
院長
菊谷 敏彦
取材日:2021年10月19日
菊谷 敏彦先生(日本循環器学会認定 循環器専門医)にインタビュー
患者さまの命に直結する分野にやりがいを感じ循環器内科の道を選ぶ
循環器内科の医師になったきっかけについて教えてください。
臨床研修の2年間でいろいろな診療科目を回りました。循環器内科は、1分1秒でも治療が遅れると命に関わるような急性の疾患が多いのですが、治療を行うことによって患者さまに与える影響が大きい診療科目でもあるのです。検査をしてしっかりと診断を下し、正しい治療を行えば、目に見える形で患者さまの症状が改善されます。
研修医時代、原因不明の発熱に苦しむ患者さまと出会ったのですが、その方は感染性心内膜炎でした。発熱の原因を突き止めることができたので、ふさわしい治療へとつなげられ、症状を改善することができたのです。この時の経験は、循環器内科の道に進むきっかけとなりました。循環器疾患は急変することも多いので、診断につなげてからも、患者さまの状態に対していつも気を張って目を配っている必要があります。そういったところも含めてやりがいを感じています。
研修医時代、原因不明の発熱に苦しむ患者さまと出会ったのですが、その方は感染性心内膜炎でした。発熱の原因を突き止めることができたので、ふさわしい治療へとつなげられ、症状を改善することができたのです。この時の経験は、循環器内科の道に進むきっかけとなりました。循環器疾患は急変することも多いので、診断につなげてからも、患者さまの状態に対していつも気を張って目を配っている必要があります。そういったところも含めてやりがいを感じています。
勤務医時代に力を入れて行っていた治療について教えていただけますか?
総合病院に勤務していた時に、主に力を入れていたのはカテーテル治療です。心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患の患者さまに対して、血管造影検査を行い、狭窄もしくは閉塞の部位に対して、バルーンで拡張し、ステントを埋め込むといった治療を行っていました。救急で来院された患者さまに対しては、血液検査、胸部レントゲン、心電図検査、心臓超音波検査を行います。必要であれば血管造影検査、カテーテル治療を行います。そういった一連の流れを経験してきたことは現在の診療にも役立っていると感じます。
胸痛で受診されたものの、お待たせすることによってその間に病状が急変して重症化してしまう患者さまもいらっしゃいます。勤務医時代の経験から、胸痛の患者さまは急変することがあると理解していますので、当クリニックにご来院された初診の患者さまに対しても、胸痛が現在も続いているようであれば、お待たせせずにすみやかに検査を受けていただけるようにしています。1分1秒を争う場合もありますので、緊急度を優先しています。
胸痛で受診されたものの、お待たせすることによってその間に病状が急変して重症化してしまう患者さまもいらっしゃいます。勤務医時代の経験から、胸痛の患者さまは急変することがあると理解していますので、当クリニックにご来院された初診の患者さまに対しても、胸痛が現在も続いているようであれば、お待たせせずにすみやかに検査を受けていただけるようにしています。1分1秒を争う場合もありますので、緊急度を優先しています。
これまでの経験が現在の診療に活かされていると感じることはありますか?
心電図変化のある心筋梗塞や、不安定狭心症であれば、診断するのはそれほど難しくありません。また、血液検査で心筋逸脱酵素のトロポニンが陽性の場合も、診断するのは容易です。
しかし、数日前に胸痛の症状が起きたものの、今現在は症状が落ち着いていて、心電図検査や超音波検査、トロポニン検査をしても、異常がまったく見つからないことがあります。この場合には不安定狭心症の可能性が考えられます。不安定狭心症とは、心筋梗塞に移行しやすく、血管が詰まったり流れたりを繰り返し、心筋が壊死するまでに至っていない状態です。問診で症状を伺って疑わしい場合には、検査で何も異常がなかったとしても、連携した医療機関にご紹介するようにしています。これは、今までの診療の経験が活きているところではないかと思います。
しかし、数日前に胸痛の症状が起きたものの、今現在は症状が落ち着いていて、心電図検査や超音波検査、トロポニン検査をしても、異常がまったく見つからないことがあります。この場合には不安定狭心症の可能性が考えられます。不安定狭心症とは、心筋梗塞に移行しやすく、血管が詰まったり流れたりを繰り返し、心筋が壊死するまでに至っていない状態です。問診で症状を伺って疑わしい場合には、検査で何も異常がなかったとしても、連携した医療機関にご紹介するようにしています。これは、今までの診療の経験が活きているところではないかと思います。
来院時に症状のある場合は優先的に検査。必要に応じ連携医療機関に紹介する
急性冠症候群の診療を行う際に気を付けていることがあれば教えてください。
急性冠症候群とは、冠動脈にできたプラークが破綻し血栓ができることにより冠動脈が狭窄または閉塞し、急性心筋虚血を起こすことで、不安定狭心症や急性心筋梗塞などが含まれます。
来院時に動悸や胸痛など症状がある方はすぐに検査し、急性冠症候群が疑われる場合にはすみやかに連携の病院に救急車で搬送します。
