
横山 一雄先生(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)にインタビュー
幅広い皮膚疾患を診てきた勤務医時代の経験を生かし、開業医へ
代表的な皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎やいぼ・ほくろなどにしても、患者さまの数が多かった分、さまざまな症例を診てきました。当時は基本的に一人で立ち回らないといけなかったため大変ではありましたが、その経験が、現在の診療にも生かされていると思います。
また、開業して以降は、にきびのご相談もよくいただくようになりました。当クリニックでは、詳しく診ることができない症状や、手術などの処置が必要となる場合は、山口大学附属病院などと連携して対応しています。患者さまの状態にあった医療機関をご紹介していますので、どのような症状でも気兼ねなくご相談いただければと思います。
診療の際にまず大切にしているのは、アトピー性皮膚炎なのか、他の疾患なのか、正しく見極めることです。また、アトピー性皮膚炎は根本的な治療が難しい病気のため、いかに症状を緩和し、良い状態を維持していくかが重要となります。そのため、ステロイド外用剤や保湿剤の塗り方や使用頻度などについて丁寧にわかりやすくお伝えすることも大切にしています。
ステロイドの使用について不安をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、正しく使えば症状の緩和が期待でき、副作用も起こりにくいお薬です。不安や疑問がありましたら、遠慮なくご質問いただきたいと思っています。
治療では、炎症を抑え毛穴のつまりを取るために塗り薬や内服薬を使用します。また、毛穴のつまりのないお肌を維持できるよう、日頃のスキンケアに関するアドバイスなどにも力を入れています。にきびや吹き出物は、家庭でのケアもとても大切になってきますので、ご自宅に帰ってからも続けやすいよう提案しています。
症状の進行度合いを細やかに把握し、一人ひとりに合った治療方法を提案
主な治療方法は、レーザー治療や液体窒素による凍結療法、手術などです。良性の場合は基本的に院内で治療を行うことができ、悪性であった場合は適した医療機関をご紹介しています。
いぼ・ほくろは「年齢を重ねると自然にできるもの」というイメージがありますが、急にできたり元々あったものが肥大化したりした際は、悪性の可能性もあります。そのため、気付いた段階でまずは気兼ねなくご相談いただければと思っています。
実際に、医学部卒業後に勤めた大学病院では、やけどや皮膚がんの手術にも携わっていて、外科治療の経験を積むことができました。また、先ほどもお話ししましたが、山口県済生会下関総合病院では、多岐にわたる皮膚疾患を診る機会に恵まれました。そういった、皮膚科の内科的側面と外科的側面の両方を勤務医時代に経験できたことは、地域医療の窓口として幅広い相談を受ける現在の診療につながっていると感じます。
ほかの分野の病気でお悩みの場合も、「ここに行ってみてはどうですか?」と地域のクリニックをご案内することは可能だと思いますので、皮膚科のことに限らず、お身体のことで何かお困りでしたら、まずは気兼ねなくご相談いただきたいですね。
皮膚科の医師である前に、地域の方が気兼ねなく相談できる医師を目指して
またそのためにも、今後も他科目の先生方とも進んでお話しして知識のアップデートに励みたいと思っています。来院された患者さまに皮膚科以外の症状が認められた時、症状に合ったクリニックをご紹介するには、そのように皮膚科以外の知識も習得していくことが大切です。直接クリニックの診療範囲には結びつかない情報にもアンテナを張り、自分自身のスキルをいつまでも高められるようにしていきたいですね。