
井上 洋二先生(日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医)にインタビュー
あらゆる病気の可能性を見極め正しい診断により患者さまに適した治療を提案
診断後は、IPSS・QOLスコアという質問表に沿ってお答えいただき症状を定量化した上で、患者さまがどの程度困っているかを把握し、納得いただける治療を一緒に考えながら治療を進める方針です。場合によっては、お薬の投与などをすぐには始めず、日常生活での排尿の時刻と排尿量を記録していただくなど、詳細データを集めて分析してから治療を始めることもあります。また、重症の場合には、近隣の病院での手術を提案いたします。なお、その場合は、手術後のフォローまで一貫して担当させていただいています。
さらに、内服薬で治療が難しい場合は、難治性過活動膀胱としてボトックス療法という、ボツリヌス毒素を膀胱内に注入する治療方法を提案します。外来通院での治療が可能で当クリニックでも行っており、局所麻酔で行う手術で、一度打つと半年くらいは作用が続きます。
なお、内服薬にもいくつか種類があるので、患者さまにとって、日常生活がしやすくなったかどうか、などについて定量評価しながら、一人ひとりに合ったお薬を選ぶようにしています。
膀胱の痛みという症状としては、共通していますが、間質性膀胱炎の場合、尿がたまってくると膀胱に痛みを感じて、排尿すると楽になるという特徴があります。そのため、まずは膀胱鏡検査で粘膜を観察し、間質性膀胱炎に特徴的なハンナ病変の有無を調べます。治療としては、抗炎症作用のあるお薬(漢方薬も含む)を内服するほか、膀胱の中にお薬を注入する方法(保険適用)もあります。
排尿障害の研究に注力。診断・手術・術後のケアまで一貫してサポート
手術を提案し、患者さまに納得いただけた場合は、主に私が以前務めていたマツダ病院にご紹介する形になりますが、そこで私が執刀することもできますし、術後のフォローもしっかりといたします。
そういう状況を目の当たりにしたことから、間質性膀胱炎の診療に注力することが、私の人生の中で大切な使命だと感じるようになりましたね。勤務医時代に排尿障害に悩む、さまざまな患者さまと向き合ってきた経験が、今の診療にもいきていると思っています。
良性疾患だけでなく、がんなどの命に関わる重い病気を扱うこともあり、患者さま一人ひとりの人生と向き合えるので、医師としての責任とやりがいを感じています。
訪問診療や完全予約制に対応し、地域の方が受診しやすい環境づくりに尽力
また、患者さまのご家族に対しても、困っていることや気になることがあれば、いつでもご相談いただきたいと思っています。訪問診療でご自宅に伺い、生活環境を直接見て気づいたことがあれば、「こういうところに気をつけると合併症予防になりますよ」などと随時お伝えするよう心がけています。
例えば、完全予約制を取り入れることで、密を避け、待ち時間をより軽減し、スムーズにご案内できるよう努めています。また、お悩みを打ち明けやすい雰囲気づくりにも努め、スタッフとともに、笑顔で患者さまをお迎えしていますので、排尿についてお悩みの際にはいつでも気兼ねなく、まずはお電話でご相談いただければ幸いです。