鼻の内視鏡手術を実施し、慢性的な鼻炎のお悩みから解放させる医師
理事長
門川 洋平
取材日:2023年2月28日
門川 洋平先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
低侵襲な内視鏡手術で、つらい鼻炎に終止符を
大学病院時代から、鼻の領域の診療や手術に力を入れて来られたんですよね?
はい。その経験を生かし、現在も患者数の多い慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎のほか、罹患数が上昇傾向にある好酸球性副鼻腔炎の診療に力を入れています。
これらの疾患は、つらい症状が続くことで生活の質を著しく低下させてしまいます。そのため、症状の軽快が目指せて低侵襲な手術療法の良さを皆さまに知っていただきたいと考えています。
私は勤務医時代から鼻の領域をメインに診療し、手術の経験を積んできました。昔は、口の切開が必要となる技法だったがゆえ、術後に顔が腫れるなどのリスクがありました。しかし現在は内視鏡により鼻の穴から手術をおこなえるため、顔が傷ついたり変形したりといった心配がほとんどありません。内視鏡手術は、疾患によっては根治を目指せるだけでなく、低侵襲で負担が少ないといった点が大きなメリットだと思います。
これらの疾患は、つらい症状が続くことで生活の質を著しく低下させてしまいます。そのため、症状の軽快が目指せて低侵襲な手術療法の良さを皆さまに知っていただきたいと考えています。
私は勤務医時代から鼻の領域をメインに診療し、手術の経験を積んできました。昔は、口の切開が必要となる技法だったがゆえ、術後に顔が腫れるなどのリスクがありました。しかし現在は内視鏡により鼻の穴から手術をおこなえるため、顔が傷ついたり変形したりといった心配がほとんどありません。内視鏡手術は、疾患によっては根治を目指せるだけでなく、低侵襲で負担が少ないといった点が大きなメリットだと思います。
内視鏡手術は、低侵襲でおこなえ、かつ鼻呼吸がしやすくなるんですね。
そうなんです。現在、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、好酸球性副鼻腔炎をはじめとしたあらゆる鼻の疾患に対して内視鏡による手術がおこなえます。以前のように切ったり骨を削ったりする必要がなく、見た目にはメスの痕が残らないといった点が内視鏡手術の強みですね。
定期的な経過通院が必要になりますが、日帰り手術が可能ですし、ご要望であれば入院いただくこともできます。術後は出血しやすい状態のため、希望される方には安静を目的に1泊2日の入院をしてもらっています。止血のために鼻にガーゼを詰めるのですが、その際に痛みが出る場合もあります。痛みに弱い方などには必要に応じて点滴やお薬を使って痛みをコントロールしています。
止血用の鼻のガーゼが取れれば、鼻の通りが良くなっていると思います。内視鏡による手術は、10歳からできますので、鼻の症状に悩んでいるお子さまをお持ちの親御さまにも、ぜひご検討いただきたい方法です。
定期的な経過通院が必要になりますが、日帰り手術が可能ですし、ご要望であれば入院いただくこともできます。術後は出血しやすい状態のため、希望される方には安静を目的に1泊2日の入院をしてもらっています。止血のために鼻にガーゼを詰めるのですが、その際に痛みが出る場合もあります。痛みに弱い方などには必要に応じて点滴やお薬を使って痛みをコントロールしています。
止血用の鼻のガーゼが取れれば、鼻の通りが良くなっていると思います。内視鏡による手術は、10歳からできますので、鼻の症状に悩んでいるお子さまをお持ちの親御さまにも、ぜひご検討いただきたい方法です。
繰り返しがちな慢性副鼻腔炎の特徴と、治療法を教えてください。
急性の鼻かぜの状態から、長引くと慢性副鼻腔炎に変わります。この疾患は風邪をひく度に副鼻腔炎が繰り返し発症し、お子さまから大人までかかる疾患です。慢性副鼻腔炎の場合、内視鏡で鼻の奥まで見てみると、鼻茸というポリープができているケースが多いですね。
当院では内視鏡検査に加えてCT検査までおこなうことで、副鼻腔炎がどこまで悪いのかをしっかりと診断しています。症状や状態に合わせて、まずは内服療法から提案し、治療を開始します。内服療法を行ってもなかなか快方に向かわないという患者さまに対しては手術療法のご提案をいたします。
