
院長
片岡 英一郎
取材日:2022年8月16日
片岡 英一郎先生(日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医)にインタビュー
高齢化社会におけるニーズを見据え医師の道へ。関節リウマチの治療に注力
医師になられた理由、整形外科の道に進んだ理由について教えてください。
母親の兄が外科の医師だったため、医師という存在は割と身近に感じていました。北海道という土地に魅力を感じ大学を選びましたが、学生時代は大学生ライフを満喫していましたね。テニス部ではキャプテンをしたのですが、そのときは、自分の言葉や態度がいかに人に影響を当たえ、それがどう全体に影響するか、どう自分に返ってくるかを考えてばかりいました。幸い大会で優勝でき、みんなで達成することの喜びを味わえました。
卒業の時期が近くなりどの道に進もうかと迷っていたときに、今後、高齢化社会になるにつれて、骨折や関節リウマチで悩むご年配の方が増えるとわかり、ニーズが高まるであろう整形外科の道を志そうと決意しました。私自身、学生時代にはテニスをやっていましたので、スポーツ時のけがや関節の痛みについて興味があったのもきっかけの一つです。
卒業の時期が近くなりどの道に進もうかと迷っていたときに、今後、高齢化社会になるにつれて、骨折や関節リウマチで悩むご年配の方が増えるとわかり、ニーズが高まるであろう整形外科の道を志そうと決意しました。私自身、学生時代にはテニスをやっていましたので、スポーツ時のけがや関節の痛みについて興味があったのもきっかけの一つです。
社会的な必要性を見据えて進まれたのですね。勤務医時代に力を入れて学んだことは?
関節リウマチについて、力を入れて学びました。整形外科の医師として八尾市立病院に勤務していた際に、部長から「関節リウマチを診てくれないか」と声をかけていただいたことがきっかけです。関節リウマチは、私が勉強を始めた2002年頃から新しい薬が出始め、「治りにくい病気」から「改善に導ける病気」へと変化していきました。このことから、医師としてもやりがいを感じられ、専門医の資格を取ろうという思いに至りました。
勤務医時代にさまざまな患者さまを診ていくなかで、もっと他に良い方法があったのではないかと自問自答することもありましたが、「先生に治療していただけて良かった」という感謝の言葉をいただいたときに、コミュニケーションの取り方も含め、納得していただける医療を提供することが大切なんだと改めて感じましたね。学生時代の経験からも、患者さんの話をどのように聴き、そして伝えるかはいつも考えています。終わりはなく、難しいことですが、それだけにいつも新しい気持ちで臨めています。
勤務医時代にさまざまな患者さまを診ていくなかで、もっと他に良い方法があったのではないかと自問自答することもありましたが、「先生に治療していただけて良かった」という感謝の言葉をいただいたときに、コミュニケーションの取り方も含め、納得していただける医療を提供することが大切なんだと改めて感じましたね。学生時代の経験からも、患者さんの話をどのように聴き、そして伝えるかはいつも考えています。終わりはなく、難しいことですが、それだけにいつも新しい気持ちで臨めています。
今も生かされている勤務医時代の経験や開業までの経緯を教えてください。
病院で勤務していると、一人の患者さまに対して長く時間をかけて診察することが難しい場合もあります。ですが、関節リウマチは他の疾患との区別がしにくい疾患ですから、発症している症状や患者さまがつらいと感じていることにじっくりと耳を傾けなければなりません。また、総合病院では通院でのリハビリテーションが難しいことも多いのです。このようなことから、お一人おひとりの患者さまに誠実に向き合いたいと考えるようになり、開業に至りました。
勤務医時代には、患者さまがお困りのことを解決できないこともあり、そのたびによく悩んでいたのですが、一緒に働くスタッフからポジティブな言葉をかけてもらい、励ましてもらったこともありました。とても救われましたし、そのような経験から、一緒に働くスタッフとの連携の大事さを実感することができました。勤務医時代に後悔したり悩んだりした経験は、今のクリニックでの診療にも生かされているなと感じますね。
勤務医時代には、患者さまがお困りのことを解決できないこともあり、そのたびによく悩んでいたのですが、一緒に働くスタッフからポジティブな言葉をかけてもらい、励ましてもらったこともありました。とても救われましたし、そのような経験から、一緒に働くスタッフとの連携の大事さを実感することができました。勤務医時代に後悔したり悩んだりした経験は、今のクリニックでの診療にも生かされているなと感じますね。
コミュニケーションを重視している医師。ていねいな治療説明を大切に
関節リウマチとはどのような疾患で、どのような治療を行いますか?
