今川 宏樹先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
研修医時代、内視鏡に魅力を感じ消化器内科の医師の道に進む
私は、大学病院では、小腸内視鏡を研究していたので、小腸内視鏡も担当しながら、内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)のような早期がんに対する内視鏡治療についても、学ばせてもらいました。
2015年からは、国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンターに勤務し、2018年から勤務した広島記念病院では内視鏡室医長を務めました。これまで、勤務してきた病院では、内視鏡の検査や治療に携わらせていただくことが多かったですね。
内視鏡を生涯の仕事にしていきたいと思い、「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」、「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」を取得しました。資格を持っていることで、患者さまも不安なく受診していただきやすくなるのではないかと思ったためです。
「日本内科学会認定 総合内科専門医」は、さまざまな内科疾患に対して、総合的に診療していくために必要だと考えて取得しました。
また、私は2019年に当院の院長を継承しました。開業医として内科全般を幅広く診療していますので、「日本内科学会認定 総合内科専門医」を取得するために学び直してよかったと感じています。消化器内科の勤務医として、これまであまり診る機会がなかった膠原病や不明熱の患者さまが受診された時も、問診で伺った症状に応じてこういった検査をしたらよいのではないかと対応できるのは、学び直した知識が活かされているからだと思います。
「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」も、試験を受けるためにこれまでの経験を再確認したことで視野が広がり、多角的に診断することができるようになりました。
勤務医時代の経験を活かして、胃・大腸内視鏡検査に尽力する
胃がん発症のリスクを減らすためにも、胃内視鏡検査を一度も受けたことがないという方には、お声がけをして検査をご提案していきたいと考えています。胃もたれ、吐き気、胃痛、胃の不快感といった症状が現れる方もいらっしゃいます。しかし、感染しても無症状の方がいらっしゃるため、検査をしたことがない方や、ご家族に感染者がいる方には検査をご提案しているのです。
廿日市では、公費助成による胃内視鏡検査による胃がん検診(※)もおこなっており、当院でも対応していますので、活用していただきたいと思っています。
(※)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。自由診療となる場合もありますので、料金表をご確認ください。
胃潰瘍は、ピロリ菌感染症が原因で発症するほか、脳梗塞、心筋梗塞の治療に使用される血液をサラサラにする抗血栓薬や鎮痛剤の服用が原因で発症する場合もあります。胃痛症状のほか、貧血や血の混じった黒い便が出る場合、胃潰瘍の可能性も考えられますので、胃内視鏡検査を受けていただきたいと考えています。
また、ご年配の方は、ピロリ菌に感染したことのある方も多く、お薬を服用されている方も多いため、注意していただければと思います。胃潰瘍であった場合には、ピロリ菌の検査もおこない、感染が認められたら除菌治療まで終わらせることが大事です。そのため、最後までしっかりとサポートできる環境を整えております。
例えば、胃内視鏡では細径スコープを導入しております。細径ながらも、微細な血管や粘膜の表面も観察できる新しい機種を導入することで、苦痛に配慮しながらも通常径のスコープで確認するのと遜色のない検査ができるように工夫しているのです。また、胃内視鏡も大腸内視鏡も検査の際には鎮静剤を使用します。
大腸内視鏡検査では、下剤を服用して腸をきれいにする前処置をおこなっていただく必要がありますので、プライベートに配慮した個室をご用意しています。胃・大腸内視鏡ともに、TXI(構造色彩強調機能)を使用できる新しい内視鏡システムを導入しています。TXIモードを使用することで、通常光観察では見えにくいわずかな色調や構造の変化まで観察できますので、検査時の見落としをできるだけ少なくすることや、検査時間の短縮につながっていると思います。
胃・大腸がんの早期発見を目指し、生まれ育った地域への医療貢献を目指す
廿日市市では、胃内視鏡を用いた胃がん検診(※)や便潜血検査による大腸がん検診(※)をおこなっており、当院でも対応しています。こういった公費による助成制度も活用していただきながら、多くの皆さまに検診を受けていただければ幸いです。
(※)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。自由診療となる場合もありますので、料金表をご確認ください。
例えば、下痢や便秘、血便や下血といった症状が現れた時には、既に進行した大腸がんである可能性が高いと考えられます。早期発見のためには、便潜血反応検査を受けていただき、陽性だった場合には大腸内視鏡検査を受けていただくことが大切です。
院内感染を心配されて受診を控えている方の立場に寄り添い、できるだけ不安を軽減できるように努めていきたいと思います。そのために、衛生管理に力を入れるのはもちろんのこと、スタッフ教育にも、これまで以上に力を入れていきたいですね。
「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」として、勤務医時代から従事してきた内視鏡検査により、胃がん・大腸がんの早期発見・早期治療に努め、地域医療に少しでも貢献できたらと思っています。内視鏡検査は、苦しいものという印象をお持ちの方も多いかもしれません。しかし、機器の進歩と医療関係者の努力により、一昔前よりも検査時の苦痛は和らいでいると思います。胃がん・大腸がんの早期発見のためにも、胃・大腸内視鏡検査を受けていただければ幸いです。