
医師
山根 宏昭
取材日:2022年11月8日
山根 宏昭先生(日本消化器外科学会認定 消化器外科専門医)にインタビュー
外科医療のみにとどまらず、薬物療法の分野に目を向けた勤務医時代
勤務医時代に力を入れていた分野や治療についてお伺いします。
臨床研修期間が終了して以降は勤務医として働き、主に消化器系の手術に注力していました。外科へ進んだきっかけは、父親が外科の医師ということもあり、自然な気持ちで外科を志していたと思います。また、臨床研修医時代に外科をまわった際、指導していただいていた先生が手術を懸命に行う姿に心を打たれ、「自分もああなりたい」と思い外科に進む意志を固めました。
勤務医時代は、「いつかは山根クリニックに戻るんだ」というイメージを持ちながら、知識の習得や経験を積むことに尽力しましたね。
勤務医時代は、「いつかは山根クリニックに戻るんだ」というイメージを持ちながら、知識の習得や経験を積むことに尽力しましたね。
勤務医時代の経験が生かされているなと感じる瞬間はありますか?
手術を受ける患者さまとの付き合い方ですね。手術が必要な方に対しては、手術が終わるまで付きっきりで見守ります。手術というミッションを達成するだけでなく、患者さまと向き合いながら状態の把握に努める大切さを勤務医時代に学びました。自分自身のキャリアを形成するうえで、有意義な時間を過ごしたと思います。そして、患者さま一人ひとりに丁寧に対応し、周囲と協調しながら診療を行う先輩医師の姿勢はとても勉強になりました。
現在は、勤務医時代と立場が逆になり、こちらから患者さまを送る側になりましたが、診察時は今この人がどういう状態でどのような手術が必要か理解したうえで説明できるのが強みだと思いますね。
現在は、勤務医時代と立場が逆になり、こちらから患者さまを送る側になりましたが、診察時は今この人がどういう状態でどのような手術が必要か理解したうえで説明できるのが強みだと思いますね。
外科から、薬物療法の分野に関心が広がったのはなぜですか?
勤務医になって、外科手術に対する関心から「日本外科学会認定 外科専門医」、「日本消化器外科学会認定 消化器外科専門医」といった外科系の資格をふたつ取得しました。その後、末期がんの患者さまを担当する中で、緩和ケア治療や終末期治療に関心が高まり、「日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医」を取得し、勉強や経験を通じて多くのことを学びました。
また、入院や手術が必要な患者さまを連携先の医療機関に送る際は、手術後の先を見据えて説明しています。これらの行いは、勤務医時代の経験プラス「日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医」を有しているからこそ、発揮できるのではと感じています。
また、入院や手術が必要な患者さまを連携先の医療機関に送る際は、手術後の先を見据えて説明しています。これらの行いは、勤務医時代の経験プラス「日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医」を有しているからこそ、発揮できるのではと感じています。
患者さまが気兼ねなく検査・治療を受けられる環境づくりに力を注ぐ
逆流性食道炎では、どのようなタイプの方が相談にこられますか?
逆流性食道炎で相談に来られる患者さまの年齢層は幅広いです。逆流性食道炎になりやすい方の特徴としては、働いている世代であればストレス、ご高齢の方であれば骨粗しょう症などで腰や背中が曲がり発症するケースがあります。特に太り気味の方は内臓脂肪が蓄積して逆流が起こりやすい状態なので、生活習慣をあらためるように指導を行っています。あとは、食後すぐ横になる方も注意が必要ですね。
中には逆流が起こらなくても、胃カメラなどから逆流性食道炎と診断される場合があります。まだこの段階であれば、薬でコントロールできる状態ですので気になる症状があれば、一度検査を受けてもらいたいです。逆流性食道炎症状は人によって感じ方が異なりますので、症状・所見どちらもあわせて診察するように心がけています。
中には逆流が起こらなくても、胃カメラなどから逆流性食道炎と診断される場合があります。まだこの段階であれば、薬でコントロールできる状態ですので気になる症状があれば、一度検査を受けてもらいたいです。逆流性食道炎症状は人によって感じ方が異なりますので、症状・所見どちらもあわせて診察するように心がけています。
急性胆のう炎の診療の際、先生が気を付けているポイントはありますか?
