
院長
亀澤 比呂志
取材日:2021年9月7日
亀澤 比呂志先生(日本眼科学会認定 眼科専門医)にインタビュー
たとえリスクがあってもやりがいのある仕事を行いたいと考え開業を決意
医師の道に進まれた理由について教えていただけますでしょうか?
子どもの頃は、あまり身体が強い方ではなかったので、よく熱を出して寝込んでいたんです。持病があったわけではありませんが、一度だけ熱が下がらず入院したこともありました。その時に仕事をしているお医者さんがカッコ良くみえたのを覚えています。
高校2年生の時、得意だった理系を進路として選択しました。とはいえ、理学部や工学部に進んで、理系の研究をするというイメージがわかなかったんです。理系の職業の中で、唯一、自分の中で具体的にイメージすることができて、これだったらやってみたいと思える仕事が医師でした。人を助けることができる仕事だという点にも、魅力を感じたのです。子どもの頃に身近で見た仕事ですし、これなら自分にも楽しく仕事ができそうだと思えたので、医学部に進むことを決めました。
研修医時代は、2年間、さまざまな診療科目で勉強を重ねました。眼科だけではなく、整形外科、形成外科、麻酔科、救命救急など、いろいろな科を回って研修を受けたのですが、どこの科目も刺激的でとても面白かったですね。すぐに眼科へと進まずに、いろいろな診療科目で経験を積むことができたのは、よかったと感じます。
高校2年生の時、得意だった理系を進路として選択しました。とはいえ、理学部や工学部に進んで、理系の研究をするというイメージがわかなかったんです。理系の職業の中で、唯一、自分の中で具体的にイメージすることができて、これだったらやってみたいと思える仕事が医師でした。人を助けることができる仕事だという点にも、魅力を感じたのです。子どもの頃に身近で見た仕事ですし、これなら自分にも楽しく仕事ができそうだと思えたので、医学部に進むことを決めました。
研修医時代は、2年間、さまざまな診療科目で勉強を重ねました。眼科だけではなく、整形外科、形成外科、麻酔科、救命救急など、いろいろな科を回って研修を受けたのですが、どこの科目も刺激的でとても面白かったですね。すぐに眼科へと進まずに、いろいろな診療科目で経験を積むことができたのは、よかったと感じます。
眼科を選んだ理由は? また、開業した理由について教えてください。
医学生時代、たまたま大学の先輩が、前勤務先である岡田眼科の院長先生のお子さまの家庭教師をしていたのですが、一度だけ代理で私も家庭教師に伺いました。その時に院長先生から、眼科の魅力について、いろいろと教えていただいたんです。それまで、特に気にも留めていなかった診療科目だったのですが、先生のお話を聞いて、眼科の研修にも行ってみようと思ったんです。このご縁がきっかけで、周り道をしましたが最終的に眼科の医師の道を選ぶことになりました。
当院を開業したのは40歳の時です。大学病院勤務を経て、岡田眼科に勤務していた私は、とても居心地のよい毎日を過ごしていました。待遇がとても良く勤務医としての境遇に全く不満はありませんでしたが、達成感を得られないままぬくぬくと人生を送っていてもよいのだろうかという疑問を抱いたのです。人生の折り返し地点が迫る中、リスクを背負ってでもやりがいを感じられる人生へ早くシフトした方がよいのではないかと思い立ち開業を決めました。今は、大人としてやっと一人前の仕事をできているという実感を得られていますね。
当院を開業したのは40歳の時です。大学病院勤務を経て、岡田眼科に勤務していた私は、とても居心地のよい毎日を過ごしていました。待遇がとても良く勤務医としての境遇に全く不満はありませんでしたが、達成感を得られないままぬくぬくと人生を送っていてもよいのだろうかという疑問を抱いたのです。人生の折り返し地点が迫る中、リスクを背負ってでもやりがいを感じられる人生へ早くシフトした方がよいのではないかと思い立ち開業を決めました。今は、大人としてやっと一人前の仕事をできているという実感を得られていますね。
