江藤 智麿先生(日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医)にインタビュー
尊敬する先輩医師の姿を見習い、いつも患者さまの立場に立った診療を行う
また、月経痛や更年期障害の患者さまの診療をする機会が増えたことに伴い、ホルモン治療の有用性も改めて実感しています。月経痛も更年期障害も、どちらもホルモン治療が改善のための一つの手段です。率先してご提案することで、一人でも多くの方の生活を今よりも楽にして差し上げられればと思っています。
治療の際にまず大切にしているのは、患者さまの不安やつらさを和らげること
診療時に心がけているのは、原因を特定し患者さまの不安を和らげることです。やはり患者さまは「自分の身体に何か起こっているのではないか」と不安を抱えてお越しになります。「何が原因で」「自然と止まるものなのか」「お薬を飲んだほうがいいのか」はたまた「手術が必要になってしまうのか」など、原因とともに今後の予測・対処についてきちんとお話しすることが大切だと考えています。
また、不正出血は子宮頸がんや子宮体がんの症状の一つでもあります。悪性腫瘍が原因であることはそれほど多くはありませんが、数が少ないからといって見落とすことはできません。そのため「がんが潜んでいないか」を頭に入れて診療しています。
痛みを和らげる方法としては、痛み止めのほか、低用量ピルなどのホルモン剤も選択していただくことが可能です。低用量ピルは、子宮内膜症の進行を抑制する作用が認められています。妊娠を希望する方には残念ながら服用いただけないのですが、妊娠を希望される段階でいったん服用をやめていただくということも可能です。それにより月経痛が再度現れるということもありますので、そのような際にはできるだけ早く妊娠をするようにサポートをさせていただいています。
だからこそ何よりも大事なのは、患者さまのお気持ちに寄り添うことだと思っています。お薬による治療ももちろん大事ですが、中には「誰も理解してくれなかったけど、更年期によるものだとわかってすっきりした」とお薬を使わずに楽に過ごせるようになった方もいらっしゃいます。まずは患者さまのお話をよくお聞きし、お気持ちに寄り添い、「そんなに苦しまなくてもいいんだよ」とお伝えすることが、医師として大切なことなのではないかと思っています。
一人でも多くの女性が楽に過ごせるように、相談しやすいクリニックづくりを
社会進出を含め、女性の可能性はどんどん広がってきています。今よりももっと精神的・身体的に楽に過ごせる時間が増えることによって、その可能性や能力は高まっていくと思います。産婦人科の医師としては、産婦人科の受診のハードルをもっと下げること、そして「もっと楽をしていいんだよ」という考え方を広めていくことに力を入れていきたいと思っています。
もちろん、皆さまが元気に過ごせることが何よりも大切ですので、クリニックに来る必要がなくなればそれに越したことはありません。ただ、改善法がわからずにつらい思いをしている方もいらっしゃると思います。私たちが診療を続けていくことで「江藤クリニック内科・婦人科に行ったら楽になったよ」という方が増え、その結果、誰にも相談できずに我慢している方が一人でも少なくなっていってくれたら、医師としてとてもうれしく思います。