お一人おひとりに寄り添い生活背景や治療後の社会生活まで考慮して診療する医師
院長
宮本 浩司
取材日:2023年1月16日
宮本 浩司先生(日本精神神経学会認定 精神科専門医)にインタビュー
疾患の原因究明に力を入れ、生活背景に寄り添った診療を提供
初めに、うつ病の診療をするうえで大切にしていることを教えてください。
うつ病は、気分の落ち込みや行動意欲の低下といった精神症状、疲れやすさなどの身体症状が現れる疾患です。原因はまだ解明されていませんが、精神的・身体的ストレスにより脳の働きに不調が生じていると考えられているため、お一人おひとりの生い立ちや育ってきた環境、生活背景などを丁寧に伺うことを大切にしています。
またそのうえで、薬物療法や患者さまを取り巻く環境の調整など、その方に合わせた治療を行うことも大切にしていることです。地域柄、当クリニックにはお仕事に対してストレスを抱えている方が特に多くいらっしゃるので、会社の方とこまめにやりとりをし、業務量の軽減や休職のご提案をすることもあります。
またそのうえで、薬物療法や患者さまを取り巻く環境の調整など、その方に合わせた治療を行うことも大切にしていることです。地域柄、当クリニックにはお仕事に対してストレスを抱えている方が特に多くいらっしゃるので、会社の方とこまめにやりとりをし、業務量の軽減や休職のご提案をすることもあります。
自律神経失調症の患者さまに対して気を付けていることはありますか？
患者さまの中には、自律神経失調症が背景となってパニック障害を引き起こしている方や、他の疾患を併発している方も多くいらっしゃるため、合併症がないかを特に気を付けて診るようにしていますね。自律神経失調症はストレスやホルモンバランスの乱れ、季節の変化などによって、疲労感や倦怠感、めまいなどの症状が現れる疾患ですが、若年者では起立性調節障害があることも多いので、しっかりと見極める必要があります。その傾向がある場合は看護師にも協力してもらいながら診療を進めていきます。
予防としては、日常的なストレスの軽減や規則正しい生活、バランスの良い食事などが重要になります。うつ病と同様に、お一人おひとりの生活背景に合わせてアドバイスをさせていただいています。
予防としては、日常的なストレスの軽減や規則正しい生活、バランスの良い食事などが重要になります。うつ病と同様に、お一人おひとりの生活背景に合わせてアドバイスをさせていただいています。
睡眠障害がある方に対しての治療では、どのようなことを意識していますか？
睡眠障害は、寝付きの悪い入眠障害や寝ている最中に何度も目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚める早朝覚醒、ぐっすり眠れない熟眠障害の四つに分けられます。これらの背景には、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群、アレルギー性鼻炎などが隠れていることがあります。中には、コロナウイルス感染症による咳が原因となっていて、ご自身では気付いていないという場合もあるので、問診や採血を行いしっかりと鑑別をするようにしています。
治療は生活習慣の指導や薬物療法を主に行っていますが、より専門的な治療が必要な場合は、対応している連携医療機関をご紹介しています。
治療は生活習慣の指導や薬物療法を主に行っていますが、より専門的な治療が必要な場合は、対応している連携医療機関をご紹介しています。
心につらさや悩みを抱えている方に寄り添いたいと考え、精神科の道へ
精神科・心療内科の分野を学ばれたきっかけはなんだったのでしょうか。
もともとは内科と精神科の分野に興味があったのですが、臨床研修先の医局の雰囲気が良かったことや、指導していただいた教授の影響もあり、精神科に進む選択をしました。また、患者さまが抱えているお悩みや心のつらさに寄り添い、サポートしていくということに精神科の医師としてのやりがいを感じたのも、きっかけの一つです。
勤務医時代は、「臨床での経験を大切に」という教授の教えのもと、一人ひとりの患者さまとしっかりと向き合いながら診療することに力を入れていました。それと同時に論文を読みこんだり、学問的なことを学んだりして、知識を得ることと経験を積むことの両立を図っていましたね。さまざまな経験をさせていただいたおかげで、臨機応変に対応できる力が付いたと思っています。
勤務医時代は、「臨床での経験を大切に」という教授の教えのもと、一人ひとりの患者さまとしっかりと向き合いながら診療することに力を入れていました。それと同時に論文を読みこんだり、学問的なことを学んだりして、知識を得ることと経験を積むことの両立を図っていましたね。さまざまな経験をさせていただいたおかげで、臨機応変に対応できる力が付いたと思っています。