慢性副鼻腔炎にならないためには、鼻かぜの段階で治療をはじめることが大切です。中には内服薬を飲み切ったところで治療を止めてしまう方もいらっしゃるのですが、まだ症状が残った段階で治療をやめてしまうと症状を悪化させることがあるため、治りかけでも受診して最後まで治療しきる、ということが重要です。
当院では内視鏡検査に加えてCT検査までおこなうことで、副鼻腔炎がどこまで悪いのかをしっかりと診断しています。症状や状態に合わせて、まずは内服療法から提案し、治療を開始します。内服療法を行ってもなかなか快方に向かわないという患者さまに対しては手術療法のご提案をいたします。
慢性副鼻腔炎にならないためには、鼻かぜの段階で治療をはじめることが大切です。中には内服薬を飲み切ったところで治療を止めてしまう方もいらっしゃるのですが、まだ症状が残った段階で治療をやめてしまうと症状を悪化させることがあるため、治りかけでも受診して最後まで治療しきる、ということが重要です。
自身も手術によって快適な生活を取り戻せた経験から、鼻炎の手術療法に注力
好酸球性副鼻腔炎の診療をおこなう上で大切にされていることは何ですか?
好酸球性副鼻腔炎は、花粉症や喘息など、アレルギー疾患を持っている成人の方に多く発症します。最近では、アレルギー体質の方が増えてきているので、それに伴い好酸球性副鼻腔炎の方も増加傾向にあります。また症状が快方に向かっても、再発しやすいというのもこの病気の特徴です。
細菌感染からポリープが大きくなるため、治療法としてはステロイドの内服により軽快が見られます。ただし、ステロイド剤を長い期間服用し続けるのはお身体にあまり良くありません。ですから、内視鏡でおこなう手術療法をはじめ、注射による新しい治療法の提案も行っています。
手術では、副鼻腔の厚くなった粘膜と隔壁を除去し、副鼻腔の空気の流れを良くするよう一つの空洞にします。手術後には症状が落ち着きますが、数年後、再発するリスクも伴います。ただし初期の段階であれば、進行させないよう薬でコントロールすることができます。良い状態を維持するためにも、定期的な診察が重要な意味を持っています。
細菌感染からポリープが大きくなるため、治療法としてはステロイドの内服により軽快が見られます。ただし、ステロイド剤を長い期間服用し続けるのはお身体にあまり良くありません。ですから、内視鏡でおこなう手術療法をはじめ、注射による新しい治療法の提案も行っています。
手術では、副鼻腔の厚くなった粘膜と隔壁を除去し、副鼻腔の空気の流れを良くするよう一つの空洞にします。手術後には症状が落ち着きますが、数年後、再発するリスクも伴います。ただし初期の段階であれば、進行させないよう薬でコントロールすることができます。良い状態を維持するためにも、定期的な診察が重要な意味を持っています。
アレルギー性鼻炎の治療を行う際に、気をつけていることを教えてください。
アレルギー性鼻炎には、花粉症などの季節性のものと、ほこりやダニなどが原因の通年性の鼻炎があります。鼻水や鼻づまりといったアレルギー症状を引き起こすには、さまざまな要因が考えられるため、丁寧に検査をおこない、まずは原因を突き止めることが重要です。
季節性であれば、数カ月間のみの服薬で済みますが、ほこりやダニの場合は一年を通して症状が出ます。長い期間、お薬を飲み続けることが必要となるため、さまざまな負担がかかりがちです。通年性の鼻炎で悩まれる患者さまには手術や注射による治療法をご提案しています。
手術では、神経をブロックすることで物理的に鼻づまりを止められるほか、鼻水やくしゃみなどの軽減も望めます。手術は10歳以上であれば、全身麻酔によって、1時間ほどで終えることができます。
季節性であれば、数カ月間のみの服薬で済みますが、ほこりやダニの場合は一年を通して症状が出ます。長い期間、お薬を飲み続けることが必要となるため、さまざまな負担がかかりがちです。通年性の鼻炎で悩まれる患者さまには手術や注射による治療法をご提案しています。
手術では、神経をブロックすることで物理的に鼻づまりを止められるほか、鼻水やくしゃみなどの軽減も望めます。手術は10歳以上であれば、全身麻酔によって、1時間ほどで終えることができます。
なぜ鼻の手術に力を入れるようになられたのでしょうか?
