広原 台先生(日本内科学会認定 総合内科専門医)にインタビュー
「日本内科学会認定 総合内科専門医」としてプライマリケアを行う
「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」、「日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医」を取得したのは、東京女子医科大学病院で内分泌・代謝内科の診療を行っていた時のことです。周囲の環境に恵まれていたおかげで取得することができました。
内分泌疾患の中には、これまで原因がよくわからない不調とされてきた疾患もあり、さまざまな不調を抱えた患者さまが幅広くご来院されますので、総合診療的な立ち位置で診療することを学ぶきっかけになったと思います。その後は、どこの診療科目を受診したらよいかわからない方を大学病院として受け入れる窓口的な診療科で、さらに幅広い疾患の診療に関わってきました。現在、かかりつけの医院として、幅広い疾患を診るにあたっては当時の総合診療の経験が活かされていると感じますね。
病気だけに着目するのではなく患者さまを診る。オーダーメイドの診療が大切
血圧を高くさせる病気のひとつに、原発性アルドステロン症という内分泌疾患があります。原発性アルドステロン症は、副腎腫瘍が原因となるタイプと、左右の副腎全体からアルドステロンが過剰分泌されるタイプがあり、副腎腫瘍が原因であれば手術で腫瘍を取り除くことで、高血圧の症状も改善されます。原発性アルドステロン症を見つけるためには、血圧の測定だけではなく、ホルモンの状態を確認するスクリーニング検査、副腎の状態を確認するためのCTやMRIといった画像検査を行う必要があります。
また、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下すると脂質代謝にも影響を与えるため、更年期以降の女性には脂質異常症の方が増えるとも指摘されています。
脂質異常症の原因は、患者さまそれぞれに異なります。脂質異常症と言っても、いろいろなケースがあるのです。単純に数値だけを見て、脂質のコントロールを目指すのではなく、家族歴や生活スタイルなどの背景も見なければなりませんし、隠れた病気がないかどうかもチェックしなければなりません。全体像を把握した上で、お一人おひとりに応じた治療を提供できるように努めています。
また、糖尿病が重症化してしまうと、当院だけでは対応が難しくなる場合もあります。ただ漫然とお薬を出し続けるのではなく、患者さまのことを考えて、当院でできること、できないことをすみやかに判断していく必要があります。当院での診療が困難になった場合には、対応可能な医療機関をご紹介して、うまく連携をはかりながら、治療を行っていきます。
大事なのは病気にならないこと。予防の大切さを伝えることにも力を入れる
食事や運動の指導を行うということは、生活、ひいては人生全体に関わっていくということでもあります。患者さまによって、性格も考え方も違います。生活指導についての理解度も違いますし、どれぐらい実践できるのかも当然異なります。誰でも好きな物を食べたいことと思いますし、運動はしたくないという方もいらっしゃるでしょう。
それでも、病気であれば、それを改善するために、生活を変えていただかなければならないこともあるのです。病気や数値だけに着目して数値を改善することに躍起になるのではなく、そういった患者さまの気持ちを少しでも動かすことができるような診療を行っていけたらと考えています。
「日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医」、「日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医」を取得するにあたって、東京女子医科大学病院の先生方にお世話になり、今もとても感謝しています。その後、病気にならないことを目指す医療を行う先生方との出会いがあり、その考え方に大きく感銘を受けました。遺伝的要素などで避けることが難しい病気もありますが、生活習慣が原因の病気に関しては、ご自身が健康的な生活を送ることで、ある程度予防が可能になります。病気を避けられるのであれば、避けるに越したことはありませんよね。例えば、当院でも新宿区の特定健診(※)を行っていますが、定期的に健診を受けていただくことも、予防につながりますので大事なことです。病気を予防し、健康でいるために、何をしたらよいかをまず知っていただきたいですね。
(※)対象の方は公費負担で受けていただけます。