
門川 洋平先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
低侵襲な内視鏡手術で、つらい鼻炎に終止符を
これらの疾患は、つらい症状が続くことで生活の質を著しく低下させてしまいます。そのため、症状の軽快が目指せて低侵襲な手術療法の良さを皆さまに知っていただきたいと考えています。
私は勤務医時代から鼻の領域をメインに診療し、手術の経験を積んできました。昔は、口の切開が必要となる技法だったがゆえ、術後に顔が腫れるなどのリスクがありました。しかし現在は内視鏡により鼻の穴から手術をおこなえるため、顔が傷ついたり変形したりといった心配がほとんどありません。内視鏡手術は、疾患によっては根治を目指せるだけでなく、低侵襲で負担が少ないといった点が大きなメリットだと思います。
定期的な経過通院が必要になりますが、日帰り手術が可能ですし、ご要望であれば入院いただくこともできます。術後は出血しやすい状態のため、希望される方には安静を目的に1泊2日の入院をしてもらっています。止血のために鼻にガーゼを詰めるのですが、その際に痛みが出る場合もあります。痛みに弱い方などには必要に応じて点滴やお薬を使って痛みをコントロールしています。
止血用の鼻のガーゼが取れれば、鼻の通りが良くなっていると思います。内視鏡による手術は、10歳からできますので、鼻の症状に悩んでいるお子さまをお持ちの親御さまにも、ぜひご検討いただきたい方法です。
当院では内視鏡検査に加えてCT検査までおこなうことで、副鼻腔炎がどこまで悪いのかをしっかりと診断しています。症状や状態に合わせて、まずは内服療法から提案し、治療を開始します。内服療法を行ってもなかなか快方に向かわないという患者さまに対しては手術療法のご提案をいたします。
慢性副鼻腔炎にならないためには、鼻かぜの段階で治療をはじめることが大切です。中には内服薬を飲み切ったところで治療を止めてしまう方もいらっしゃるのですが、まだ症状が残った段階で治療をやめてしまうと症状を悪化させることがあるため、治りかけでも受診して最後まで治療しきる、ということが重要です。
自身も手術によって快適な生活を取り戻せた経験から、鼻炎の手術療法に注力
細菌感染からポリープが大きくなるため、治療法としてはステロイドの内服により軽快が見られます。ただし、ステロイド剤を長い期間服用し続けるのはお身体にあまり良くありません。ですから、内視鏡でおこなう手術療法をはじめ、注射による新しい治療法の提案も行っています。
手術では、副鼻腔の厚くなった粘膜と隔壁を除去し、副鼻腔の空気の流れを良くするよう一つの空洞にします。手術後には症状が落ち着きますが、数年後、再発するリスクも伴います。ただし初期の段階であれば、進行させないよう薬でコントロールすることができます。良い状態を維持するためにも、定期的な診察が重要な意味を持っています。
季節性であれば、数カ月間のみの服薬で済みますが、ほこりやダニの場合は一年を通して症状が出ます。長い期間、お薬を飲み続けることが必要となるため、さまざまな負担がかかりがちです。通年性の鼻炎で悩まれる患者さまには手術や注射による治療法をご提案しています。
手術では、神経をブロックすることで物理的に鼻づまりを止められるほか、鼻水やくしゃみなどの軽減も望めます。手術は10歳以上であれば、全身麻酔によって、1時間ほどで終えることができます。
勤務医時代はがんや腫瘍などをはじめ、耳鼻咽喉科全般の手術を経験させていただきましたが、その中でも特に鼻の分野に力を入れていきたいと思いました。当時、当グループの坂口会長が鼻の内視鏡手術に力を入れていらっしゃることを知り、手術を見学させていただきました。その技術に感銘を受け、坂口先生のもとでぜひ学びたいと思い、入職いたしました。もちろん技術面だけでなく、患者さまへのご対応や診療に対する姿勢などにおいても、大変学ぶことが多かったですね。
手術をはじめ、良い医療を提供するためにブラッシュアップし続ける
患者さまお一人おひとりに対し、ご状態に合った適正な治療をご提案できるよう体制を整えています。丁寧に検査をおこない、しっかりと原因を特定することを大切にし、グループ院同士連携しながら今後も患者さまをサポートしていきたいですね。
手術をはじめ、より良い医療が提供できるよう、引き続き新しい情報を集めて知識を身につけてまいります。そして、新しい機器や治療法を取り入れるなどしてブラッシュアップし続ける医師でありたいと考えています。
もちろん、鼻にかぎらず耳鼻咽喉科全般のお悩みに対応しています。内服治療を続けても、なかなか良くならない方には手術や注射などの新しい治療法も提案していますので、どうぞ気兼ねなくご相談にいらしてください。あらゆる治療法で患者さまがお悩みから解放されるように、お力になれればと思っています。