
梅舟 仰胤先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
友人の死を契機に1人でも多くの人の命を救いたいと医師の道を志す
日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなります。中でも、死亡原因として多いがんは、胃がんと大腸がんです。胃がんや大腸がんで苦しむ人を1人でも多く救うことが、多くの人の命を救うことにつながると考え、消化器内科の道に進みました。
「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」と「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」を取得したのは自然な流れです。自分の自信にもつながりますし、患者さまに不安なく受診していただけると考え取得しました。取得するには、試験を受け、症例を集める必要がありますが、好きなことなので苦になりませんでしたね。今までやってきたことを振り返り、楽しみながら準備ができました。その経験は診療でも還元できていると思います。
「京成曳舟駅」の近くを選んだのは、私の出身医局でもある東京大学医学部附属病院との連携を考えてのことです。私は今も出身医局である東京大学医学部附属の非常勤医師として消化器内科で診療を行っています。そのコネクションを活かし、クリニックでがんを早期発見した場合には、引き続き東京大学医学部附属病院との迅速かつシームレスな連携が可能です。あまりに遠い場所では連携が難しいため、車で30分以内のこの場所で開業を決めたのです。
胃がん、大腸がんの早期発見のため胃・大腸内視鏡検査に力を入れる
日本人がかかるがんの中で多いのは大腸がんであり、年間約15万人が大腸がんになります。大腸がんは、まず小さいポリープができ、それがだんだん大きくなる過程で初めてがんになっていきます。つまり、定期的に大腸内視鏡検査(※)を行い、がんの前段階であるポリープの時点で早期発見さえできれば、その都度内視鏡でポリープを切除することができ、大腸がんで命を落とすことはほとんど防ぐことができます。
(※)は自由診療の場合があります。料金は料金表をご確認ください。
ただし、胸やけやげっぷといった症状は、胃がんや食道がんでも起こります。他の病気が隠れていないかどうかをチェックするためにも、逆流性食道炎の訴えがあった方に対しては、胃内視鏡検査を行うことをご提案するようにしています。
最近は、インターネットで容易に情報が得られますので、胸やけやげっぷの症状で検索をして、逆流性食道炎と自己判断し市販薬を服用して様子を見られる方がいらっしゃいます。しかし、30代以上の方であれば、逆流性食道炎以外の病気が隠れていないかどうかを胃内視鏡検査で確認していただきたいと思います。自己判断せずに、2週間以上、症状が続く場合は「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」に相談していただきたいですね。
気を付けたいのは、大腸がんでも似たような症状が現れるということです。過敏性腸症候群が疑われる場合には、まず大腸内視鏡検査を行って、他の疾患を除外することをご提案しています。実際に、過敏性腸症候群かもしれないとご来院されて、大腸内視鏡検査を行ってみたところ、大腸がんが見つかるというケースも少なくありません。機能的な問題が原因ではないかどうかをきちんとチェックした上で確定診断をすることが大切です。
2週間以上、腹痛や便通異常などの症状が続くようであれば、過敏性腸症候群と自己判断せずに、大腸内視鏡検査を受けに来ていただきたいですね。
今後、力を入れていきたいのは定期的な内視鏡検査の必要性を啓蒙すること
患者さまの中には便潜血検査を受けているから大丈夫と誤解されている方もいらっしゃいますが、便潜血検査はそもそも出血しないと陽性になりません。早期大腸がんでは4割程度しか出血しないとされており、半分以上の早期大腸がんは残念ながら便潜血検査では見逃されてしまいます。つまり、便潜血検査で引っかかってから大腸内視鏡検査を受けるというスタンスでは、大腸がんの早期発見は難しい可能性があるのです。
開業以来、地道に啓蒙活動を続けてきた結果、この地域の方々の間では、定期的に内視鏡検査を受けるという習慣が根付いてきたと感じています。こちらから促さなくとも、内視鏡検査の時期になると自らご来院される方が増えているのです。今後も、胃がんや大腸がんを早期発見するため発信していきたいですね。
(※)は自由診療の場合があります。料金は料金表をご確認ください。
一度、ご来院された方には、定期的な内視鏡検査(※)でがんを早期発見し、早期治療に結び付けることの重要性を伝えるようにしています。パンフレットも置いて、少しでも内視鏡検査に興味を持っていただけるような環境作りも心がけています。さらに、その情報をご友人にも発信していただければ嬉しいですね。
この辺りは下町なので、「知人から受けた方がいいと聞いて来ました」という患者さまも多いんです。人と人とのふれあいの中で、情報が伝播していく傾向が強いと感じますね。
(※)は自由診療の場合があります。料金は料金表をご確認ください。
さらに、今までより快適に内視鏡検査を受けていただきたいという思いから、2020年には新たに内視鏡専用のスペースも設けました。コロナ禍になり、院内感染を気にされる方も増えましたので、一般の患者さまとは動線を分けて、ゆったりとした空間の中で検査を受けていただけるようにしました。検査前後にリラックスして過ごしていただくスペースも備え、ハード面でも検査を受けやすい環境を整えています。これまで以上に、多くの方に定期的な内視鏡検査を受けていただきたいと考えています。
万が一、がんを発見した場合は、東京大学医学部附属病院とのシームレスな連携で治療を進めていきます。胃・大腸内視鏡検査を受けたいという方は、ご相談いただければ幸いです。
(※)は自由診療の場合があります。料金は料金表をご確認ください。