中谷 武嗣先生(日本循環器学会認定 循環器専門医)にインタビュー
米国で人工心臓や心臓移植について学び、日本の医療発展に貢献
当時は、カテーテル検査を含め多くの治療は心臓外科で行っていたため、技術の習得を目指し、循環器内科ではなく心臓外科を選びました。治療手段の一つである手術を通して、多くの人を救いたいという思いが当時からありました。
その後米国に留学し、小児を含む心臓血管外科の手術を多く扱っている病院においてあらゆる症例を診ました。中でも、私は末期の心不全の方に対する補助人工心臓及び心臓移植治療に注力しました。米国の医療現場でさまざまな経験をできたことがとても印象に残っています。
米国から帰国後は心臓外科の外来を担当していましたが、心臓移植が実施されてからは心臓移植後のフォローを行っていました。心臓移植をするとその後、一生涯免疫抑制療法を続ける必要があり合併症のリスクがあるので、心臓移植後の経過観察も丁寧に診なければなりません。手術だけして終わりではなく、患者さんと長くお付き合いさせていただくことを前提として、しっかりとサポートしていました。
心不全の検査から術後のフォロー、予防まで一貫してサポート
当院では、基本的にはお薬を用いて治療を行います。最近心不全に対する新たな薬が開発され、糖尿病薬として用いられていた「SGLT2阻害薬」なども意欲的に用いるようにしています。脱水などの副作用が現れる可能性があるので、ご年配の方に対しては特に注意して処方しています。
そのほか、心不全の治療法として心臓リハビリテーションを設立しました。リハビリテーションを通して今後の生活を見据えた運動療法など提案しています。心不全が重症化しないよう、予防にも目を向けて多方面から尽力していきたいと考えています。
高血圧の方は、全身に血液を送り出すために心臓に大きな負担がかかり、心臓の筋肉がだんだん厚くなります。さらに進行すれば心臓による血液循環がうまくできなくなり、やがて心不全にいたります。当院は高血圧の予防にも力を入れており、食事指導や生活指導のアドバイスをしています。
心房細動(不整脈)になると、心房がけいれんを起こしたような状態となり血液を送り出す機能が低下して、心不全を引き起こすことがあります。ご年配の方は特に心房細動が起こりやすいので、突然動悸がおこったり、ふらつき・立ちくらみを起こしたりするようであれば速やかにご相談いただければと思います。
医療連携を強め、快適に医療を受けられるような体制づくりにも注力
在宅での診療を進めるためには、医師、看護師以外にもケアマネジャーなどより多くの医療関係者や関係各所が関わることになります。ハートノートは患者さんの状態がわかるようになっています。特に在宅の心不全患者さんの管理は医師一人ではできないので、患者さんが快適に医療を受けるためにもこのノートを重宝しています。今後もご年配の方が増えることを考え社会環境に応じた医療連携が必要ですね。
そのほか、地域の皆さまの健康を維持し、急性期の病気にも対応できるよう24時間救急受付もしています。医師をはじめ各種医療従事者が在籍しているのが当院の強みですので、どうぞ気兼ねなくお尋ねください。