丸山 達志先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
内視鏡なら開業後ずっと続けられるという理由から消化器内科の医師に
父は開業医だったのですが、私は、医師になるよりも、工学部に進んでロボットの研究者になりたかったんです。高校時代までは、工学部に進むことを目指していました。ただ、私立大学の附属校に通っていたので友人たちのほとんどは内部進学を選ぶんです。だから、受験の準備をしたいと思いながらも勉強の仕方がわからずに、気持ちだけ焦っているという感じで毎日を過ごしていました。そんな状態で大学受験を迎えたため、共通一次試験はうまくいかなかったんです。共通一次試験に失敗した後、追い込むように必死で勉強した結果、最終的に医学部しか受からなかったんですね。
正直、浪人しようかとも思いました。でも、父に相談したり、父の後輩にあたる先生とお話ししたりする機会があって、医学部に進学することに決めたんです。やはり家族は、私に医学部へ進んでほしいと思っていました。父の後輩の先生からは、医師という仕事の魅力について教えてもらい、「やはり医学部に進もう」と思い直したんです。
最近では、一般の方もPCR検査という言葉を耳にされることも多くなったかと思います。RT-PCR 法を用いた検査なのですが、こういった検査の原理を学んでみて、とても面白いと感じたのです。
とはいえ勉学一辺倒ではなく、アイスホッケー部に所属して部活動にも励んでいました。週3回、1日に約2時間はアイスホッケーの練習をしていたと思います。私は身体が小さいので、地上でボディコンタクトのあるスポーツだと競り負けてしまうと思うのですが、スケートならスピードですり抜けることができるのではないかと思って始めたのです。
消化器内科の道を選んだのは、内視鏡室を見学した時に、「内視鏡は開業してからもずっとできるからいいですよ」と先生から聞いたからです。開業は学生時代から考えていたので、開業してからも長く続けられる道に進みたいと考えて選びました。
昔、勤務していた病院ではこの資格を持っていないと一人でレポートを書くことも許されませんでした。「日本内科学会認定 総合内科専門医」にしても「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」にしても、この分野の仕事を長く続けようと思ったら取らないといけない資格だと考えています。
自治体の胃がん(内視鏡)検診(※)も、基本的には「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」が行いますので、ひとつの指標になる資格ではないかと思います。取るのが当たり前と思っていたので、取得するための勉強も特に大変とは思いませんでした。
消化器内科の医師として開業してよかったと感じるのは、勤務医時代よりも一人あたりの診察時間を長く取れるようになったことです。患者さまと丁寧にコミュニケーションを取ることができるようになりましたね。
(※)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。自由診療となる場合もありますので、料金表をご確認ください。
勤務医時代から重ねてきた経験を活かした丁寧な大腸内視鏡検査を行う
除菌治療は薬で行うのですが、多くの方が1~2回の治療で除菌できます。2回までは、保険適用で受けていただけます。1~2回の治療で除菌ができなかった場合は、大学病院など連携する医療機関に紹介しています。
ピロリ菌感染は胃がんのリスクを高めるともいわれているので、もし健診で指摘されたら、早めにご来院いただきたいと思っています。
症状として多いのは、胸焼け、げっぷです。また、意外に思われるかもしれませんが、逆流した胃酸が喉を刺激することで、喉の痛みや咳の症状が出る方もいます。そのほか、口の中に苦みを感じる方もいらっしゃいますね。こういった症状でお困りでしたら、ご相談いただきたいです。
問診で逆流性食道炎が疑われる方には、お薬を処方します。薬の作用を見て、胃内視鏡検査をご提案する場合もあります。1~2週間治療を続けても薬による改善が見られない場合は、逆流性食道炎以外の疾患が隠れている可能性もあるので、「念のため検査をしましょう」とご提案しているのです。精神的な不安から症状が改善されない方もいるため、胃内視鏡検査をして問題なければ「他の病気はないから大丈夫ですよ」とお話しし、心配を取り除くようにしています。
また、西洋薬でなかなか改善されない場合、胃の運動を高めるために漢方薬を処方することもあります。
大腸内視鏡検査は、ふつうの方であれば3~5年に一度、過去にポリープが見つかったことのある方であれば、1年に一度は受けていただきたい検査です。
大腸内視鏡検査を行う時は、見落としがないよう、手を抜かずに検査することを心がけています。大腸の中に便が残っていると病変の見落としにつながりますし、どうしても死角ができてしまうことがあるのです。これまでの経験を活かし、見落とさないよう洗い流しながら丁寧に検査をしています。
胃がん・大腸がんの早期発見のため内視鏡検査の拡充を目指す医師
ポリープの切除というと、不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、寝ているうちに切除が終えられるよう鎮静剤を使用しています。患者さまにとっては、気付いたら終わっているという感じだと思います。
今は、コロナ禍でもあるので、たくさんの人が待合室にいるような大きな病院に行くのはできるだけ避けたいと考えて、受診を控えている方もいらっしゃるかもしれません。普段通っている町の診療所でポリープの切除まで対応できれば、そういった方々にも気兼ねなく受診していただけるかもしれません。お力になれるかもしれないですね。
また、大腸内視鏡検査の必要性、受けることによるメリットを伝えていきたいと思いますし、当院で検査を受けられるということを皆さまに知っていただきたいと思います。
また、胃や大腸のがんは、早期に発見して治療に結びつけることができれば改善が期待できるので、怖がらずに内視鏡検査を受けていただきたいと思っています。できるだけ苦痛がないように配慮して検査を行うように努めていますので、ちょっと調子が悪いなと思った段階で、遠慮なくご相談いただきたいですね。