関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、関節の変形、機能障害を起こす疾患です。更年期や妊娠時のホルモンバランスの乱れによって出る関節痛と症状が似ているため区別がしにくく、若い方からご年配の方まで幅広い年代の方がお見えになります。
治療については主に薬物療法を行いますが、重症でない場合にはある程度経過を見てからでも遅くないということはお伝えしています。その理由として、先ほどお伝えしたように他の症状と区別がしにくく、初期の段階だと関節リウマチであるかも判断が付かないことがあるからです。また、使用するお薬には特有の副作用があるため、そのリスクを抑えるためにも安易に薬物療法には進みません。もちろん患者さまの意思は尊重し、症状やご希望に合わせた処置を行っていきます。
治療については主に薬物療法を行いますが、重症でない場合にはある程度経過を見てからでも遅くないということはお伝えしています。その理由として、先ほどお伝えしたように他の症状と区別がしにくく、初期の段階だと関節リウマチであるかも判断が付かないことがあるからです。また、使用するお薬には特有の副作用があるため、そのリスクを抑えるためにも安易に薬物療法には進みません。もちろん患者さまの意思は尊重し、症状やご希望に合わせた処置を行っていきます。
関節リウマチの治療だけでなく、骨粗しょう症の診断にも尽力されている?
はい。当院では、DEXA(デキサ)法という2種類のエックス線を用いた骨密度検査を行っています。骨は毎日少量ずつ吸収と形成を繰り返す、骨代謝を行っています。この骨代謝のバランスが崩れ骨の密度が減ると、骨粗しょう症という状態になり、骨折しやすくなってしまいますので、いかにそれを予防するかがとても大切になってきます。
骨粗しょう症と診断が付いた方には、お薬や注射治療から患者さまに合った方法をご提案いたします。背骨の圧迫骨折などを起こされた患者さんでは、主に注射での治療をご提案しますが、なかには注射に抵抗がある方もいらっしゃいますので、ご提案する理由をしっかりとわかりやすくご説明いたします。また、豊中市では骨粗しょう症の検診を行っており、5年に1回検査を受けられるので、腰や膝が痛いなど、自覚症状がある場合以外にも定期的に検査を受けてみるといいかと思います。
骨粗しょう症と診断が付いた方には、お薬や注射治療から患者さまに合った方法をご提案いたします。背骨の圧迫骨折などを起こされた患者さんでは、主に注射での治療をご提案しますが、なかには注射に抵抗がある方もいらっしゃいますので、ご提案する理由をしっかりとわかりやすくご説明いたします。また、豊中市では骨粗しょう症の検診を行っており、5年に1回検査を受けられるので、腰や膝が痛いなど、自覚症状がある場合以外にも定期的に検査を受けてみるといいかと思います。
次に、リハビリテーションを行う上で大切にしていることを教えてください。
当院ではけがや痛みに対して、薬物療法・手術・リハビリテーションの三つを基礎として治療を行っており、なかでも、人の手で行うリハビリテーションは正しい姿勢・動作を身につけ、症状を根本から改善するためにも欠かせないものだと考えています。また、院内だけでなく、ご自宅でも体操やリハビリテーションを継続していただくことが早期改善につながりますので、担当の理学療法士がていねいにご説明いたします。理学療法士も現在は4名在籍しており、他院で手術を受けられたり、リウマチの薬物療法を受けておられる患者さまが当院でリハビリテーションを受けておられることもあります。そのようなことでも、地域のお役に立てればと思っています。
具体的には、体幹トレーニングやバランストレーニングなどの運動療法とリハビリテーション機器を用いた物理療法を組み合わせ、身体に障害のある方やけがをされた方、運動機能が低下したご年配の方など、お一人おひとりに合わせたリハビリテーションプランをご提案いたします。