胆のう自体は、肝臓の下(おなかの右上のあたり)に位置しています。急性胆のう炎になると、みぞおちから右わきにかけて痛みが出てきます。急性胆のう炎になりやすい方の特徴として、肥満の方、40~50代以降の女性に多い傾向があるとされています。
検査では、腹部超音波(エコー)などの画像検査で胆のうの腫れを確認します。また、腫れた胆のうを押して痛みが出るかどうか確認するなど、身体所見を取り逃さないように気を付けています。悪化して手術を要する場合は、連携先の医療機関まで速やかに紹介しますし、炎症を抑える程度であれば当クリニックで対応していますね。急性胆のう炎は手術を行うことで改善すると言われていますが、「今後再発する可能性もあるので気を付けてくださいね」という話はしています。
検査では、腹部超音波(エコー)などの画像検査で胆のうの腫れを確認します。また、腫れた胆のうを押して痛みが出るかどうか確認するなど、身体所見を取り逃さないように気を付けています。悪化して手術を要する場合は、連携先の医療機関まで速やかに紹介しますし、炎症を抑える程度であれば当クリニックで対応していますね。急性胆のう炎は手術を行うことで改善すると言われていますが、「今後再発する可能性もあるので気を付けてくださいね」という話はしています。
大腸がんに対する考えやアプローチ方法などがあれば教えてください。
大腸がんは自覚症状に乏しく、気づきにくい疾患です。早期発見のためにも検査は受けてほしいなと思います。検査では胃カメラ・大腸カメラのほか、便潜血検査で大腸がんの有無を調べることもできます。
単純に「検査してくださいね」と伝えるだけでなく、検査を受けてもらうための工夫や、受けやすい環境づくりを大事にしていますね。下剤はご自宅で服用していただいて問題ありませんし、ご希望の方には鎮静剤を用いて検査を行います。検査終了後は少しの間ベッドで休んでいただきますが、おなかの状態を確認したあとはすぐ帰宅できます。なお、鎮静剤を使用した場合、お車の運転はご遠慮いただいております。
単純に「検査してくださいね」と伝えるだけでなく、検査を受けてもらうための工夫や、受けやすい環境づくりを大事にしていますね。下剤はご自宅で服用していただいて問題ありませんし、ご希望の方には鎮静剤を用いて検査を行います。検査終了後は少しの間ベッドで休んでいただきますが、おなかの状態を確認したあとはすぐ帰宅できます。なお、鎮静剤を使用した場合、お車の運転はご遠慮いただいております。
地域の医療機関と患者さまをつなぐ、中継地点となる場所にしたい
先生がこれから力を入れたていきたい疾患や検査はございますか?
高齢化に伴い、高齢者のがん患者はますます増えるのではと考えています。そのため、通院が困難な高齢のがん患者さまが、慣れ親しんだご自宅で過ごせるように、一人でも多くサポートできることを望んでいます。「日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医」として、ひとつの診療科目に限定されることなく、がん全般に対応できるのが強みでありわれわれの役割だと思っています。
クリニックとして目指している部分では、大きな病院と患者さまを結ぶ「中継地点」のような役割を担えるようになることです。何かあった場合は当クリニックまで来てもらって、必要があれば医療機関まで迅速に紹介する。そうすることで、患者さまの行き帰りの負担も軽減されるのではないでしょうか。
クリニックとして目指している部分では、大きな病院と患者さまを結ぶ「中継地点」のような役割を担えるようになることです。何かあった場合は当クリニックまで来てもらって、必要があれば医療機関まで迅速に紹介する。そうすることで、患者さまの行き帰りの負担も軽減されるのではないでしょうか。
今後、在宅診療をするうえでの課題点があれば教えてください。
訪問診療に力を入れている理由は、慣れ親しんだ場所で最期を迎えたいという患者さまの思いをサポートするためです。在宅で受けられる検査をそろえていますので、可能な限りご自宅でゆっくり過ごしていただくことがわれわれの願いです。がん患者さまのみならず、脳血管疾患や神経変性疾患などで通院が困難な方に対しても訪問診療を行いサポートしています。これからも、壮年期から終末期まで一貫した医療を提供できるよう頑張りたいと思います。
最後に通院されている患者さまへメッセージをお願いします。
当クリニックには本当にさまざまな症状の患者さまが来られますね。例えば、クリニックのそばで転倒してそのまま駆け付けて来たとか、手を切ってしまった、爪が割れてしまったなど、アクシデントによるけがの相談も多いですよ。日常でのけがから健康についてのご相談まで、どんなことでも結構です。いつでも遠慮せず受診していただければと思いますね。今後もよろしくお願いいたします。