河合 大先生(日本整形外科学会認定 整形外科専門医)にインタビュー
スポーツ好きが高じて、スポーツと関係が深い整形外科の医師の道へ
体育教師になりたいと考えていた時期もあるほど、昔はスポーツが好きでした。他の診療科目よりも体育会系なところがある整形外科は、自分に合っていたと感じますね。
一方で原因がよくわからない疾患や症状もあり、そこは難しいと感じる点です。例えば、レントゲンやMRIなどの画像には写らない異常もありますし、画像で異常所見が認められても、それが直接、痛みの原因ではない場合もあるのです。画像上の異常と痛みの症状が一致せず、原因がよくわからないこともあるというのは、整形外科疾患の難しさでもありますね。
その後、アメリカの大学への留学、杏林大学医学部付属病院をはじめ、都内や沖縄の病院での勤務を経て、2019年に当院を開業しました。多摩地区は馴染みのある地域で、開業している仲間も多い場所です。他の医療機関との連携も取りやすいかと考えてこの場所での開業を決めました。バスの停留所から近いメディカルモールの中という、患者さまにとっても利便性のよい場所で開業できてよかったと感じています。
日常生活を送る上でのアドバイスも丁寧におこない症状の緩和に努める
治療は、薬物療法と浮遊式腰椎牽引装置で行っています。変形した椎間板、背骨や椎間関節から突出した骨などが神経を圧迫することで、痛みやしびれの症状が起こるので、症状が出にくい姿勢を取ることも大切です。前屈みになると、神経の通り道が広がり、症状が和らぎますので、痛みの出にくい姿勢を取るようにアドバイスしています。生活する上でのアドバイスは、結構細かくおこなっていますね。
腰部脊柱管狭窄症は元の状態に戻すことができない病気です。薬や浮遊式腰椎牽引装置で症状の改善が難しい場合には、神経ブロック注射をご提案します。それでも改善が難しい場合には手術療法をご提案することもあり、対応可能な医療機関をご紹介しています。
骨粗しょう症になると、ちょっとしたことで骨折を起こしやすくなるため、寝たきりや合併症を引き起こしやすくなります。健康寿命をできるだけ延ばすためにも、骨粗しょう症を早期発見して治療に結び付け、骨折の予防をすることが大切です。
骨粗しょう症の治療をおこなう際は、薬物療法だけではなく、生活習慣指導にも力を入れていますね。薬物療法、運動療法、食事療法の3つはセットでおこなうことが大切だと思っています。食事は、カルシウムだけではなく、ビタミンDやビタミンK、タンパク質を多く摂取する必要があります。運動は骨に刺激を与えるためにも必要です。こういった理由も含めて丁寧に説明するよう心がけています。
変形した骨は手術をしない限り元に戻ることはありません。しかし、痛みやしびれの症状は、神経が圧迫されてすぐに生じるのではなく、神経が炎症を起こして初めて現れるので、炎症が鎮まれば症状もいったん落ち着くのです。ほとんどの場合は、薬などによる保存療法で改善を目指します。
また、頚椎症を起こしやすい姿勢を取らないようにアドバイスもおこなっています。例えば、うつ伏せの状態でスマートフォンを操作する、高いところを見上げて作業をするなど、上を向く姿勢は神経に刺激を与えるので、なるべく避けるようにとお話ししています。数カ月ほどで改善される方が多いのですが、改善されない場合は、神経ブロック注射や手術療法に対応できる医療機関をご紹介しています。
正しい知識を伝え不安なことを気兼ねなく相談できるような医院を目指す
現在は、コロナ禍のため人との接触を避けたいと考えていらっしゃる方もまだ多いことと思いますので、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた頃に、導入していきたいですね。
DJをやっている友人がいるのですが、コロナ禍になる前はよく高齢者福祉施設を訪れて、ディスコイベントを開いていました。ディスコミュージックで手足を動かして身体機能の向上を図るというものです。高齢者福祉施設では、皆で童謡を歌うことはあるのですが、「童謡より、もう少し活動性の高い音楽を楽しみたい」と考えている方も多いそうです。そこで、ディスコミュージックを流して、体を動かし心身ともに元気になっていただくような試みをおこなっているんです。
ロコモティブシンドロームを予防し改善するためには、骨・筋肉・関節をよく動かすことが大切です。ご年配の方たちが楽しみながら身体を動かせるような音楽を使って、ロコモティブシンドロームの予防に一役買うことができたらと考えています。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたら、音楽を使って、健康維持の取り組みにもチャレンジしていきたいですね。
心配になられたら、一人で抱え込まずに、まずは医師に相談してほしいと思っています。患者さまが心配されていることを聞いて、少しでもその不安を取り除くことができるように努めています。「日本整形外科学会認定 整形外科専門医」として、正しい情報をわかりやすくご説明していきたいと考えていますので、何か不安なことがあったら、遠慮なくご相談ください。