
渡辺 聡先生(日本小児科学会認定 小児科専門医)にインタビュー
家族や地域全体が幸せになれば、子どもたちも自然と笑顔になる
2003年に「名古屋市立大学 医学部 医学科」を卒業後、地元長崎に戻り、「長崎大学医学部・歯学部附属病院」「長崎市立市民病院」などで診療経験を積んでまいりました。大学時代も小児科の勉強を続けていましたし、いずれは小児科の医師に進むものだと考えていましたね。やはり小児科の魅力は、将来を担うお子さまの未来の実現を手助けできることに尽きます。
ちょうど私が入学した頃に「次世代シーケンサー」と呼ばれる装置が実用化されたのですが、装置を活用することで膨大な量のデータを収集・解析し、より有益な知識を得られるようになりました。それによって、診断が難しい病気の原因を見つけられるようになった時代でした。この大学院時代の経験は今になっても十分生かされていると思いますね。
特に遺伝学的な分野を学んできたからこそ、単に病気を診療するだけでなく、お子さまや親御さまがのびのびと暮らせるようアドバイスし、サポートすることも医師としての役目だと考えています。不登校気味のお子さまが相談に来た場合は、「楽になるために学校に行こうね」「学校に行けば自動的に全部教えてくれるし、ひとりで全部やるのは大変だよね」など、お子さまの将来や気持ちに寄り添いながらお話しています。こうしたアドバイスができるのは、いろいろなタイプのお子さまと関わってきたことが大きく影響していると思いますね。
お子さまだけでなく、親御さまが抱える不安も消してあげることが大事
当院では長崎市の乳幼児健診や定期予防接種を受けられるお子さまと、診療でご来院されるお子さまが別々の空間になるよう配慮していますので、気兼ねなく過ごしていただけます。また予防接種については時間を区切っておらず、診療時間内であればいつでも受診できるのも特徴だと思いますね。
私はこれまでに自閉症やADHDの症状が強いお子さまをたくさん診てきましたが、発達障害は遺伝だけが原因でなく、家庭環境による影響も少なくありません。当院は、選択肢のひとつとして療育を提案しております。お子さまへの支援はもちろん、親御さまも療育を受けることで、困ったときにいつでも相談することができます。どうか一人で悩まず、お子さまの生活について一緒に考え、お話しましょう。
診療でこだわっているポイントは怒られない・嫌な思いをしない診療です。例えば、熱が出てすぐ小児科に行ったら「こんなに早く来ても意味ないよ」と先生に言われたので、今度は時間をおいて病院に行ったら「なんでもっと早く来なかったの」と言われて結局は怒られるみたいな。そういうのは私も嫌ですし、患者さまには良い気分で帰ってもらいたいですよね。