コミュニケーションを密に取りながら行うことを大切にしていますので、気になる痛みやお困りごとがあれば気兼ねなくご相談いただきたいですね。
具体的には、体幹トレーニングやバランストレーニングなどの運動療法とリハビリテーション機器を用いた物理療法を組み合わせ、身体に障害のある方やけがをされた方、運動機能が低下したご年配の方など、お一人おひとりに合わせたリハビリテーションプランをご提案いたします。
コミュニケーションを密に取りながら行うことを大切にしていますので、気になる痛みやお困りごとがあれば気兼ねなくご相談いただきたいですね。
衛生面・接遇面・診療面において向上心を持ち、より良い医療提供に尽力
先生が今後力を入れていきたいと考えている治療はありますか?
やはり関節リウマチの薬物療法ですね。昔とは違い、改善が見込めるようになってきている疾患ですし、高齢化社会となっている今、関節リウマチの治療に対するニーズは高まってきています。日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医として今後もより多くの学会に参加し、いろんな先生からのお話を伺って新しい情報を逐次取り入れていきたいですね。その上で患者さまのお話によく耳を傾け、不安をくみ取り、何を望んでいるのかを理解することを大切にしています。
また、関節リウマチは関節だけではなく、肺や腎臓などの臓器にも影響を与えることがあるため、他科の医院とも密に連携を取っていきたいです。
また、関節リウマチは関節だけではなく、肺や腎臓などの臓器にも影響を与えることがあるため、他科の医院とも密に連携を取っていきたいです。
ニーズが高まることで見えてくる専門医としての課題を教えてください。
患者さまの思いと現実のギャップをどう埋められるかが課題ですね。たとえば、年齢を重ねて動きが衰えてしまっている方が「前まで動けていたのに」と落胆されることがあります。その際に、「以前のように動けるようになりますよ」と無責任な発言はできませんし、前向きに治療に取り組んでいただくためにはどのようなお声がけをすれば良いか、日々試行錯誤しています。
また、痛みやつらさを感じているのは患者さまご自身ですので、どれくらいの痛みなのか、何をゴールとしているかをすり合わせ、理解を深めることが大事になってきます。お話をじっくりと伺い、患者さまに寄り添う心を忘れず、今後も診療を続けていこうと考えています。
また、痛みやつらさを感じているのは患者さまご自身ですので、どれくらいの痛みなのか、何をゴールとしているかをすり合わせ、理解を深めることが大事になってきます。お話をじっくりと伺い、患者さまに寄り添う心を忘れず、今後も診療を続けていこうと考えています。
最後に、今後の展望・患者さまへのメッセージをお願いします。
来院されるすべての患者さまに気持ちよく過ごしていただき、納得して治療を受けていただきたいと考えていますから、衛生・接遇・診療すべての場面においてより良いものを提供できるよう努めていく次第です。全身の骨密度測定を行える検査機器を導入するなど、設備面にも力を入れていますが、日々の診療では、患者さまに対して優しくていねいに接するのはもちろんのこと、院内を清潔に保ち、通いやすいクリニックにしていければと思っています。
関節リウマチは改善が見込める疾患となってきていますし、コミュニケーションを重視した患者さまの思いに寄り添った医療提供に努めていますので、長引く痛みや心配事がございましたら、一度ご相談ください。
関節リウマチは改善が見込める疾患となってきていますし、コミュニケーションを重視した患者さまの思いに寄り添った医療提供に努めていますので、長引く痛みや心配事がございましたら、一度ご相談ください。