「日本眼科学会認定 眼科専門医」を取得した理由について教えてください。
「日本眼科学会認定 眼科専門医」は、眼科の医師として仕事をしていくためには、取得しなければならないものと考えています。一般の人に対して、「これぐらいの勉強をしてきました」ということをアピールするには、持っていなくてはならない必要最低限のものだと思います。
また、「日本眼科学会認定 眼科専門医」を取得するために学ぶことは、他の先生とコミュニケーションをはかる時にも、必要な知識ですし、勉強を積み重ねていくためのベースとなります。患者さまにとっては、「日本眼科学会認定 眼科専門医」というのは、選んでくださる基準のひとつになるかと思いますので、そういった意味でも取得してよかったと感じます。
「日本レーザー医学会認定 レーザー専門医」と「日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医」は、どちらも眼科の先生で取得している先生がとても少ないので、一生懸命勉強して取得しました。自分でもよく頑張ったと思います。
また、「日本眼科学会認定 眼科専門医」を取得するために学ぶことは、他の先生とコミュニケーションをはかる時にも、必要な知識ですし、勉強を積み重ねていくためのベースとなります。患者さまにとっては、「日本眼科学会認定 眼科専門医」というのは、選んでくださる基準のひとつになるかと思いますので、そういった意味でも取得してよかったと感じます。
「日本レーザー医学会認定 レーザー専門医」と「日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医」は、どちらも眼科の先生で取得している先生がとても少ないので、一生懸命勉強して取得しました。自分でもよく頑張ったと思います。
アレルギー性結膜炎やドライアイの検査・治療に注力する医師
アレルギー性結膜炎の治療の特徴について教えていただけますか?
アレルギー性結膜炎は、目のかゆみ、充血、まぶたの腫れなどの症状が現れます。日常的によく起こる病気で、それほど症状がひどくない場合は、市販薬でもある程度、症状のコントロールが可能ですが、重症の場合は眼科で処方する薬による治療が必要です。
抗アレルギー点眼薬でも症状がおさまらない場合には、必要に応じてステロイド点眼薬を処方しています。また、まぶたにもかゆみの症状が起きている場合にはステロイド剤軟膏も使用します。目の周りをこすってかぶれてしまっているお子さまも多くいらっしゃいますね。
ステロイド薬は強い作用が期待できる薬ではありますが、副作用についても注意しながら使っていかなければなりません。ステロイド点眼薬は、副作用で眼圧を上昇させる恐れがあるからです。眼科の医師であれば、眼圧も含めて確認しながらステロイド薬を使用することができます。市販薬や他の診療科(内科・小児科・耳鼻いんこう科・皮膚科など)から処方されている薬で改善できない強いかゆみでお困りの場合は一度ご相談いただければと思います。
抗アレルギー点眼薬でも症状がおさまらない場合には、必要に応じてステロイド点眼薬を処方しています。また、まぶたにもかゆみの症状が起きている場合にはステロイド剤軟膏も使用します。目の周りをこすってかぶれてしまっているお子さまも多くいらっしゃいますね。
ステロイド薬は強い作用が期待できる薬ではありますが、副作用についても注意しながら使っていかなければなりません。ステロイド点眼薬は、副作用で眼圧を上昇させる恐れがあるからです。眼科の医師であれば、眼圧も含めて確認しながらステロイド薬を使用することができます。市販薬や他の診療科(内科・小児科・耳鼻いんこう科・皮膚科など)から処方されている薬で改善できない強いかゆみでお困りの場合は一度ご相談いただければと思います。