もともと私自身がひどい花粉症で悩んでおり、そのことがきっかけで耳鼻咽喉科の中でも鼻を専門分野とする医師を目指すようになりました。それまで花粉症においては、薬物療法による症状の緩和までしか望めませんでしたが、手術によって治療ができることを知り、私も手術を受けることにしました。術後はつらい症状からは解放され、快適な生活が送れるようになりましたし、改めて手術の良さを知ることもできましたね。
勤務医時代はがんや腫瘍などをはじめ、耳鼻咽喉科全般の手術を経験させていただきましたが、その中でも特に鼻の分野に力を入れていきたいと思いました。当時、当グループの坂口会長が鼻の内視鏡手術に力を入れていらっしゃることを知り、手術を見学させていただきました。その技術に感銘を受け、坂口先生のもとでぜひ学びたいと思い、入職いたしました。もちろん技術面だけでなく、患者さまへのご対応や診療に対する姿勢などにおいても、大変学ぶことが多かったですね。
勤務医時代はがんや腫瘍などをはじめ、耳鼻咽喉科全般の手術を経験させていただきましたが、その中でも特に鼻の分野に力を入れていきたいと思いました。当時、当グループの坂口会長が鼻の内視鏡手術に力を入れていらっしゃることを知り、手術を見学させていただきました。その技術に感銘を受け、坂口先生のもとでぜひ学びたいと思い、入職いたしました。もちろん技術面だけでなく、患者さまへのご対応や診療に対する姿勢などにおいても、大変学ぶことが多かったですね。
手術をはじめ、良い医療を提供するためにブラッシュアップし続ける
良い医療を提供するためには、どのような課題があるとお考えでしょうか?
まずは、皆さまに手術療法の良さをもっと知っていただきたいですね。鼻の症状に手術療法でアプローチできること自体、ご存知ない患者さまも少なくないと思います。当グループでは、日帰り手術と入院しての手術のどちらにも対応ができるよう設備を取りそろえています。
患者さまお一人おひとりに対し、ご状態に合った適正な治療をご提案できるよう体制を整えています。丁寧に検査をおこない、しっかりと原因を特定することを大切にし、グループ院同士連携しながら今後も患者さまをサポートしていきたいですね。
手術をはじめ、より良い医療が提供できるよう、引き続き新しい情報を集めて知識を身につけてまいります。そして、新しい機器や治療法を取り入れるなどしてブラッシュアップし続ける医師でありたいと考えています。
患者さまお一人おひとりに対し、ご状態に合った適正な治療をご提案できるよう体制を整えています。丁寧に検査をおこない、しっかりと原因を特定することを大切にし、グループ院同士連携しながら今後も患者さまをサポートしていきたいですね。
手術をはじめ、より良い医療が提供できるよう、引き続き新しい情報を集めて知識を身につけてまいります。そして、新しい機器や治療法を取り入れるなどしてブラッシュアップし続ける医師でありたいと考えています。
最後に、耳鼻咽喉科の受診を検討中の皆さまにメッセージをお願いします。
私は耳鼻咽喉科の中でも特に鼻の疾患に力を入れてこれまで経験を積んできました。ご来院された患者さまには、ただ薬を出して終わらせるような診療ではなく、丁寧な検査と診断をおこなった上で、ご状態に応じた適正な治療法を提案いたします。
もちろん、鼻にかぎらず耳鼻咽喉科全般のお悩みに対応しています。内服治療を続けても、なかなか良くならない方には手術や注射などの新しい治療法も提案していますので、どうぞ気兼ねなくご相談にいらしてください。あらゆる治療法で患者さまがお悩みから解放されるように、お力になれればと思っています。
もちろん、鼻にかぎらず耳鼻咽喉科全般のお悩みに対応しています。内服治療を続けても、なかなか良くならない方には手術や注射などの新しい治療法も提案していますので、どうぞ気兼ねなくご相談にいらしてください。あらゆる治療法で患者さまがお悩みから解放されるように、お力になれればと思っています。