渡邉 宏先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
症状の原因は何か、他の病気の可能性も含め丁寧に見きわめることを重視
加えて、耳性帯状疱疹と症状が似ていて判別が難しいのが、原因が分からない突発性難聴と、外リンパろうです。外リンパろうは、いきんだり、大きな声を出したりした時に、聴覚をつかさどる、かたつむり状の薄い膜が破れることでリンパ液が流出し、突然聞こえなくなる病気です。治療としては、いずれも、ステロイド剤を使用します。
症状を多角的に診るため、内科の医師と密に連携を取りながら診療
難聴の治療は病気の種類にもよりますが、内服だけでなく、点滴が必要になることもあります。また、治療が長期にわたることもあるので、患者さまのモチベーションが下がらないようにサポートすることを重視しています。例えば、病気に対する理解や治療への意識を高めていただけるよう、資料などをお見せしながらより具体的に説明します。
治療の際にステロイドを含む場合は、長期にわたって投与すると副作用が出ることがありますし、患者さまがほかの持病でお薬を服用されていることもあるので、内科の医師とも連携しながら、治療を進めています。
院長は内科の医師で、甲状腺の病気や糖尿病など、加齢に伴って増えがちな病気を診ています。内科の患者さまの中には、耳の聞こえが気になっている方もいらっしゃいますから、そうした方からは「持病だけでなく、耳の悩みも聞いてもらえて助かった」と言っていただけることがあります。一見、耳鼻咽喉科の病気とは関係ないような症状でお悩みの場合でも、気兼ねなくご相談に来てほしいですね。
これらの経験は、治療の技術としても、患者さまとの関わり方としても、今の診療体制の基礎となっていると思っています。