地域医療の門番として、脳神経疾患を拾い出す役割を担う医師
院長
山口 博
取材日:2022年11月18日
山口 博先生(日本神経学会認定 神経内科専門医)にインタビュー
隠れた病気を見逃さないよう、丁寧で詳細な診断に尽力する医師
認知症の症状や診断の際に気をつけていることについて教えてください。
認知症は脳の細胞がダメージを受け、それが原因で認知機能の低下が起こる疾患です。物忘れや会話が噛み合わなくなるなど、さまざまな症状が現れます。患者さまご本人が気にされて来院される場合もあれば、ご家族など周囲の方が気づいて一緒に来院される場合もありますね。
認知症が疑われる場合は、まず診察と長谷川式認知スケールやミニメンタルステート検査といった認知機能検査を行います。その結果、認知機能の低下が見られる場合は、血液検査や提携している病院でのMRI検査をご案内します。認知症に似た症状を示す疾患には、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症といった治療可能な疾患がありますから、そうした病気を認知症だと誤診せず、見落とさないように気をつけていますね。
治療は薬物療法がメインですが、ご本人やご家族がどんなところに大変さを感じているのか伺いながら、丁寧に進めていきます。認知症と言っても、原因や進行度合いはそれぞれ異なりますから、患者さまだけでなく、ご家族にも寄り添いながらサポートさせていただきます。
認知症が疑われる場合は、まず診察と長谷川式認知スケールやミニメンタルステート検査といった認知機能検査を行います。その結果、認知機能の低下が見られる場合は、血液検査や提携している病院でのMRI検査をご案内します。認知症に似た症状を示す疾患には、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症といった治療可能な疾患がありますから、そうした病気を認知症だと誤診せず、見落とさないように気をつけていますね。
治療は薬物療法がメインですが、ご本人やご家族がどんなところに大変さを感じているのか伺いながら、丁寧に進めていきます。認知症と言っても、原因や進行度合いはそれぞれ異なりますから、患者さまだけでなく、ご家族にも寄り添いながらサポートさせていただきます。
パーキンソン病の特徴や発症する患者さまの傾向を教えてください。
パーキンソン病は、脳神経細胞の変性によって体の動きが遅くなったり、震えてうまく動けなくなったりする疾患です。60〜70歳以上の患者さまが多いため、体の動きが遅くなったり、転びやすくなったとしても加齢が原因だと思ってしまう方もいらっしゃいます。
手が震える、体の動きが遅くなる、歩行が小刻みになっている、転びやすくなったなどの症状がある場合はお早めに受診していただき、重症化する前に治療を始めるのがいいと思います。パーキンソン病も認知症と同じで、類似した症状があってもそれ以外の病気が隠れている可能性もありますので、MRIなどの画像診断を行って、パーキンソン病なのかどうかを診断します。現在は根本的な治療法がありませんが、お薬をうまく組み合わせることで症状をコントロールしていくことが可能ですので、患者さまの不安を取り除けるように、前向きにお話ししています。
手が震える、体の動きが遅くなる、歩行が小刻みになっている、転びやすくなったなどの症状がある場合はお早めに受診していただき、重症化する前に治療を始めるのがいいと思います。パーキンソン病も認知症と同じで、類似した症状があってもそれ以外の病気が隠れている可能性もありますので、MRIなどの画像診断を行って、パーキンソン病なのかどうかを診断します。現在は根本的な治療法がありませんが、お薬をうまく組み合わせることで症状をコントロールしていくことが可能ですので、患者さまの不安を取り除けるように、前向きにお話ししています。
頭痛やめまいの症状がある患者さまの診察で気をつけていることは何ですか?
