
豊島 治先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
苦痛が少なく、腺腫発見率(ADR)の高い大腸内視鏡検査にこだわる医師
実際に内視鏡検査を受けに来る方は、自治体などの便潜血検査で陽性が出た方が多い傾向があります。血便や腹痛、おなかの張りなどの症状が出てから来院する方もいますが、その状態は大腸がんがかなり進行している可能性が高く、手遅れになるかもしれません。ですから、何の症状もない時にこそ内視鏡検査(※)を受ける必要があるということを、多くの方に知っていただきたいです。
※自由診療の可能性があります。料金は料金表を確認してください。
また、腺腫発見率(ADR)を高めることに力を入れています。腺腫発見率が高いと、大腸がんの発症リスクや亡くなるリスクを低減させることができるのです。内視鏡検査を受ける時は「苦痛が少ない」ことだけでなく、腺腫発見率にも着目してクリニックを選びましょう。
ちなみに当クリニックでは、オリンパス社製の内視鏡検査機器を導入しています。画像解像度が高く鮮明な4Kモニターを使用しており、拡大倍率も高いのが特徴です。NBI(狭帯域光観察)やTXI(構造色彩強調機能)モードを搭載するなど、ポリープを発見しやすい機器を選んでいます。
なお、良性のポリープであっても、腺腫や鋸歯状ポリープと呼ばれるポリープは放置するとがんになる可能性があるため、取り除きます。がん化しないものを取るのは組織を傷つけるだけなので、「取るべき」か「取らないか」の判断をその場でしっかりと判断することが重要です。内視鏡画像を拡大したり、色調調節を行ったりして、発がん性の有無を見極めています。
父親のように、患者さまから感謝される医師にあこがれ医療の道を志す
さらに、良性の段階でポリープを切除すれば大腸がんの予防にもなります。内視鏡検査をきちんと受けていれば予防できることから、大腸がんは他のがんに比べて予防しやすいと言われています。そのような点から、大腸がんで命を落とすリスクを低くする一助となるために、消化器内科を選びました。
あとは、大学時代に受けた講義で、内視鏡の症例写真をたくさん見せてくれる先生がいて、その授業が大きく影響していますね。理論を学ぶのではなく、実際の症例写真を見る授業はインパクトが強く、大変感銘を受けました。そういった経験があるからこそ、「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」の取得にもつながったのだと思います。
大学や大きな病院の医師が研究に携わっていることが多いのですが、クリニックで行っているのは珍しいと思います。日々しっかりと勉強し、それを研究に生かして得た結果を患者さまにフィードバックするのが、当クリニックの心がけていることです。
これらの取り組みが実を結び、患者さまに感謝の言葉をいただけたり、喜んでもらえたりした時には、医師として大きなやりがいを感じますね。特に内視鏡検査を受けるタイミングによっては患者さまの命が救えることもあるので、「やって良かった」と言っていただけた時には、私たちとしてもとてもうれしく思います。
大腸がんで亡くなるリスクを抑えるため、大腸内視鏡検査の大切さを伝える
自分自身の展望としては、「気力」と「体力」をしっかり整えて、日々の診療に臨むことです。なかなか難しいことではありますが、いつでも全力で診療を行うために、心がけていきたいと思っています。
また、当クリニックの医師はモチベーションの高い人たちばかりです。クリニック内でお互いを鍛え合い内視鏡検査の技術を磨いてくれているので、より刺激になってくれれば良いなと思っています。
例えば、昔は大腸がんのリスクが高かったアメリカやイギリスは、現在では大腸内視鏡検査に力を入れており、大腸がんの発症が少なくなっています。大腸がんで亡くなる人は、日本人のほうが多くなってしまっているのです。日本でも自治体で便潜血検査を行っていますが、それでは大腸がんの予防や早期発見・早期治療を目指す上で十分とは言えません。そのことを踏まえて、ぜひ大腸内視鏡検査を受けることも考えてみてください。