
上山 茂充先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
勤務医時代は糖尿病から消化器がんの化学療法まで幅広い診療に従事する
そのまま、糖尿病を中心に診ていこうと、兵庫県立成人病センターに勤務したのですが、途中から兵庫県立がんセンターと改称し、糖尿病内科を廃止し、がんを中心に診療していく方針に変わったのです。それをきっかけに、内視鏡検査や治療、消化器がんの抗がん剤治療に携わることになりました。勤務先の病院の方針転換がきっかけではありますが、結果的に糖尿病と消化器疾患について、幅広く経験を積むことができたのです。
その後、新日鐵広畑病院で糖尿病の地域連携パスを導入することになり、その立ち上げにも参加しました。地域連携パスとは、かかりつけの医院と病院とが連携して、患者さまをサポートしていくシステムです。「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」として、システムの運用に関わり、地域の病診連携をスムーズにできるよう尽力しました。
開業した今も、内視鏡検査をおこなっていますので、勤務医時代と基本的に大きな変化はありません。ただ、勤務医時代のようにがんの化学療法をクリニックで対応することはできませんので、近隣の病院にご紹介してお願いする形になります。消化器内科も糖尿病内科も、頼りがいのある先生方がたくさんいらっしゃいますので、必要に応じて、ご紹介させていただいています。
最近は、腹部エコー検査だけではなく、心エコー検査や頸動脈エコー検査にも対応するようになりました。月に2回、臨床検査技師が検査をおこなっています。
経験を活かし逆流性食道炎、大腸ポリープ、糖尿病などの治療にあたる
胃内視鏡検査をおこない、逆流性食道炎と診断された方には、制酸剤を中心とした治療をおこなっています。内服薬のほか、食事についての注意もお話しします。寝る直前に食事を摂ると胃酸が逆流しやすいので、控えてくださいとお伝えしています。また、アルコール、甘いもの、脂っこい食事、炭酸などを摂ると逆流しやすいので、症状がある時には控えていただくようご説明していますね。
大腸内視鏡検査で見つかる大腸ポリープの中で多いのは、腺腫と呼ばれるもので、これは進行するとがん化のリスクがあります。切除したポリープは、病理検査に回して最終的な結果を確認し、患者さまにご説明しています。
食事と大腸がんとの関連性が指摘されることもありますが、はっきりとした予防法があるとは言い切れませんので大腸内視鏡検査を定期的に受けていただくことが予防のためには何よりも大事だと考えています。
2型糖尿病は、治療を中断してしまう方も多いため、いかに治療をやめず継続していただくかということを大切にしています。患者さまの治療に対するモチベーションや目標はさまざまです。きちんとコントロールして合併症を抑えることは大切ですが、食事療法や運動療法を厳しく指導し過ぎて治療からドロップアウトしてしまうのでは本末転倒です。患者さまと話し合って、生活背景に合わせ無理なく治療を続けられる目標を設定し、伝え方もその方に合わせた話し方をするように工夫しています。
1型糖尿病は、病気を深く理解している患者さまが多いので、病気についての説明よりもいかにインスリン療法を続けていただくかといったところに気を付けています。
苦痛に配慮した胃・大腸内視鏡検査で病気の早期発見に努める
内視鏡検査はつらい検査というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、当クリニックでは、胃・大腸内視鏡検査はできるだけ苦痛に配慮しておこなうように努めております。鎮静剤も使用するため、ウトウトとした状態で検査を受けていただけます。イメージしていらっしゃるほどつらい検査ではないと思いますので、まずはピロリ菌に感染しているかどうかを検査でご確認いただきたいと考えています。
当クリニックは2017年5月の開業から、胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査に注力してきました。それぞれの検査によって、当院では食道がんや胃がん、大腸がんが発見されています。今後も、事故がないように努めながら、早期治療に繋げるためにまずは病気の早期発見に努めていきたいと考えています。
私は、「日本内科学会認定 総合内科専門医」でもありますが、内科の医師としての役割のひとつは、疾患に合わせてふさわしい医療機関をご紹介するということです。当クリニックで対応が難しい疾患であっても、その疾患にふさわしい近隣の先生方をご紹介することが可能です。何かお身体のことで困ったことがあれば、まずは当クリニックまでご相談いただければ幸いです。