ドライアイに対してどのような検査や治療を行っているのか教えてください。
ドライアイは、現代ではとても増えている疾患です。涙の量に関係なく、目の表面全体が涙でしっかりカバーされていなければ、それはドライアイです。目が疲れやすい、ゴロゴロする、乾いた感じがする、目が痛い、光がまぶしいなど、さまざまな症状が現れます。
ドライアイは、これまで眼科医療であまり熱心に扱われてこなかった疾患のひとつです。ドライアイの原因ともなっている急速な社会のデジタル化に、まだ医療が十分に対応しきれていない部分もあるのです。また、ドライアイという名前は随分と一般的になってきたかと思いますが、その概念まではあまり浸透していないのではないかと思います。ドライアイによる目の不調が起きているものの、ご自身がドライアイだと気付いていない方も多くいらっしゃるのです。
当院では、ドライアイの治療に力を入れており、細隙灯顕微鏡検査、シルマーテスト、質問票を使った詳しい問診など検査をしっかりと行った上で、検査結果に応じた治療をご提案するように心がけています。
ドライアイは、これまで眼科医療であまり熱心に扱われてこなかった疾患のひとつです。ドライアイの原因ともなっている急速な社会のデジタル化に、まだ医療が十分に対応しきれていない部分もあるのです。また、ドライアイという名前は随分と一般的になってきたかと思いますが、その概念まではあまり浸透していないのではないかと思います。ドライアイによる目の不調が起きているものの、ご自身がドライアイだと気付いていない方も多くいらっしゃるのです。
当院では、ドライアイの治療に力を入れており、細隙灯顕微鏡検査、シルマーテスト、質問票を使った詳しい問診など検査をしっかりと行った上で、検査結果に応じた治療をご提案するように心がけています。
ドライアイの治療において課題だと感じることは何でしょうか?
ドライアイの治療は、点眼薬や涙点プラグによる治療だけではなく、生活環境の改善が必要です。ドライアイの原因のひとつに、パソコンやスマートフォンなどのモニター画面を長時間見続けるという生活習慣が考えられます。しかし、この点については、「仕事だからやらなければいけない」という理由で改善できない方も多いのです。
例えば、疲労で事故が起きるほど肉体を酷使させるような労働を強制している企業があったら社会的に問題になります。同様に、パソコンのモニターを一日に10時間以上見続けるようなデスクワークを強いるのは、ドライアイの原因になるほど目を酷使させているわけですから、眼科の医師からすればこれも過労であり、大きな問題です。しかし、IT社会が急速に発展している途上にある現在では、それが目にとってだけでなく身体的にも精神的にも重労働であるという認識がされておらず、放置されているのです。これは、社会的な問題ですので、すぐに改善することは難しいかもしれませんが、眼科の医師としては、目の健康のためにも警鐘を鳴らしていきたいところです。
例えば、疲労で事故が起きるほど肉体を酷使させるような労働を強制している企業があったら社会的に問題になります。同様に、パソコンのモニターを一日に10時間以上見続けるようなデスクワークを強いるのは、ドライアイの原因になるほど目を酷使させているわけですから、眼科の医師からすればこれも過労であり、大きな問題です。しかし、IT社会が急速に発展している途上にある現在では、それが目にとってだけでなく身体的にも精神的にも重労働であるという認識がされておらず、放置されているのです。これは、社会的な問題ですので、すぐに改善することは難しいかもしれませんが、眼科の医師としては、目の健康のためにも警鐘を鳴らしていきたいところです。
形成外科の勤務経験を活かし、眼瞼下垂の手術にも力を入れる
眼瞼下垂ではどのような症状が起こりますか? 手術は対応していますか?
