山本 雄一郎先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
放射線科と胃腸内科での経験をもとに頭から足まで全身を診られることが強み
現在は、胃腸内科を掲げて診療していますが、実は最初から消化器内科の医師を目指したわけではありません。はじめは放射線学教室に入りました。放射線科の医師は「ティーチャー オブ ティーチャー」と言われ、医師に指示を出す医師なんです。診断画像の説明から始まり、どの部位に病気があるかなど「医師に情報を伝える医師」という役割であることも惹かれました。もともとパソコン関係が得意で、機械を扱う科目であることも理由の一つでした。
現在も多岐にわたる相談を受けることも多く、専門ではない疾患については近くの医療機関に相談するように助言できます。紹介ができたり、道筋をつけてあげられたりするので、相談相手としては役に立っているかと思います。勤務医当時の経験がいかされていると感じます。
実際に開業してからは、患者さまお一人おひとりとのお付き合いを大切にしてきました。診察時間も極力長めに取り、病気のこと以外でも、抱えているストレスなども聞きたいと思っています。患者さまが言い出せないことがないように、こちらから聞いてみたり様子をうかがったりしながら、ドライになりすぎないよう、フレンドリーな感じで接するようにしています。
思わぬ症状も逃さず、内視鏡検査で病気を発見し、経過まで見守ってくれる
確定診断は内視鏡検査でしますが、逆流性食道炎は内視鏡検査の所見と症状とが解離することが多いんですよ。内視鏡検査では正常でも症状を訴える人や、内視鏡検査ではひどいのに症状をそんなに訴えない人も中にはいます。それぞれの状況に合わせて薬の内容を変えて治療を進めていきます。体重や体型に合わせて薬の強弱をつけることもあります。お薬を急にやめると反動で余計に悪くなることもあるので、徐々に減らしていくなど服薬方法はきちんと指導していますね。
除菌で大切なことは治療の判定まできちんとしておくことです。判定は呼気試験で行います。当院では日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医としての見地から、除菌の2ヶ月後に行っています。よくあるのが、除菌をしたからと油断して内視鏡検査を受けなくなること。しかし、除菌がうまくいかなかった場合は「二次除菌」が必要なのです。
本当なら二次除菌をすぐにした方が除菌率はあがりますが、5年前にして判定しないままの人は再度判定し、失敗していたら二次除菌をします。もし10年以上前なら当時とはお薬も変わっているので、一次除菌から始めていただきます。もし除菌が成功していても、年1回の内視鏡検査を受診していただきたいですね。
大腸がんは最近若年化しているのもあって、30代から進行がんが見つかることがあります。これまでは40歳になったら検査しましょうと言われていましたが、現在は30歳からという風に認識が変わってきていますね。お尻からの内視鏡検査ということで受けにくいかもしれませんが、やはり1度は異常がないかを確かめていただきたいです。当院では3~4年おきに検査しましょうと話しています。以前大腸ポリープがあったという患者さまは1~2年おきの検査を提案しています。症状がなくても検査を受けに来ていただけたらいいなと思います。
胃や大腸の病気だけでなく全身の健康を願い、地域の患者さまの相談に応じる
最近では、内視鏡を口から入れる時に「おえっ」とえずくことがないよう、径の細い内視鏡が出てきています。昔は太かったんですが、今は鉛筆程度になってきていますし、さらに画質もあがってきて、診断もしやすくなっています。医療機器も薬も日進月歩の世界なので、10年前に受けて、その時にきつかったからといって、今でもきついとは限らないと思います。今後もどんどん楽になってくれると思いますので、ぜひ検査を受けてほしいですね。
診療の際に「頭が痛い」「最近めまいがした」などの声を聞いた場合も、MRIを撮りに行くことを提案し、脳外科の医師に相談するようにアドバイスします。紹介状を作成して検査を促すこともできますし、検査後に当クリニックで画像診断をすることも勿論できます。この地域は医療機関が多く、双方でコミュニケーションもよく取れているので連携もスムーズかと思います。
あとは、不調を感じたら、まずはかかりつけの医師に相談をしてほしいですね。何か異常を感じたらすぐ受診していただきたい。医療機関だからと構えず、もうちょっと気楽に来てもらってもいいんじゃないかなと思うんです。取りあえずかかりつけの医師に相談してみて、きちんとそれぞれの病気に対応できる医師に診てもらうといいと思います。感じている不調や悩みについて、どの診療科で診てもらえるか、どの病院に行ったらいいか、よくわからないという患者さまも少なくありません。当クリニックも、他院に振り分けをする役割として役立てていただけるといいなと思います。そのためにも、患者さまが何でも相談しやすく、どんどん話をしてくれるような関係を目指しています。