高田 康裕先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
検査・診断・治療まで一人で完結できることに魅力を感じ、消化器内科の医師に
私が考える地域のクリニックの役割は、「何か困った時にすぐに相談できる場所」として診療できる範囲を広げつつ、必要に応じて他の医療機関への橋渡しも務めることです。これまでの経験を生かして「入院が必要なのか」「精密検査が必要なのか」「経過観察でいいのか」といった判断を正しくすることで、患者さまのベネフィットを第一に考えた診療をするよう努めています。
検査・治療の負担を減らすことで、早期発見・早期治療につなげる
胃内視鏡検査で診断を行うピロリ菌感染症は、慢性胃炎による胃がんの発症リスクを高めるといわれています。除菌治療により発症のリスクを低下させることはできますが、リスクをなくすことはできません。除菌した後も1年に1回は内視鏡検査を受けていただければと思います。
逆流性食道炎には、胸やけや呑酸(げっぷ)といった症状のほか、のどのつかえ感や胸の痛み、長引く咳といった症状も現れます。「慢性的に咳が出る」という場合にも、一度ご相談いただければと思います。
また、大腸ポリープは大腸がんになるリスクがあるものの、小さいうちは自覚症状がほとんどありません。便潜血検査で陽性と指摘された場合や、ご家族に大腸ポリープや大腸がんと診断された方がいる場合は、ぜひご相談ください。
培った診断技術を生かし、患者さまのベネフィットを第一に考えた治療を提供
また、開業をして数年が経ち、毎年のように定期検診にお越しくださる患者さまや、日々の患者さまの数も増えてきました。受診された患者さまのお話をきっかけにご来院なさる方もいらっしゃいます。そのような状況に感謝するとともに、今一度原点に立ち返ることで、一人ひとりの患者さまに「ここを選んで良かった」と思っていただけるような医療を提供していきたいと思っています。
とはいえ、腫瘍マーカーは、がんの診断補助しかできません。たとえ腫瘍マーカー検査が今より進歩したとしても、ヘリコバクターピロリ菌に感染していないか、消化管に炎症が起きていないかといった、がん以外の症状については、これまで通り内視鏡検査を使って行っていくことと思われます。どんな時代が来ても、これまで通り、精密な診断・治療をしていきます。