数日前には症状があったものの、現在は症状が現れていない患者さまに対しては、問診で細かく胸の症状についてお伺いするようにしています。チクチクする、針で刺されるような感じがする、締め付けられる感覚がするなど、胸の痛み方は患者さまによって異なります。また、痛みの持続時間について伺うほか、安静時に起こるのか、坂道や階段を上った時など運動時に起きるのかといったことを問診で聞いていきます。
典型的な症状であれば、すぐに連携の医療機関にご紹介します。ご年配の方の場合、訴えがはっきりしないこともありますし、典型的な症状がなくとも狭心症や心筋梗塞の場合がありますので、疑わしい場合には紹介を行っています。
来院時に動悸や胸痛など症状がある方はすぐに検査し、急性冠症候群が疑われる場合にはすみやかに連携の病院に救急車で搬送します。
数日前には症状があったものの、現在は症状が現れていない患者さまに対しては、問診で細かく胸の症状についてお伺いするようにしています。チクチクする、針で刺されるような感じがする、締め付けられる感覚がするなど、胸の痛み方は患者さまによって異なります。また、痛みの持続時間について伺うほか、安静時に起こるのか、坂道や階段を上った時など運動時に起きるのかといったことを問診で聞いていきます。
典型的な症状であれば、すぐに連携の医療機関にご紹介します。ご年配の方の場合、訴えがはっきりしないこともありますし、典型的な症状がなくとも狭心症や心筋梗塞の場合がありますので、疑わしい場合には紹介を行っています。
心不全の検査や治療はどのように行っているのか教えていただけますか?
心臓とは、血液を全身に送り出すポンプとしての働きを担っている臓器です。心不全とは、何らかの原因によって心臓のポンプの働きが低下した状態のことで、息切れやだるさ、むくみなどの症状が起こります。
これらの症状を訴えてご来院された方には、X線検査、心電図検査、血液のBNP検査、必要であれば心臓超音波検査などを行い、心不全の診断を行います。
何らかの原因で心臓の収縮する力が弱くなると、心臓には多くの血液が溜まり、その手前の肺の血管にもたくさんの血液が溜まる肺うっ血の状態になって呼吸が苦しくなります。酸素飽和度や、X線検査で心臓の大きさや肺にうっ血がないかどうかを確認します。原因にもよりますが、心不全の程度が軽ければお薬を服用していただきます。呼吸状態が悪い場合には、救急搬送をして入院治療を受けていただく場合もあります。
心不全の原因も不整脈や高血圧などさまざまです。心筋梗塞と心不全が合併しているケースもあれば、そこまで緊急性はなく内服治療で経過観察をしても大丈夫な場合があります。原因を調べる必要がある時には病状安定後に総合病院や大学病院をご紹介します。
これらの症状を訴えてご来院された方には、X線検査、心電図検査、血液のBNP検査、必要であれば心臓超音波検査などを行い、心不全の診断を行います。
何らかの原因で心臓の収縮する力が弱くなると、心臓には多くの血液が溜まり、その手前の肺の血管にもたくさんの血液が溜まる肺うっ血の状態になって呼吸が苦しくなります。酸素飽和度や、X線検査で心臓の大きさや肺にうっ血がないかどうかを確認します。原因にもよりますが、心不全の程度が軽ければお薬を服用していただきます。呼吸状態が悪い場合には、救急搬送をして入院治療を受けていただく場合もあります。
心不全の原因も不整脈や高血圧などさまざまです。心筋梗塞と心不全が合併しているケースもあれば、そこまで緊急性はなく内服治療で経過観察をしても大丈夫な場合があります。原因を調べる必要がある時には病状安定後に総合病院や大学病院をご紹介します。
心房細動とはどのような不整脈ですか?治療方法について教えてください。
心房細動は、不規則なリズムで脈が速くなる不整脈です。心房細動では心房に血液が滞留して、血栓ができやすい状態となり、脳梗塞の原因となります。リスクの高い方は、脳梗塞を予防するため、血液をサラサラにする抗凝固薬を服用する必要があります。
また、心拍が速くなることで動悸や息切れ、心不全の原因となります。治療方針としては主に正常な心拍を維持する内服薬、心房細動のまま心拍を抑える内服薬、カテーテルアブレーションの3つの選択肢があります。不整脈の経過、年齢や病気の背景により提案しています。3つ目のカテーテルアブレーションは不整脈の原因となる場所を焼灼することで、根治できれば内服薬を減らせるかもしれません。ご希望される患者さまには、対応可能な医療機関をご紹介しています。
また、心拍が速くなることで動悸や息切れ、心不全の原因となります。治療方針としては主に正常な心拍を維持する内服薬、心房細動のまま心拍を抑える内服薬、カテーテルアブレーションの3つの選択肢があります。不整脈の経過、年齢や病気の背景により提案しています。3つ目のカテーテルアブレーションは不整脈の原因となる場所を焼灼することで、根治できれば内服薬を減らせるかもしれません。ご希望される患者さまには、対応可能な医療機関をご紹介しています。
再発を予防するため動脈硬化のリスクがある生活習慣病治療にも注力する
今後、クリニックでどのような治療に力を入れていきたいと考えていますか?
