
医師
渡邉 宏
取材日:2022年12月20日
渡邉 宏先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
症状の原因は何か、他の病気の可能性も含め丁寧に見きわめることを重視
難聴にはどんな種類がありますか?診断・治療についても教えてください。
聞こえが悪くなる病気は判別が難しいものもあるので、注意が必要です。もし、片方の耳だけが突然聞こえにくくなった、といった症状があれば、早めに受診することを提案いたします。例えば、耳性帯状疱疹といって、帯状疱疹をきっかけに起こる難聴がありますが、若い方もお年寄りも関係なく、突然発症します。帯状疱疹の症状が耳の中の神経にまで入り込み、進行すると、顔面神経まひを起こすこともあります。
加えて、耳性帯状疱疹と症状が似ていて判別が難しいのが、原因が分からない突発性難聴と、外リンパろうです。外リンパろうは、いきんだり、大きな声を出したりした時に、聴覚をつかさどる、かたつむり状の薄い膜が破れることでリンパ液が流出し、突然聞こえなくなる病気です。治療としては、いずれも、ステロイド剤を使用します。
加えて、耳性帯状疱疹と症状が似ていて判別が難しいのが、原因が分からない突発性難聴と、外リンパろうです。外リンパろうは、いきんだり、大きな声を出したりした時に、聴覚をつかさどる、かたつむり状の薄い膜が破れることでリンパ液が流出し、突然聞こえなくなる病気です。治療としては、いずれも、ステロイド剤を使用します。
症状を多角的に診るため、内科の医師と密に連携を取りながら診療
めまいや難聴の診療に際して、どのようなことを大事にしていますか?
めまいの症状を伴う病気には、メニエール病や良性発作性頭位めまい症があります。メニエール病の場合は、めまいのほか、耳鳴りや難聴、吐き気などが出ることもありますが、良性発作性頭位めまい症は、めまい以外の症状がほとんどないのが特徴です。そのため、判別するために患者さまのお話をしっかりと伺うよう心がけています。
難聴の治療は病気の種類にもよりますが、内服だけでなく、点滴が必要になることもあります。また、治療が長期にわたることもあるので、患者さまのモチベーションが下がらないようにサポートすることを重視しています。例えば、病気に対する理解や治療への意識を高めていただけるよう、資料などをお見せしながらより具体的に説明します。
治療の際にステロイドを含む場合は、長期にわたって投与すると副作用が出ることがありますし、患者さまがほかの持病でお薬を服用されていることもあるので、内科の医師とも連携しながら、治療を進めています。
難聴の治療は病気の種類にもよりますが、内服だけでなく、点滴が必要になることもあります。また、治療が長期にわたることもあるので、患者さまのモチベーションが下がらないようにサポートすることを重視しています。例えば、病気に対する理解や治療への意識を高めていただけるよう、資料などをお見せしながらより具体的に説明します。
治療の際にステロイドを含む場合は、長期にわたって投与すると副作用が出ることがありますし、患者さまがほかの持病でお薬を服用されていることもあるので、内科の医師とも連携しながら、治療を進めています。
耳鼻咽喉科の医師を目指したきっかけや、着任の経緯を教えてください。
私の家系は代々、耳鼻咽喉科の医師で、私で4代目になります。日頃から祖父や父が診療している風景を見ていましたし、食事の時には病気や診療に関することが話題として挙がっていたので、物心ついたころから自然と、私も耳鼻咽喉科の医師になるものと思っていましたね。着任の経緯については、実は当クリニック院長は私の娘婿、副院長は娘なので、少しでも役に立てればと思った次第です。
院長は内科の医師で、甲状腺の病気や糖尿病など、加齢に伴って増えがちな病気を診ています。内科の患者さまの中には、耳の聞こえが気になっている方もいらっしゃいますから、そうした方からは「持病だけでなく、耳の悩みも聞いてもらえて助かった」と言っていただけることがあります。一見、耳鼻咽喉科の病気とは関係ないような症状でお悩みの場合でも、気兼ねなくご相談に来てほしいですね。
院長は内科の医師で、甲状腺の病気や糖尿病など、加齢に伴って増えがちな病気を診ています。内科の患者さまの中には、耳の聞こえが気になっている方もいらっしゃいますから、そうした方からは「持病だけでなく、耳の悩みも聞いてもらえて助かった」と言っていただけることがあります。一見、耳鼻咽喉科の病気とは関係ないような症状でお悩みの場合でも、気兼ねなくご相談に来てほしいですね。
勤務医時代には、どのような診療や研究に力を入れてきましたか?
九州大学医学部付属病院では講師として、喉頭疾患の研究に注力していました。耳の治療については、中耳根治手術や鼓室形成術といった手術治療にも携わっていましたね。そして、佐賀大学に移ってからは助教授(現:准教授)として、先輩教授の下で、頭頚部腫瘍根治、再形成術も行っていました。その他、聞こえの悪さに悩んでいる方を集めてお話を伺ったり、質問にお応えしたりする会を開くなど、患者さまのお気持ちに少しでも寄り添えるよう努めていました。
これらの経験は、治療の技術としても、患者さまとの関わり方としても、今の診療体制の基礎となっていると思っています。
これらの経験は、治療の技術としても、患者さまとの関わり方としても、今の診療体制の基礎となっていると思っています。
より細やかな検査で症状の原因を特定し、早期治療につなげる医師
これまでの経験で、現在の診療に生きているなと思うことを教えてください。
勤務医時代に10ヶ月、アメリカに留学していました。ワシントン大学で特任教授として研究させていただいたのですが、その時の経験はとても貴重だったと思っています。声のかすれから喉頭がんなどを発見する方法や、嚥下障害といった喉の病気の検査・治療方法など、さまざまなことを学ばせていただきました。特に、今、私が診ている患者さまはご高齢の方も増えてきているので、嚥下障害について詳しく学べたことは、今の診療に生きていると思っています。
耳鼻咽喉科の医師として、どのようなことを大事にしていますか?
患者さまがお悩みの症状について、原因などをより詳しく診るための検査には力を入れています。そのため、レントゲン装置やCCDカメラを始めとした、各種医療機器を導入しています。患者さまにお話を伺った上で、気になったことがあれば、耳・鼻・喉以外のところに原因があることも視野に入れつつ、納得できるまで検査させていただくようにしています。病気をより丁寧に見きわめ、原因を特定することで、早期治療に役立てたいと考えています。
耳・鼻・喉の症状でお悩みの方に対して、一言メッセージをお願いします。
年齢、性別を問わず、耳・鼻・喉の症状でお悩みの方は、ぜひ、当クリニックにご相談に来てほしいですね。耳・鼻・喉の病気は、顔面神経まひや吐き気など、一見、耳鼻咽喉科とは関係ないと思われる症状が出ることもあります。そのような場合でも、当クリニックでは内科の医師と連携し、さまざまな可能性を視野に入れつつ、診断できる体制ですので、気兼ねなくお越しいただければと思います。