症状を改善へと導くために、なぜ痛いのかの原因を追究するスタイル
院長
土居 真太郎
取材日:2022年10月20日
土居 真太郎先生(日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医)にインタビュー
学生時代は心臓血管外科に憧れ 勤務医時代は全身麻酔を中心に幅広く研鑽
医師を志したきっかけと、なぜ麻酔科を選ばれたのかお聞かせください。
学生時代、テレビで湾岸戦争を見て「海外で医療支援をしたい」と思ったのが、医師を志したきっかけですね。結局、海外に出る準備はしなかったのですが、2004年に発生した新潟県中越地震の災害医療派遣に参加することができました。
元々、災害地が現場になることをイメージしながら勉強をしていたので、学生時代は心臓血管外科の医師になろうと考えていました。麻酔科を選んだのは痛みの治療に興味があったのと手術室で働きたかったからです。その流れで臨床研修先も心臓血管外科の手術が多い所を選んで入局しました。心臓血管外科には緊急手術がつきものですので、患者さまの命を守ることだけを考えながら、常に緊張感を持って勤務していましたね。多くの病院で全身麻酔、集中治療、ペインクリニックまで幅広く経験できたのも、開業する上で強みになりました。
元々、災害地が現場になることをイメージしながら勉強をしていたので、学生時代は心臓血管外科の医師になろうと考えていました。麻酔科を選んだのは痛みの治療に興味があったのと手術室で働きたかったからです。その流れで臨床研修先も心臓血管外科の手術が多い所を選んで入局しました。心臓血管外科には緊急手術がつきものですので、患者さまの命を守ることだけを考えながら、常に緊張感を持って勤務していましたね。多くの病院で全身麻酔、集中治療、ペインクリニックまで幅広く経験できたのも、開業する上で強みになりました。
勤務医時代と開業されてからの変化があれば教えてください。
勤務医時代は、他の科や患者さまとの関係性から自分だけでは治療方針を決定できない部分があったように感じます。主治医というよりも全身麻酔や疼痛管理を依頼される立場が多かったわけです。開業後は自分が主治医となって主体的に「適している」と考える治療を患者さまに提案できるようになりました。
そのため、治療についてはブロック注射一辺倒という訳でなく、まず薬物治療を試したり、運動療法や認知行動療法を交えた治療をすすめたりすることが増えています。「日本橋むらやまクリニック」に入職したときからの患者さまは今でも来院されますし、クリニック名が変わった当初は戸惑う方もおられましたが、徐々に打ち解けていけたのもうれしかったです。
そのため、治療についてはブロック注射一辺倒という訳でなく、まず薬物治療を試したり、運動療法や認知行動療法を交えた治療をすすめたりすることが増えています。「日本橋むらやまクリニック」に入職したときからの患者さまは今でも来院されますし、クリニック名が変わった当初は戸惑う方もおられましたが、徐々に打ち解けていけたのもうれしかったです。
どのような場面でやりがいを感じますか?
何年もの間ずっと痛みで悩んでいた患者さまから「痛みが減ったよ」とか、「前より状態が良くなったよ」などの言葉をもらうと、やっていて良かったなと思います。当クリニックは都心部のオフィス街という場所柄もあってか、20代の若年層や周辺にお住まいの80~90代の方など幅広い年代の患者さまが来院されます。最近はリモートワークの影響からか長時間同じ姿勢で座る方が増え、腰・首・肩などの痛みの相談も寄せられます。
勤務医時代は神経ブロック療法を中心に行っていたこともあり、50歳以上の方を中心に診察していました。いまは若い方からご高齢の方までさまざまな痛みに関するお悩みに対応していますので、幅が広くなった分やりがいがありますよ。
勤務医時代は神経ブロック療法を中心に行っていたこともあり、50歳以上の方を中心に診察していました。いまは若い方からご高齢の方までさまざまな痛みに関するお悩みに対応していますので、幅が広くなった分やりがいがありますよ。
足の痛みに隠されている症状の把握に努め、靴の履き方や歩行をアドバイス
診療する際に気を付けていることはありますか?