頭痛やめまい、手足のしびれといった症状のある方を診察する際は、脳出血や脳梗塞、くも膜下出血といった脳血管障害を見逃さないように気をつけています。まずは頭痛やめまいの経過を見ながら、重篤な疾患が隠れていないかを確認しています。
例えば、一時的に頭痛が起こっても数日で和らぐ場合は、重篤な疾患である可能性は低くなるでしょう。ただし、日が経つにつれて悪くなったり、頭痛やめまいに加えてほかの症状が出たりする場合は、重篤な疾患が隠れている可能性が高くなると思います。また、何時何分から痛くなったとはっきり覚えているような突発型の頭痛はくも膜下出血や脳出血の可能性があるので注意が必要です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害については、当院では急性期の治療はできませんが、検査や治療が可能な医療機関へのご案内や、退院された後の再発予防のための薬剤調整は可能です。
原因がはっきりわからない頭痛やめまい、手足のしびれでお悩みの患者さまは少なくありません。医療の窓口として、患者さまのお話をよくお伺いしながら、少しでも不安が和らぐよう尽力いたします。
例えば、一時的に頭痛が起こっても数日で和らぐ場合は、重篤な疾患である可能性は低くなるでしょう。ただし、日が経つにつれて悪くなったり、頭痛やめまいに加えてほかの症状が出たりする場合は、重篤な疾患が隠れている可能性が高くなると思います。また、何時何分から痛くなったとはっきり覚えているような突発型の頭痛はくも膜下出血や脳出血の可能性があるので注意が必要です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害については、当院では急性期の治療はできませんが、検査や治療が可能な医療機関へのご案内や、退院された後の再発予防のための薬剤調整は可能です。
原因がはっきりわからない頭痛やめまい、手足のしびれでお悩みの患者さまは少なくありません。医療の窓口として、患者さまのお話をよくお伺いしながら、少しでも不安が和らぐよう尽力いたします。
先代からのアットホームな雰囲気を大切に、勤務医時代の経験を生かして診療
医師を目指したきっかけや、脳神経内科に進んだきっかけを教えてください。
父が医師だったためか、漫画やテレビドラマで活躍する医師の姿に子供のころから憧れを持っていました。父から医者になれと言われたことは1度もありませんが、自然と医師になることを目指していましたね。脳神経内科に進んだきっかけとしては、脳は身体の中でもわかっていないことが多い場所であり、根本的な治療法のない疾患がたくさんあるというところに興味を持ったからです。だからこそ、「そういった疾患の治療法が今後見つかるのではないか」「発展が期待できる分野だな」と学生の時に思いはじめました。
また、実際診察をしていく中で得られたさまざまな所見から、脳神経のどこに問題が起きていて、どんな原因が考えられるのかという神経の仕組みを理論的に考えられるところにも魅力を感じましたね。
また、実際診察をしていく中で得られたさまざまな所見から、脳神経のどこに問題が起きていて、どんな原因が考えられるのかという神経の仕組みを理論的に考えられるところにも魅力を感じましたね。
勤務医時代の経験から、現在の診療に生かされていることはありますか?
日本医科大学を卒業後は、大学病院で脳血管障害の診断・治療に携わりました。主に脳梗塞の急性期治療を担当していましたね。その他にも、都立病院や民間病院などさまざまな病院で勤務しています。パーキンソン病や脊髄小脳変性症といった変性疾患、ギラン・バレー症候群などの末梢神経障害、多発筋炎や重症筋無力症といった筋疾患など幅広い疾患を診てきました。
東京都多摩老人医療センター(現 東京都保険医療公社多摩北部医療センター神経内科)ではご年配の患者さまがたくさんいらっしゃり、パーキンソン病の方もよく診療しておりました。患者さまお一人おひとりにあわせてお薬を処方することは難しかったのですが、うまくいった時には患者さまの症状が軽減されるのでとてもやりがいを感じていました。さまざまな病院で経験を積んだので、いろいろなジャンルの疾患に対応できることが私の強みの一つだと思っています。
東京都多摩老人医療センター(現 東京都保険医療公社多摩北部医療センター神経内科)ではご年配の患者さまがたくさんいらっしゃり、パーキンソン病の方もよく診療しておりました。患者さまお一人おひとりにあわせてお薬を処方することは難しかったのですが、うまくいった時には患者さまの症状が軽減されるのでとてもやりがいを感じていました。さまざまな病院で経験を積んだので、いろいろなジャンルの疾患に対応できることが私の強みの一つだと思っています。
山口内科クリニックをご継承されたときの思いを教えてください。
当クリニックは1980年に父が開業し、2017年に私が継承しました。継承する前は、週に1回ほど診療を手伝う形で携わっていたのですが、その時に父がお友達と話しているかのような雰囲気で楽しそうに診療している姿を見ました。その姿から、大きな病院に比べて患者さまとの距離が近い開業医に面白みを感じるようになりました。それから徐々に私にも馴染みの患者さまが増えて開業医という仕事に魅力を感じるようになりましたね。また、鴻巣市近隣には脳神経内科を標榜している医療機関が少なかったので地域医療にも貢献できるのではないかと考えて、クリニックを継承するにいたりました。
まだまだ父には及びませんが、これからも患者さまが気兼ねなく相談できるようにアットホームな雰囲気は大切にしていきたいです。また、「日本神経学会認定 神経内科専門医」として、患者さまが今まで気にされていなかった脳神経の疾患を拾い上げる役割を担っていければいいなと思っています。
まだまだ父には及びませんが、これからも患者さまが気兼ねなく相談できるようにアットホームな雰囲気は大切にしていきたいです。また、「日本神経学会認定 神経内科専門医」として、患者さまが今まで気にされていなかった脳神経の疾患を拾い上げる役割を担っていければいいなと思っています。
患者さまの抱える問題や困りごとを解消するため、真摯に向き合い続ける
脳神経内科の分野で今後、注力していきたいことはありますか?