勤務医時代の経験で印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
派遣先の精神科病院に勤務していた際、看護師や作業療法士、精神保健福祉士など多職種の方々が連携し、患者さまへの退院支援・社会復帰支援に取り組んでいる姿を見て感銘を受けました。病院で検査や治療を行うだけではなく、地域の医療従事者が一丸となって患者さまを支えていくという考え方、医療連携の重要さを学べたことは、私にとってとても大きな経験になったと感じています。
これがきっかけとなり、現在当クリニックでも精神保健福祉士の方に勤務していただき、社会復帰支援や行政支援につなげています。行政の支援や訪問看護など多方面からサポートすることによって、患者さまの負担が少しでも軽くなればと考えています。
これがきっかけとなり、現在当クリニックでも精神保健福祉士の方に勤務していただき、社会復帰支援や行政支援につなげています。行政の支援や訪問看護など多方面からサポートすることによって、患者さまの負担が少しでも軽くなればと考えています。
開業をする際には、医療連携のしやすさも考慮されたのでしょうか？
そうですね。勤務医時代から医療連携に取り組んできたので、大学病院や派遣先の病院、行政機関や訪問看護ステーションには知り合いが多くいます。そのような連携が取りやすい環境下で私が開業することによって、地域の方々へより身近で手厚いサポートができると考えました。高津区に開業したのも、連携先の大学病院などが同じ区内にあるためです。
また、開業したことで取り扱えるお薬の種類が増え、幅広い治療のご提案や合併している疾患へより強くアプローチできるようになりました。何か一つのことに特化するのではなく、「日本精神神経学会認定 精神科専門医」として地域に根差し、さまざまな観点から地域の皆さまのお役に立てればと思っています。
また、開業したことで取り扱えるお薬の種類が増え、幅広い治療のご提案や合併している疾患へより強くアプローチできるようになりました。何か一つのことに特化するのではなく、「日本精神神経学会認定 精神科専門医」として地域に根差し、さまざまな観点から地域の皆さまのお役に立てればと思っています。
医療連携や診療内容の拡充に取り組み、患者さまの負担軽減に尽力
今後、医師として力を入れていきたいと考えていることはありますか？
うつ病と片頭痛、不安障害と過敏性腸症候群など、精神的なものと身体的なものが併存している疾患に特に注力してアプローチしていきたいと考えています。併存していることによってお薬の種類が増えてしまったり、別の病院に通院しなければいけなかったりするのが現状なので、なるべく一つのところでまとめられれば患者さまの負担も軽減できるからです。
また、患者さまの負担軽減としてもう一つ行いたいことは、心理カウンセラーの採用ですね。今は外部にカウンセリングや心理検査をお願いしているので、おいおいは院内カウンセリングの運用を検討したいと思います。
また、患者さまの負担軽減としてもう一つ行いたいことは、心理カウンセラーの採用ですね。今は外部にカウンセリングや心理検査をお願いしているので、おいおいは院内カウンセリングの運用を検討したいと思います。
クリニック・医師としての今後の展望を教えてください。
私が帝京大学医学部附属溝口病院で勤務していたこと、私の父が昭和大学藤が丘病院の医師だったことで、大学病院や総合病院との連携は円滑に取れています。今後も引き続き密にコミュニケーションを取り、多方面からのサポートができればと考えています。医師としては、患者さまが抱えている困難や悩みを少しでも解消できるよう努力していく所存です。
最後に、先生からこのページを見ている方へメッセージをお願いします。
当クリニックは、心のお悩みに対してしっかりと原因を鑑別し、生活背景や隠れた疾患を考慮しながら診療する方針を採っています。時には地域の医療機関と連携しながら、お一人おひとりに合わせた方法でサポートします。
精神科と聞くと「病院に行くほどではない気がする」「こんなことで相談して良いのか」とためらわれる方も少なくないでしょう。しかし、当クリニックは、心がモヤモヤした時に気兼ねなく相談できる場所としてご利用いただきたいと考えています。皆さまのお力になれるよう寄り添った診療を心がけていますので、お困りのことがあれば遠慮なくお越しください。
精神科と聞くと「病院に行くほどではない気がする」「こんなことで相談して良いのか」とためらわれる方も少なくないでしょう。しかし、当クリニックは、心がモヤモヤした時に気兼ねなく相談できる場所としてご利用いただきたいと考えています。皆さまのお力になれるよう寄り添った診療を心がけていますので、お困りのことがあれば遠慮なくお越しください。
