堀内 隆史先生(日本整形外科学会認定 整形外科専門医)にインタビュー
学生時代、スポーツ外傷の治療で通院したことがきっかけで整形外科の医師に
私にとって、医師と言えば「整形外科の医師」でした。整形外科の医師には、スポーツの経験者が多いのではないかと思います。当クリニックに勤務している理学療法士たちも、スポーツの経験者が多いですね。ケガに悩み、復帰への不安や焦りなどのお気持ちにも寄り添えるのではないでしょうか。それぞれが今まで経験してきたスポーツを踏まえて、リハビリテーションの指導やケガ予防のアドバイスができるのではないかと思います。今後は、スポーツ外傷に悩む方々のリハビリテーションにも力を入れていきたいですね。
ただ、私が小さい頃から抱いていた「お医者さん」のイメージは、病院で手術を行う医師というよりも、地域の皆さまが集まって何でも相談できるような「町のお医者さん」でした。そこで、地域の方々に寄り添い、かかりつけとして医療を提供できるクリニックを開業することにしたのです。骨粗しょう症でもリウマチでも、早期に発見することができれば、悪化を予防することができます。今後は予防医学がとても大事になっていくことでしょう。地域に密着した開業医として、ちょっとしたお悩みでも気兼ねなく何でも相談していただきたいと考えています。
超音波画像診断装置はレントゲンでは確認が難しい、軟部組織のケガの状態を確認するのに使っています。骨折はレントゲンで確認することができますが、肉離れや靱帯損傷の程度は、超音波画像診断装置でないと確認が難しいのです。スポーツの現場にも、ポータブルの超音波画像診断装置を持って行くのが一般的になりつつありますね。
リハビリテーション室も広々とした空間を用意して、さまざまな機器を備えました。理学療法士も、家でのトレーニング法も含めてアドバイスを行い、日常生活や競技への復帰をサポートさせていただきます。
骨粗しょう症や関節リウマチは早期発見・治療で進行を防ぐことを大切にする
DXA法の骨密度測定装置で検査を行って、骨粗しょう症と診断されたら、お薬や注射による治療で骨密度の改善を目指します。骨粗しょう症で骨折すると寝たきりになるリスクがあるため、骨折を予防するため治療を行う必要があるのです。
内服薬も毎日服用が必要なものから、週に一度、月に一度の服用でよい薬までさまざまな種類があり、半年に一度の注射も含め、治療の選択肢はさまざまです。生活背景に合わせて、ふさわしい治療方法を選択するようにしています。また、日頃から運動する習慣をつけておくことや、バランスの取れた食生活を心がけることも予防につながるでしょう。
手術は、最終的な手段です。我々、開業医の役割はその手前で、できるだけ早く痛みを改善して、社会復帰をサポートすることだと考えています。そのために、内服薬の処方や神経ブロック注射を行っています。また、これらの保存的治療方法では対応が難しくなった場合には、手術ができる連携の医療機関をご紹介することも可能です。
痛みが強い時期には、どこまで動いていいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。ご相談いただければ、状態を確認して、安静にしておいた方がよいのか、薬を服用しコルセットをしてある程度は動いてよい状態なのか、アドバイスをすることも可能です。まずは、気兼ねなくご相談に来ていただきたいと思っています。
最近は、関節リウマチと診断されたら最初から強い薬を使用して、症状を緩和するという治療が主流です。以前は、関節リウマチによって関節が変形してしまう方もいらっしゃいましたが、今では薬の進歩により、そこまでひどくなる方というのは少なくなっています。薬を服用していただければ、日常生活を普通に送れるという方も多いのです。
どの病気でも言えることですが、悪化する前に早期の段階で発見をして、治療を開始することが大切です。何か気になる症状があれば、早めにご相談いただきたいですね。一度、検査を行って、関節リウマチではないと診断されたとしても、数年経過してから検査をすると関節リウマチが見つかる場合もあるため、症状があればその都度、ご相談いただければと思います。
地域の皆さまに寄り添い気兼ねなく相談できるクリニックづくりを目指す
競技に合わせたリハビリテーションをご提案することも可能です。院内で行うリハビリテーションのほかにも、ご自宅で行っていただく自主練習のアドバイスもしていますので、ご自宅でトレーニングを続けていただくことが大切ですね。使っていない筋肉を意識して使ってあげることも大切だと思います。
スポーツ外傷の患者さまは、小学生のお子さまから社会人の方まで、幅広い年代の方がご来院されます。お子さまの場合は、成長の状態に合わせたアドバイスも可能です。
また、日々の診療の中で、患者さまのお話から学ばせていただくことも多いように思います。「何でこういうケガになったんですか?」と聞いてみると、思いがけぬ動作がケガを引き起こしていることもあるのです。日々の生活の中で、腰を痛める動作をしている方もいれば、うまく腰痛が起きないように生活している方もいらっしゃいます。患者さまとの会話の中で、日々、新しい知識を身に付けていっていると感じますね。
年齢を重ねた方には、医療保険ではなく介護保険のリハビリテーションを行うという方向になりつつありますが、当クリニックの理学療法士は、スポーツ外傷だけではなく、ご年配の方の筋力低下予防にも対応可能ですので、ご相談いただきたいですね。筋力の低下によって、歩くことや立ち上がることなどの基本的動作に支障を生じる状態をサルコペニアと言います。サルコペニアによって筋力の低下だけではなく、体力や自信も低下してしまうことを予防し、転倒による外傷も予防するサポートをしていきたいと考えています。
整形外科の医師として、アドバイスできることやサポートできることは行って、地域の皆さまの不安を軽減していきたいと思いますので、遠慮なくご相談にいらしてください。