近年は高齢化社会となり、認知症の方が身近にもいるような状態になってきました。その一方で、認知症の患者さまへの接し方といった基礎的な知識の周知が不十分な部分もあるなと思っています。
認知症の患者さまの中には、接し方や環境を変えることで症状が落ち着いてくる方もいらっしゃいますので、一般の方や看護師に向けて、講演や本の執筆を通して知識を広めるような活動をしていきたいですね。認知症の患者さまに合う接し方ができれば、ご本人もご家族も楽に過ごせるようになりますから。
認知症の患者さまの中には、接し方や環境を変えることで症状が落ち着いてくる方もいらっしゃいますので、一般の方や看護師に向けて、講演や本の執筆を通して知識を広めるような活動をしていきたいですね。認知症の患者さまに合う接し方ができれば、ご本人もご家族も楽に過ごせるようになりますから。
次に、脳神経内科の分野での課題や注目していることがあれば教えてください。
脳神経疾患は、根本的な治療法のない疾患が多いです。そのため脳神経疾患の症状が進行していった時に、どのように対応するかはいつも悩んでいます。患者さまの話を聞きながら、ご本人やご家族がどうすれば少しでも楽になるかを考えていますが、正直ご期待に添えないこともあるのですが、今後はこれまで学んできた西洋医学だけでなく、漢方薬やサプリメントの使用、精神面のケアなどにも力を入れて診療していきたいですね。
そして、アルツハイマー型認知症の新薬についてはとても注目しています。その薬が実用化されることでアルツハイマー型認知症の進行を今ある薬よりも抑制できる可能性があり、患者さまへも新たな提案ができるので期待しています。
そして、アルツハイマー型認知症の新薬についてはとても注目しています。その薬が実用化されることでアルツハイマー型認知症の進行を今ある薬よりも抑制できる可能性があり、患者さまへも新たな提案ができるので期待しています。
最後に、ページをご覧の患者さまに向けてメッセージをお願いします。
頭痛やめまい、しびれなどの症状があっても病院で聞けなかったり、原因がわからないままになっていたりする患者さまは少なくありません。また脳神経疾患では、根本的な治療法がなく対応に困っている方もいらっしゃいます。当クリニックでは患者さまのお話をよく聞き、どのような問題や困りごとを感じているのかを明らかにしてから、必要に応じて他の病院と連携を取りつつ診断・治療を進めています。
「診断がつかない」「どこに行ってもなかなか症状がよくならない」という方も、一度ご相談にお越しください。どのような形であれ、「患者さまの役に立つ」ことを意識して診療しています。対応や治療について、患者さまと相談しながら良い手はないかと考えていきますので、何かの脳神経疾患なのではないかと心配をしている患者さまはいつでもご相談いただければと思います。
「診断がつかない」「どこに行ってもなかなか症状がよくならない」という方も、一度ご相談にお越しください。どのような形であれ、「患者さまの役に立つ」ことを意識して診療しています。対応や治療について、患者さまと相談しながら良い手はないかと考えていきますので、何かの脳神経疾患なのではないかと心配をしている患者さまはいつでもご相談いただければと思います。