さまざまな観点から患者さまに説明させていただいていますね。
それに、私自身はただただ内視鏡検査が好きなんです。非常にセンスが問われる検査ですよ。留学して内視鏡検査から離れていた期間があったんですが、そのときは少し下手になっているのを感じました。やはり続けていくことが大切だなと思います。これからも続けていきたいと思います。
消化器のがんの発見のため、負担の少ない内視鏡検査の方法を提案します
リスクファクターとしては、飲酒・喫煙・肥満があります。女性より男性が発症しやすいですね。当クリニックでは、高血圧症・糖尿病などの慢性疾患で肥満ぎみの男性には検査をご提案しています。逆流症状がある方には、最近増えてきている、胃の入り口にできる「パレット食道がん」を疑います。
食道がんはポリープのように盛り上がっている箇所があるわけではなく、一見すると正常に見えてしまうこともあります。当クリニックでは特殊な光を当てることで病変の発見を目指す内視鏡を採用しています。「何もない」と思って診れば素通りをしてしまうこともあるので、「もしかしたら何かあるかもしれない」と思いながら診るようにして、病気の早期発見につなげています。
また、特に女性は検査を「恥ずかしい」と感じることもあると思います。そこで、当クリニックの大腸の内視鏡検査は、寝ている間に終わりますから、1回やってみませんかと提案しています。大腸の内視鏡検査と言うと、検査の前には下剤を飲んで腸をきれいにしなければいけず、これが苦痛と感じる方も少なくありません。当クリニックでは3種類の下剤を用意して、飲みやすさや飲むタイミングを考慮して選べるようにしています。お仕事がお忙しい方なら、できるだけ時間がかからないようにするなど、その人の生活スタイルに合わせて処方をさせていただいています。
最近、胃がんで亡くなる方は減ってきていますが、それは胃がんのリスクが高くなる「ピロリ菌」の除菌治療が進んでいる影響があります。一度ピロリ菌が見つかった人はその後に除菌をしていたとても、除菌する前に何年間かは胃の中にピロリ菌がいたことになり、胃の病気になる確率はゼロではありません。定期的に胃の内視鏡検査を受けていただきたいと思います。
甲賀市の内視鏡検査に対応。病気の早期発見のための環境作りにも尽力したい
当クリニックがある甲賀市では、2021年からようやく内視鏡検査による胃がんの検診(※)が始まりました。それまではバリウム検査のみだったんですね。バリウム検査は小さい病気までは見つけにくく、内視鏡検査の方がより詳しくわかると思いますので、内視鏡検査が始まって良かったと感じています。当クリニックでは、地域の皆さまに内視鏡検査を受けていただきたいとの思いから、甲賀市の検診実施医療機関に登録しています。
やはり胃や大腸の病気は検査を受けてこそ見つけることができると思いますので、これからも地域住民の皆さまに検査の大切さを伝えていきたいです。
(※)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。自由診療となる場合もありますので、料金表をご確認ください。
それから、今後の医療現場で期待しているのは、AI(人工知能)の活用です。内視鏡でもAIが画像を解析して病気を発見する技術の研究が進められています。将来的には検診でもAIも活用しながら、医師の目との両方で診断できたら、より病気の見逃しや取りこぼしが少なくできるのではないかなと思います。
また、患者さまの情報のデジタル化が進めば、複数の医療機関で検査を受けた結果などがネットワークでつながるのでメリットがあると感じますね。どこの医療機関で検査や治療を受けても、その内容が共有されていれば、「去年は別の病院で検査をしているけど、こんな結果だったんだな」と医師も参考にできていいですよね。
当クリニックでは、鎮静剤を使って眠っている間でできる内視鏡検査を行っていますから、できる限り、苦痛を少なく検査を受けていただけると自負しています。検査をしてみたいけれど、不安という方は、ぜひ相談だけでもしていただければと思います。