安澄 健次郎先生(日本眼科学会認定 眼科専門医)にインタビュー
身近な疾患で終わらせず、隠れた病気がないか綿密な診察で早期発見
アレルギー性結膜炎の診療で大切にしていることは、要因を探ることです。症状を引き起こしているアレルギー物質によって、治療方法や対策方法が変わります。
当クリニックでは、採血検査などで原因物質を探り、点眼薬をメインに、ご状態に応じて内服療法を用いた治療をいたします。加えて、アレルギー物質に対する防止策のアドバイスも行います。例えば、花粉症によるアレルギー性結膜炎の場合、花粉症専用の眼鏡を着用するなど提案が可能です。結膜炎は強い症状が出る前に点眼を行い、原因物質との接触を避けるようにすれば、症状の軽快が望めるので、早めにご相談いただくことが大切です。
ドライアイの診療で大切なのは、患者さまのお話をよくお聞きすることです。長時間パソコン画面を閲覧するなど生活習慣から原因が解明できることがあります。治療はさまざまな点眼薬があり、状態に応じた処方を行います。その他、普段の生活の中でできるアドバイスもしています。意識的にまばたきの回数を増やしたり、点眼薬をしっかり行ったりするなど、乾燥を防ぐ方法や目が疲れない方法で予防することができます。
そのため、近視においても原因を解明することが重要になります。私は東京医科歯科大学であらゆる近視のケースを診療してきた経験を生かし、合併症の有無と他の疾患が隠れていないかにも重きを置き、鑑別するようにしています。また、その診断力を生かし、お子さまの近視抑制治療が必要と判断した場合など、状態に応じた医療機関への紹介も行っています。視力は生活の質に大きく関わるので、ささいなことでも異常を感じられたらお早めにご相談いただきたいです。
勤務医時代に得た知識と技術で、初期段階でも見逃しを防ぐ診断力で貢献
勤務医時代は白内障などの眼科の手術をよく行っていたので、「よく見えるようになった」と喜んでいただける機会が多く、それがやりがいにつながっていましたね。私は近視の診療を担当していたため、視野が欠けて見えるという方がいらしたこともありました。お話を伺うと脳梗塞にある特徴的な目の症状でした。すぐにMRI検査を行い脳神経外科の先生につなげたことが功を奏して、大事にいたらずにすみました。
クリニックにも網膜剥離の初期段階の方が何名かいらっしゃったことがあります。早期に発見できたことで失明せずに現在も元気に過ごしていらっしゃるのが嬉しいですし、医師としてのやりがいにもつながっています。
実際、町のクリニックでも大学病院のときと診る疾患はほとんど変わりません。勤務医時代に得た知識や技術経験を生かしながら、品質を保った診療ができていると感じています。
目の疾患にはさまざまなものがありますが、眼科の医師としての役割はいつまでも目の健康を維持し、いかに失明しないようにするかが重要です。そのためには、患者さまのお話をしっかりと聞いてよく診ることがあらゆる見逃しを防げることにもつながると感じ、私が医師になったときから大切にしている診療のスタイルです。
目の健康寿命を延ばすため早期発見・治療を目指し、地域医療に尽力
目の疾患の中には、初期段階では自覚がなくても将来的に失明リスクがあったり、他の疾患が隠れていたりすることもあります。わかりにくい症状だからこそ、もし健診などで指摘をされたことがあったら、そのままにせず一度眼科を受診いただきたいと思います。
できるかぎり目でさまざまな人の笑顔や美しいものが見られる人生を送っていただけるよう、私たち眼科の医師がサポートさせていただければと強く願っています。