南條 知己先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
身体の中を直接観察し治療もできる内視鏡に興味を抱き消化器内科に進む
医学部に進み、もともと機械が好きだった私は、身体の中を直接観察することができるという点にも惹かれ、内視鏡に興味を抱くようになりました。内視鏡検査をおこなえば、がんの早期発見も可能です。また、内視鏡を使えば開腹手術をせずに、ポリープ切除のような治療もおこなえるという点に可能性を感じ、消化器内科の道に進むことを決意しました。
私は大阪市東住吉区の出身です。生まれ育ったこの地域の皆さまに恩返しをしたいという思いから、2013年8月に当クリニックを開業することにしました。
胃・大腸内視鏡検査で胃がんや大腸がんの早期発見に尽力する
一方で、早期に発見すれば改善が期待でき、内視鏡による切除も可能です。当クリニックでも内視鏡治療に対応しています。内視鏡治療が困難な場合には、手術をおこなえる病院をご紹介しています。大腸がんの症状は、下痢と便秘を繰り返す、血便などです。症状が現れた時は既に進行していることが多いため、何か違和感を覚えられたら、できるだけ早い段階でご相談いただきたいですね。
当クリニックでは、苦痛に配慮するため鎮静剤を使用した検査をおこなっています。女性の方は、大腸内視鏡検査に抵抗を感じる方も多いかもしれません。当クリニックは、肛門部にだけ小さな穴があいた検査着をご用意し、検査を受けやすい環境を整えています。大腸がんを早期発見するためにも大腸内視鏡検査を受けていただきたいと考えています。
大腸ポリープは自覚症状がありません。便潜血検査で指摘された方や便通異常でご来院された方が、原因を調べるために大腸内視鏡検査をおこなったところ、たまたま見つかるというケースが多いですね。
大腸ポリープは切除も可能ですが、さまざまなリスクを考慮して、基本的には日をあらためての切除をご提案しています。ポリープの大きさによっては、穿孔や出血などのリスクが考えられ、血液検査やリスクのご説明をおこなう必要があるためです。ただし、お忙しくて何度も受診するのが難しいという場合、以前にも大腸ポリープを切除した経験がありあらかじめ切除をご希望される場合には、当日の対応も可能です。
胃内視鏡検査は、患者さまの苦痛に配慮して、基本的に鼻腔からスコープを挿入する経鼻内視鏡検査をおこなっています。舌の付け根を刺激せずに挿入できるので、嘔吐反射が起きにくくなるのです。
ヘリコバクターピロリ菌の感染のほか、塩分の多い食事、喫煙や多量の飲酒なども、胃がんのリスクになる可能性があると指摘されています。胃がんのみならず、消化器疾患全般に言えることですが、予防のためにも、できる限り暴飲暴食を控えていただくとよいでしょう。
ヘリコバクターピロリ菌感染症の検査と除菌治療で胃がんの予防も目指す
潰瘍性大腸炎の治療もいろいろと進歩しており、新たな薬が出てきています。5-ASA製剤は炎症を抑制するために用いる薬で、寛解期にも再発予防のため服用し続けていただく薬です。最近の薬は、小腸では溶けず、大腸まで到達してから成分を放出するように改良されています。
今はインターネットを活用して、新しい知識を得ることもできますので、日々、新しい情報を得て患者さまに還元できるように努めています。
100年ほど前から胃の中に細菌がいるのではないかという説はありましたが、pH1~2という強酸性の胃酸の中で細菌が生息できるはずがないと否定もされてきました。しかし、胃酸の中でも生息できるヘリコバクターピロリ菌が発見されたのです。ヘリコバクターピロリ菌感染症は、かつては胃潰瘍を引き起こす危険因子であると指摘されていましたが、現在は、胃がんとの関連性も指摘されるようになりました。
ヘリコバクターピロリ菌に感染していても、何か自覚症状が起こるわけではありません。胃内視鏡検査をおこなう時に、一緒にヘリコバクターピロリ菌感染症の検査をしていただくことができますので、胃がんを予防するためにも検査や除菌治療を受けていただければと思います。