治療を受けた方に対して、継続してしっかりとフォローを行い、再発や新たな病変が起きていないかどうかを確認していきたいと考えています。再発を予防するためには、動脈硬化を進行させる病気や生活習慣があれば、介入していくことが必要です。例えば、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病があれば、コントロールをしていく必要があります。
当クリニックでは、横浜市の特定健康診査(※)も行っています。動脈硬化のリスクのある病気が見つかった場合には、数値が高いままだと動脈硬化が進行して、血管が詰まったり狭くなったりするリスクがあるということを説明した上で、まずは生活習慣の改善を行っていただきます。それでも数値が下がらない場合には、内服治療も選択していきます。
(※)対象の方は公費負担で受けていただけます。
当クリニックでは、横浜市の特定健康診査(※)も行っています。動脈硬化のリスクのある病気が見つかった場合には、数値が高いままだと動脈硬化が進行して、血管が詰まったり狭くなったりするリスクがあるということを説明した上で、まずは生活習慣の改善を行っていただきます。それでも数値が下がらない場合には、内服治療も選択していきます。
(※)対象の方は公費負担で受けていただけます。
循環器内科の領域で、現在注目されている治療はありますでしょうか?
大動脈弁狭窄症に対して行うTAVI(経カテーテル大動脈弁治療)という治療方法に注目しています。TAVIは開胸することなく、カテーテルによって人工弁を留置することができる治療法です。開胸の必要がないため、患者さまへの負担が少なく、ご年配の方も治療を受けていただくことが可能です。
これまでは開胸手術だからと、大動脈弁狭窄症の治療を断念されていた方にも、治療を受けていただくことができるのではないかと思います。当クリニックが連携している総合病院や大学病院でも、TAVIの導入は始まっています。TAVIをご希望される方はご紹介していければと思います。
これまでは開胸手術だからと、大動脈弁狭窄症の治療を断念されていた方にも、治療を受けていただくことができるのではないかと思います。当クリニックが連携している総合病院や大学病院でも、TAVIの導入は始まっています。TAVIをご希望される方はご紹介していければと思います。
最後に読者の方へのメッセージをお願いできますでしょうか?
胸の症状がある時には、我慢しないで早めに受診していただきたいと考えています。
当クリニックでは、不整脈などを確認するためのホルター心電図検査の結果は、ホルター心電計をはずしてから30分ほどでお伝えすることが可能です。ホルター心電計とは、24時間心電図を計測する機器です。装着してから24時間、ふだんの生活を送っていただき、翌日の同じ時間にご来院いただいてホルター心電計をはずします。その後、30分ほどお時間をいただければ、その間に結果を解析して、はずした当日中に結果をお伝えしています。結果を聞くためだけに再来院していただく必要はありません。
コロナ禍になってから受診を我慢している方も多いようですが、胸痛、動悸、息切れなどの症状が一過性で済んだとしても軽症とは限りません。胸の症状があった時には、早めに受診して検査を受けていただくことが大事だと考えています。気になる症状がある方は、ご相談ください。
当クリニックでは、不整脈などを確認するためのホルター心電図検査の結果は、ホルター心電計をはずしてから30分ほどでお伝えすることが可能です。ホルター心電計とは、24時間心電図を計測する機器です。装着してから24時間、ふだんの生活を送っていただき、翌日の同じ時間にご来院いただいてホルター心電計をはずします。その後、30分ほどお時間をいただければ、その間に結果を解析して、はずした当日中に結果をお伝えしています。結果を聞くためだけに再来院していただく必要はありません。
コロナ禍になってから受診を我慢している方も多いようですが、胸痛、動悸、息切れなどの症状が一過性で済んだとしても軽症とは限りません。胸の症状があった時には、早めに受診して検査を受けていただくことが大事だと考えています。気になる症状がある方は、ご相談ください。