
門脇 光俊先生(日本脳神経外科学会認定 脳神経外科専門医)にインタビュー
命を救うことができる職に就きたいという思いから脳神経外科の医師を志す
診療科目は、最初から外科系を目指していました。救急に携わりたいという思いを抱いていたので、緊急性の高い状態で患者さんが搬送されて来ることが多い脳神経外科か心臓血管外科かで少し迷いました。脳神経外科は若い頃から手術にも携わることができると聞き、脳にも興味があったので、脳神経外科に進むことにしたのです。
慢性期に入ると、リハビリテーションが中心になります。勤務医時代の経験から、リハビリテーションの重要性は理解していましたので、クリニックでもリハビリテーションに力を入れることにしたのです。脳卒中になると、手足の麻痺や痙縮などさまざまな後遺症に悩むことも多いのですが、動かしづらいからと言って動かさないでいるとさらに機能が低下してしまう恐れがあります。そこで、理学療法士がリハビリテーションで動かない部分を動かして、機能の改善や維持を目指すのです。
私は、松江市の出身で、鳥取大学医学部に進み、鳥取大学医学部附属病院や関連施設で診療をおこなってきました。地元からも近く、鳥取大学医学部附属病院とも連携して医療を提供していきやすいということから、米子市での開業を決めました。
現在は、頭痛やもの忘れなどのご相談のほか、頭を打ったという外傷でご来院なさるお子さまもいらっしゃいます。MRIやCTを使って画像診断をおこない、治療やリハビリテーションを提供し、必要であれば介護保険のご案内もおこなっています。
MRI検査により、頭痛を鑑別。認知症、脳卒中の早期発見を目指す
筋収縮性頭痛は、首や肩の筋肉の緊張によって引き起こされる頭痛です。また、もともと何らかの頭痛をお持ちの方が、鎮痛剤を服用し過ぎると薬物乱用頭痛を引き起こすことがあります。薬物乱用頭痛は、鎮痛剤の服用をやめていただくだけで改善することもある頭痛です。
偏頭痛は、日常生活に支障をきたすほどの痛みに悩む方も多く、薬の使い方も重要です。治療は発作時に使用する薬のほか、予防薬も併用し、重症の方には皮下注射をおこないます。患者さんご本人はとても苦しんでいるのに、周囲から痛みを理解されずに怠けていると誤解されるケースもあります。ひどい頭痛にお悩みの方は我慢せずにご相談ください。ご家族へのご説明もいたします。
認知症が疑われる患者さんには、MRIによる画像検査のほか認知機能検査をおこないます。薬で進行を遅らせることができる認知症であれば投薬治療をおこない、薬では改善が難しい認知症であれば、リハビリテーションのご提案や介護保険の申請をご案内します。できるだけ進行を遅らせて、生活しやすくするためにはどうしたらよいのかを、作業療法士と共に考えてサポートしていきます。
また、慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症などの病気で認知症の症状が現れている場合には、外科的な治療で改善が期待できますので、連携の病院にご紹介しています。
ご家族だけで抱え込み、出口が見えなくなっている方には福祉サービスの利用もご提案しています。まずはご相談いただければ幸いです。
脳動脈瘤は、MRIでないとなかなか見つけることが難しい疾患ですが、こういった疾患も早期発見が可能です。慢性硬膜下血腫が見つかった場合には、手術に対応可能な医療機関をすぐにご紹介しています。
また、脳卒中で退院された方のフォローもおこなっています。再発しないためには、高血圧症をはじめとする生活習慣病の管理をおこなうことが重要だからです。
脳のかかりつけの医師として患者さんやご家族の方の悩みに寄り添う
また、新たにリハビリテーションの施設を建てるので、リハビリテーションにも今後さらに力を入れていきたいですね。そのほか、認知症やもの忘れについても、引き続き力を入れていきたいと思います。認知症は、ご本人さまだけではなく、ご家族の方がとても悩んでいらっしゃることが多いので、行政や福祉とも連携しつつ、地域の皆さま方をサポートしていきたいと考えています。
また、ご高齢の方も増えていますので、病気を予防し健康寿命を延ばしていく取り組みをおこなっていくことも大切です。予防のために身体を動かしていただくようなデイサービスも、将来的には取り入れていければと考えています。
どんな病気も、やはり予防と早期発見が大切です。脳卒中を引き起こさないことが大事ですので、予防医療にも取り組んでいきたいと思います。また、何かおかしいと感じた時には、様子を見たり相談すべきかと悩んだりせずに、すぐにご相談いただければと思います。地域の皆さま方が、脳の病気やご家族の認知症について、気兼ねなく相談していただけるような脳のかかりつけのクリニックを目指しています。遠慮なくご相談ください。