足の痛みひとつにしても、何かしらの病気が隠されている場合があります。実は腫瘍が隠れていたり、腫瘍がほかの部位に転移していたりなど。日ごろから患者さまを専門的な視点で診ているからこそ、「何か違うぞ」という部分が見えてくるのではないでしょうか。また診察の際は、患者さまにクリニックの廊下を歩いてもらい、膝の曲がり・姿勢の悪さなどを観察して、歩行のバランスについても確認するようにしています。
注意深く診察をすることで、痛みの原因が病的なものではなく、「靴」が原因だったということは珍しくありません。大きすぎる靴を履いてしまうと靴の中で足ずれが起こり、膝の痛みにもつながります。靴のサイズや足にフィットしているかどうか確認させていただき、靴の履き方やインソール着用の提案、歩き方などのアドバイスも行います。患者さまの状態を見極めたうえで、症状の改善を目指しています。
注意深く診察をすることで、痛みの原因が病的なものではなく、「靴」が原因だったということは珍しくありません。大きすぎる靴を履いてしまうと靴の中で足ずれが起こり、膝の痛みにもつながります。靴のサイズや足にフィットしているかどうか確認させていただき、靴の履き方やインソール着用の提案、歩き方などのアドバイスも行います。患者さまの状態を見極めたうえで、症状の改善を目指しています。
頭痛診療の際、気を付けていることがあれば教えてください。
まず医師の方に頭痛に理解があるかどうかが大きなポイントになります。珍しい頭痛のタイプや頭痛の訴え方が定型的でない場合は医師が頭痛そのものを否定してしまうケースもあります。ペインクリニックでは痛みそのものを否定されてしまうことはありません。
頭痛は直接、命にかかわるものとかかわらないものとがあります。そのため、いわゆる頭痛の場合は医師も周りの人も患者の抱えている辛さが理解できていないことが多いです。例えば片頭痛の場合は症状の重い方だと頭痛の時はほぼ寝ていないといけないため、1週間に5回の頭痛だとしても5日会社や学校を休む必要があります。症状がなくなることは難しい場合もありますが、頭痛の頻度を減らしたり、頭痛の強さを減らしたりすることは多くの場合で可能です。
また、頭痛と言っても顔まわりの痛みや口の中の痛みなど顔面痛も含まれますので、治療そのものだけでなく診断を含めた相談という意味でもいらしていただきたいと思います。
頭痛は直接、命にかかわるものとかかわらないものとがあります。そのため、いわゆる頭痛の場合は医師も周りの人も患者の抱えている辛さが理解できていないことが多いです。例えば片頭痛の場合は症状の重い方だと頭痛の時はほぼ寝ていないといけないため、1週間に5回の頭痛だとしても5日会社や学校を休む必要があります。症状がなくなることは難しい場合もありますが、頭痛の頻度を減らしたり、頭痛の強さを減らしたりすることは多くの場合で可能です。
また、頭痛と言っても顔まわりの痛みや口の中の痛みなど顔面痛も含まれますので、治療そのものだけでなく診断を含めた相談という意味でもいらしていただきたいと思います。
コロナ禍以降で増えたと感じる相談はありますか?
これまでよりも帯状疱疹の方を診ることが増えました。コロナワクチン接種後に帯状疱疹を発症する方が多いように感じています。
コロナ禍でリモートワークが普及し、人と接する機会が減ったことで、姿勢が悪くなったり慢性痛で自律神経が乱れたりといった相談が増えています。そのような患者さまに対して、ヒアリングや立ち座りの状態を確認するなど行っています。
人によってはメンタルな部分から腰痛に繋がるケースもありますので、腰自体が悪いのか精神的な部分から来ているものなのかを見極めることが重要です。慢性痛の方は身体のどこかで「歯車」が乱れている可能性があります。その「歯車」を元に戻すために生活習慣のアドバイスや漢方の処方を行います。漢方薬については、腰痛やストレスなど一人ひとりの症状を見ながらお出しするようにしています。
コロナ禍でリモートワークが普及し、人と接する機会が減ったことで、姿勢が悪くなったり慢性痛で自律神経が乱れたりといった相談が増えています。そのような患者さまに対して、ヒアリングや立ち座りの状態を確認するなど行っています。
人によってはメンタルな部分から腰痛に繋がるケースもありますので、腰自体が悪いのか精神的な部分から来ているものなのかを見極めることが重要です。慢性痛の方は身体のどこかで「歯車」が乱れている可能性があります。その「歯車」を元に戻すために生活習慣のアドバイスや漢方の処方を行います。漢方薬については、腰痛やストレスなど一人ひとりの症状を見ながらお出しするようにしています。
地域に根付き、コミュニケーションを大切にしたクリニック
今後の展望について何かあれば教えてください。
これまで通り、痛みに関する治療は行いつつも、整形外科的な内容を取り入れたいと考えています。現状、院内ではリハビリは難しいので私の方でストレッチ方法などの知識をどんどん増やしていきたいです。あとは内科の先生をお呼びするなど、日常的なお悩みにも幅広く対応できるようになればいいですね。
また、看護師長が最初の代の「宮田医院」、2代目の「日本橋むらやまクリニック」と、3代にわたり当ビルでクリニックを続けている歴史があります。ありがたいことに、患者さまの中には「日本橋むらやまクリニック」時代から継続して来てくださる方もいらっしゃります。今後も地域密着型のクリニックとして、地域住民の方や周辺にお勤めの患者さまと交流を深めたいと考えています。
また、看護師長が最初の代の「宮田医院」、2代目の「日本橋むらやまクリニック」と、3代にわたり当ビルでクリニックを続けている歴史があります。ありがたいことに、患者さまの中には「日本橋むらやまクリニック」時代から継続して来てくださる方もいらっしゃります。今後も地域密着型のクリニックとして、地域住民の方や周辺にお勤めの患者さまと交流を深めたいと考えています。
今後、クリニックとして改善したい部分はありますか?
更なる待ち時間の削減を目指したいです。実際のところ、電子カルテの導入やスピード感を意識した業務改善などが実を結び、「日本橋むらやまクリニック」時代と比べて待ち時間はかなり削減されました。しかし、タイミングによってはまだまだお待たせしてしまう場合がありますので、今後も待ち時間の改善に努めたいです。外部から予約アプリの導入の勧めもあるのですが、「浜町どいクリニック」ではこれまで通り患者さまとフェイストゥフェイスでのコミュニケーションを大切にして診療を続けていきます。アナログとデジタルとうまく融合させた診療を行っていきたいです。
最後に、患者さまへメッセージをお願いします。
日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医として頭痛を含む全身の痛みに対応しています。身体のどこかが痛いと感じたら、小さなことでも構いませんのでいつでも相談にお越しください。今後も「痛い」の答えを導き出せるように、患者さまの気持ちに寄り添った診療に努めてまいります。