笑ってはいけない場面で笑いが止まらない!? それは「失笑恐怖症」という病気かも…

笑ってはいけない場面で笑ってしまう「失笑恐怖症」という心の病気があることをご存知でしょうか?
あまり聞き慣れない病名ですが、病気という自覚がないだけで、症状による悩みを抱えてしまうケースがあるようです。
2019年の秋、映画「ジョーカー」が公開され話題になりましたが、ここに登場する主人公も笑ってはいけない場面で笑ってしまうという病気を患い、治療を続けていました。
映画では病名については触れられていませんが、もしかすると主人公も「失笑恐怖症」なのかもしれません…。
そこで、しのだの森ホスピタルの信田広晶先生に、失笑恐怖症の症状や治療法などについてお聞きしました。
こんな場合は失笑恐怖症かも!?
会議中やお葬式といった、笑う場面ではない状況で笑いがコントロールできないという人がいるようです。このような症状は失笑恐怖症の可能性があるのでしょうか?
「失笑恐怖症の症状だと考えられます。笑う場面ではないのににやけてしまったり、ときには声を出して笑ってしまったりするので、周りの人から疑問の眼差しで見られることがあります」と、信田先生は説明します。
さらに、同じような症状の疾患としては「『対人恐怖症』『不安障害』などの可能性も考えられます」と言及します。
失笑恐怖症の特徴は?
信田先生は「通常、笑いは気がつけば止められますが、失笑恐怖症の場合、自分ではわかっていても笑いが止められないのが特徴」と話します。
また、「失笑恐怖症はストレスなどが原因の神経性障害です。神経性障害やストレス関連の障害がある患者さんは約83.3万人とされています」と言うように、ストレスが原因で心に不調を抱える人が数多く存在するようです。
では、このような人たちが症状を改善するために、自分でできる対処法はあるのでしょうか?
信田先生は「ストレスとなっている対象から気持ちをそらして、ほかのことを考えるようにしましょう」とアドバイスしてくれました。
病院での診断や治療について
自分でできる対処法を行っても症状に改善が見られない場合、病院へ行くことを考えるかもしれません。
ここでは、失笑恐怖症の診断基準や治療法についてお聞きしました。
失笑恐怖症の診断基準
どのような症状が見られた場合、医師は患者さんに対し失笑恐怖症と診断するのでしょうか?
「失笑恐怖症の方は発表会や会議中、失敗をとがめられているとき、お葬式の焼香が近づいてきたときなど、緊張や過度のストレスがかかる場面で笑ってしまいます。
なおかつ、このような場面で笑いがコントロールできなければ診断基準を満たします」
受診の目安と治療法
症状が気になる場合の受診の目安についてはこう話します。
「『緊張するとにやけたり笑いが止まらなかったりする』『他人からどのように見られているのか、人の目線が気になる』といった場合には、病院を受診しましょう。心療内科や精神科で治療を受けられます」
失笑恐怖症と診断された場合、「カウンセリングで原因を究明し、ゆっくりと治療を進めます。場合によっては、服薬治療を行います」と説明します。
うつや引きこもり…二次的な症状を避けるには?
失笑恐怖症の人は周囲からこの病気の理解を得られず「対象物への緊張・ストレス・恐怖から生活に支障をきたすことがあります」と、信田先生は説明します。
さらに、二次的な症状に発展してしまうこともあるようです。
「人間関係の悪化により、不眠や食欲減退、アルコールへの依存、うつ状態になることもあります。さらに、引きこもりのきっかけとなってしまうこともあるので注意が必要です」
信田先生は、このような状況を避けるために「失笑恐怖症の診断を受け、身近な人や会社には伝えるようにしましょう。病気について周囲へ伝えることに不安を感じる場合には、医師を通して伝える方法もあるので病院で相談するのも良いでしょう」と解決策を提示してくれました。
最後に「恐怖や失敗は誰にでもあるものです。しかし、その恐ろしさから逃れられないという場合は少し心が疲れているのかもしれません。
病院では、そのような方の回復のサポートをしてくれるので、気軽に相談しましょう」と、心の不調を抱えて生きづらさを感じている人に対し、アドバイスを送ります。
まとめ
失笑恐怖症は、過度のストレスや緊張から笑ってはいけない場面で笑いがコントロールできないという心の病気です。
周りの人からの理解を得られず悩む方も多いのですが、そのことが原因で人間関係が悪化し、二次的な症状に発展するケースも考えられます。
緊張を要する場面で笑いを止められない場合には、精神科や心療内科で相談することをおすすめします。
取材協力:しのだの森ホスピタル 信田広晶 先生
執筆・監修ドクター
経歴昭和61年3月 青山学院大学文学部教育学科心理学専修コース卒業
平成6年3月 東邦大学医学部卒業
平成6年4月 東京女子医大病院で臨床研修を終え、
東京女子医大精神神経科入局
平成8年7月 武蔵野赤十字病院心療内科勤務
平成11年10月 しのだの森ホスピタル入職
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