木村 大作先生(日本眼科学会認定 眼科専門医)にインタビュー
地域の方々に賢明に尽力する叔父の姿をみて、同じ眼科の道へ
ラグビー部の仲間たちは、整形外科に進む友人が多かったのですが、私は叔父が眼科を開業していて、地域の方々に懸命に取り組む姿を小さい頃から見て育っていたので、自然と眼科に進みました。
勤務医時代は、黄斑という分野を専門にしていました。そのため、黄斑変性の患者さまが来られたときに、どのような疾患であるかを説明する際や、治療法の選択肢をお話しする際など、当時の経験が大変役立っていると思います。当直の際、ケガの患者さまなど眼科以外の分野も診なければならないことはとても大変でしたが、勤務医時代に身につけた説明力やコミュニケーション力は、ほかの疾患でも応用できると感じています。
また、ある程度経験を積むと、自分の治療方針というものが構築されてきます。自分が決めた方針に沿って、患者さま一人ひとりと丁寧に向き合った診療をしたいと思ったことも開業に至った理由の一つです。眼科疾患の中には、糖尿病網膜症など内科との密接な連携が必要なものもあります。義父が近くで内科の医院をやっているので、連携を図りながら眼科の患者さまを診られると思い、この地に開業いたしました。
重症化防止のため、内科と密接に連携しながら医療提供できることが強み
初期のうちは自覚症状がほとんどないので、糖尿病と診断を受けた方は一度検査をご検討くださいとお伝えしています。糖尿病網膜症を発症した場合は、まずは、ご自身の目の状態についてパンフレットや写真を用いて理解を深めていただきます。さらに、糖尿病眼手帳に所見・数値・視力の値などを記録し、その手帳を通じて内科と眼科で情報を連携し、治療を進めていきます。
検査では、OCT検査(眼底3次元解析装置検査)で網膜の断層写真を撮影します。治療方法としては、注射治療とレーザー治療があります。注射の治療では針を刺すときに一瞬チクッとしますが目薬の麻酔により激痛はなく、治療自体は1分ほどですみますし、改善作用が大きいので注射治療を選択する場合が多いです。目に注射をするという怖さから治療をためらわれる方もいらっしゃいますが、病気の写真をお見せして、治療の必要性をご理解いただけるよう、しっかり説明することを心がけています。
白内障は手術をおこなうことで、十分な視力改善が期待できます。手術は局所麻酔でおこなうため、患者さまによっては恐怖から決断ができない方もおられます。そのような方には、眼鏡をかけても0.7以下の視力の場合、運転免許証を更新できなくなるなど、生活環境での治療の必要性を説明しています。
家族のサポートがあってやっと生活できていたというような方は、手術で視力が改善し、自分一人でなんでもできるようになったと喜ばれることもよくあります。また、白内障手術によって視力が改善すると転倒のリスクが減ったり認知症予防にもつながったりすると言われていますので、白内障以外に疾患がなければ、自発的に手術を受けていただけるとうれしいです。
社会の問題点に目を向け、知識のアップデートにも注力し続ける医師
また、最近は、視力が良い方でも、花粉症やスマートフォンの長時間使用による目の乾燥などで眼科に来院いただく機会が増えています。アジアはもともと近視を患っている方が多いと言われていますが、その中でも、子供の近視が増えており、小学校の低学年から眼鏡を使用するなど若年化しています。
早期発見や早期治療のための検査や治療はもちろんのこと、目薬や眼鏡の正しい使用方法の指導にも力を入れているので、気兼ねなくご相談いただければと思います。
そこで、近視の進行予防に良い方法として、1日2時間以上、屋外で活動することが論文で報告されています。学校でもぜひ課外授業などを取り入れていただきたいと思います。ただ、新型コロナウイルスの影響からリモート授業が導入され、外に出る機会がより減少傾向にあります。屋外であれば、木陰でも近視予防に十分な照度を得られますので、意識していただきたいです。
そのほかの方法として、就寝時にコンタクトレンズを付けるオルソケラトロジーという治療法があります。子供の近視化が防げたという報告もあるので、そういった治療が今後増えてくることを期待しています。
私は、患者さまのことを考え、実際に自分の家族が病気になったときに、どういう治療をするのか、どのように説明するかを考えながら、日々研さんを積んでいます。患者さまが今後も快適な生活を送れるよう寄り添った治療法をご提案しますので、ささいなことでも気になることがあればいつでも当院をご利用ください。