安井 信隆先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
消化器疾患の発見のため、胃・大腸内視鏡検査を精力的に実施
大腸内視鏡検査においては、便通異常や便潜血などの検診異常を指摘されて来院される方が多いですね。がんになる可能性のあるポリープなどを見つけることができ、早期治療につながります。私はもともと外科の医師で執刀経験があるので、大腸の立体的特性をある程度イメージできていることも苦痛の少ない内視鏡検査と早期発見に役立っていますね。
検査で何より重要なのは疾患を見逃さないことです。そのため、当クリニックは青色レーザー光を利用するBLIと赤い色を強く強調するLCIが搭載された内視鏡システムにより、悪性の可能性のある部位を見極めるようにしています。
早期発見のために大切にしていることは、便潜血で引っかかったら内視鏡検査を受けていただくようにお伝えすることですね。また、大腸がんが増加傾向にあることから5~10年ごとに内視鏡検査を受けていただくことも大切です。そのほか、ご家族に大腸の病気歴のある方がいらしたら、意欲的に検査を受けていただけるようご提案しています。
食道がんに関しては、原因となるお酒とたばこの消費量が年々減っている傾向から、がんにかかる方も少なくなる可能性があります。逆に、大腸がんは動物性タンパク質や脂質の摂り過ぎ、運動不足が要因となり、増加傾向にあります。
当クリニックではご要望の方を中心に、食事や生活習慣に関するアドバイスを行っています。食道がんが心配な方には、「お酒やたばこを止めることが大切ですよ」とお伝えしたり、大腸がんであれば、生活習慣の見直しのほか、定期的な検査をご提案したりしています。検査については、その必要性を説明しますが、それぞれのタイミングやご事情もあると思いますので、ご本人の意思を何より尊重するようにしています。
手術で救うには、まず見つけることが重要だと認識し、内視鏡検査に注力
私は、内視鏡検査の中でも、特に大腸の内視鏡検査に携わらせていただきましたね。大腸は胃に比べて、長さや形に個人差があります。一人ひとりに見合うよう、検査に工夫が必要だというところに魅力を感じて、手が自然と動くぐらいまで熱心に学びましたね。若い医師に教える際も、個人差がある大腸を自然に診られるようになるにはさまざまな大腸を診る必要があるよと伝えています。
検査を行う際は、慣れているからこそ疾患を見逃さないよう緊張感を持つようにしています。内視鏡検査におけるより良い方法はまだまだあると思っていますので、日々研さんを積んでいきたいと思います。
診療する上で何より大事にしていることは、「受診しやすいクリニック」であることです。ささいなことでも、困ったときに気兼ねなく相談できるクリニックであれば、それが早期発見につながると考えているからです。
病院に喜んで来院する人はいないでしょうから、勇気を持って足を運んでくださった方にはこちらも敬意を表したいと思っています。忙しい中時間を作り、気持ちを整理し、踏み出して来院する方には私で良ければ親身になってお話を伺います。
人間の特性と新しい機器の利点を生かした医療で、早期治療につながる未来へ
AI診断に注目していますね。現段階では、臨床の現場での使い勝手があまりよくない印象ですが、今後に期待しています。病変の見逃し防止に役立つシステムなので、AI診断の能力が向上すればより早い段階での治療につなげられると思います。
しかしながら、今はやはり私自身も「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」として、病変の見逃しをしないようにということを大事にしています。検査が苦痛だと、不十分な観察になってしまい、望ましい検査ができないこともありますので、検査を受ける方が少しでもリラックスできる環境作りを今後も心がけていきたいですね。人間の持つ特性を大切に、新しい機器のサポートも得ながら、患者さまが健康な生活を送れるような医療提供を目指していきたいと思います。
術後の病診連携とは、がんの手術を受けた病院施設と日常診療を担当するかかりつけの診療機関が協力する体制のことです。患者さまの情報を共有しながら、無駄な検査や投薬の重複をなくすことで、患者さまにとって経済的にはもちろんのことお身体にも負担の少ない医療を提供することが目的です。
日常の診療を支えるかかりつけのクリニックとして、地域の医療機関と連携しながら疾患の早期発見・早期治療に尽力いたします。