上まぶたが垂れ下がり、黒目にかかることによって、視野が狭くなる、物が見えにくくなるといった状態が起こるのが眼瞼下垂です。先天性の場合と後天性の場合があり、後天性の場合は加齢による筋力の低下で起こるケースが多く見られます。最近は、長寿の方が増えていることもあって、加齢による眼瞼下垂の方も多くいらっしゃいます。軽症で、見え方に変化が生じていないのであれば、そのままでも大きな問題はありません。しかし、視野の狭さや見えにくさによって、日常生活に何らかの不具合を感じていらっしゃるのであれば、手術による治療をご提案したいと思います。
当院では、眼瞼下垂の手術に力を入れています。レーザーメスを使って行う片目30分ほどの手術です。眼瞼下垂の手術は、ドライアイ同様、これまで眼科医療ではあまり熱心に扱われてこなかった分野です。私は、形成外科に勤務していたこともあります。形成外科での勤務経験も活かしながら、患者さまのご不便さを改善するため、今後も眼瞼下垂の手術に取り組んでいきたいと考えています。
当院では、眼瞼下垂の手術に力を入れています。レーザーメスを使って行う片目30分ほどの手術です。眼瞼下垂の手術は、ドライアイ同様、これまで眼科医療ではあまり熱心に扱われてこなかった分野です。私は、形成外科に勤務していたこともあります。形成外科での勤務経験も活かしながら、患者さまのご不便さを改善するため、今後も眼瞼下垂の手術に取り組んでいきたいと考えています。
眼瞼下垂の手術を受けた方がよいのはどういった症状がある場合でしょうか?
眼瞼下垂は、患者さまご本人がふだんの生活に何らかの支障を感じているのであれば、手術を検討された方がよいと私は思っています。ただ、日本では顔の手術をするということに抵抗を感じていらっしゃる方が少なくありません。眼瞼下垂の手術をすることで、見た目も変わりますので、美容整形手術のように考えて抵抗を覚えられる方もいらっしゃいます。手術を受けたことが周囲の人に気付かれてしまうのではないかと躊躇されるのです。また、ご本人は手術を受けたくても、ご家族が反対される場合もあります。
しかし、重度の眼瞼下垂は日常生活にさまざまな影響を及ぼします。以前、テレビの前に座ってじっと俯いたまま一日中過ごしているというご年配の患者さまが、ご家族に連れられて手術を受けに来られたことがありました。テレビをご覧になりたいのかもしれませんが、眼瞼下垂で見えづらさがあるため、テレビを見ることができなかったのでしょう。このように、日常生活にご不便が生じているのであれば、生活の質を上げるためにも、手術をご検討いただきたいと思います。
しかし、重度の眼瞼下垂は日常生活にさまざまな影響を及ぼします。以前、テレビの前に座ってじっと俯いたまま一日中過ごしているというご年配の患者さまが、ご家族に連れられて手術を受けに来られたことがありました。テレビをご覧になりたいのかもしれませんが、眼瞼下垂で見えづらさがあるため、テレビを見ることができなかったのでしょう。このように、日常生活にご不便が生じているのであれば、生活の質を上げるためにも、手術をご検討いただきたいと思います。
最後に、患者さまに対して何か伝えたいメッセージがあればお願いします。
開業してみて感じるのは、何の病気かわからず、症状に対して漠然と不安を抱えている方、病気ではないのに何かの病気ではないかと心配されてご来院される方がとても多いということです。
大学病院で働いていた時は、既に診断のついた方が紹介されて受診され、治療方法を考えてほしいという方が多かったのですが、当院のような開業医のもとには、まず病気かどうかもわからず不安を覚えていらっしゃる方も多いのです。そういった不安を抱えた患者さまに対して、しっかりと検査を行った上で、できるだけ前向きな選択肢を提案し、不安を軽減するためのサポートができたらと思っています。目について困った症状があるけれど、どうしたらよいかわからないという方は、まずはご相談いただければ幸いです。
大学病院で働いていた時は、既に診断のついた方が紹介されて受診され、治療方法を考えてほしいという方が多かったのですが、当院のような開業医のもとには、まず病気かどうかもわからず不安を覚えていらっしゃる方も多いのです。そういった不安を抱えた患者さまに対して、しっかりと検査を行った上で、できるだけ前向きな選択肢を提案し、不安を軽減するためのサポートができたらと思っています。目について困った症状があるけれど、どうしたらよいかわからないという方は、まずはご相談いただければ幸いです。