蓮沼 武雄先生(日本神経学会認定 神経内科専門医)にインタビュー
患者さんが向けてくださる笑顔や感謝の言葉で医師としての姿勢を学ぶ
もともと理数系や科学が好きで、小さい頃から父に科学の面白さを教えてもらっていました。神経内科は何が原因であるか筋道を立てて考える診療科なので、内科のなかでも科学に通ずるものがあるのではないかと個人的には思っています。そのように論理的に考えることが好きなこともあり、神経内科に注力できたんだと思います。
糖尿病は国民病のひとつです。重症化しないように治療を必要としている方が大勢いらっしゃいますので、そのような方々に今後も貢献していきたいと思っています。同じ神経内科でも軽い病気から重い病気までさまざまで、さらに他の診療科目が関わっていることもあるので、正しい診断力が重要です。医療の入り口として、皆さんに気兼ねなく利用いただきたいと思います。
また、真剣に病気と闘われる患者さんの姿から、人としても学ぶことがたくさんありました。ひとりの患者さんをずっと診療していると、病気だけでなく気持ちの部分やお人柄に触れることもあります。そういったなかで、人間として考えさせられることもしばしばありました。
母校の始祖の教えに「病気を診ずして病人を診よ」という言葉があります。この言葉の意味にあるように、「病気」のみを診るのではなく、 病に苦しむ"人"に向き合い、患者さんがどんなことでも相談しやすい診療をと、心がけています。
それは神経内科の受診に対しても同様で、精密検査を要する場合などは、検査ができる病院に紹介することもありますが、まずは「入り口として受診しやすい医院」にしていければという思いで片頭痛やパーキンソン病、本態性振戦や認知症などの疾患を中心に診療にあたっています。
何が原因となっているかを見極める診断力で、早期治療につなげる
病状を判断するためにも、問診と診察を重要視しています。それによって必要な検査などがわかるので、まずは、患者さんとの対話を大切にしています。また、CTやMRIなどの精密検査が必要な場合には、速やかに近隣の検査が可能な施設にご紹介します。
治療では、片頭痛の治療にも注力しており、片頭痛予防を目的に注射療法も行っています。症状が劇的に良くなる方もいらっしゃいますので、片頭痛に苦しまれている方には朗報だと思います。
ただし、頭痛のなかには脳出血のように緊急性を要するものがあります。急激に症状が生じた場合や症状が強い場合には、検査のできる病院を速やかに受診してください。
パーキンソン病の精密検査は大きな病院で行われていますが、病状によっては薬で十分良くなる場合もあり、当院で治療をはじめるか、もしくは大きな病院で精密検査が必要か、患者さんの要望や背景を考慮して判断するようにしています。
当院には、パーキンソン病以外にも、手の震えなどの症状が起こる、本態性振戦や甲状腺機能亢進症などで来院される患者さんもいらっしゃいます。本態性振戦は若い方にもよく見られる疾患ですが、これらの疾患で注意しなければならないのは、震えや動きが悪い原因が加齢によるものだと思っている方もいらっしゃることですね。薬で症状が良くなる場合もあるので、気になる症状があれば、一度ご相談にいらしていただきたいと思います。
診察では患者さんやご家族の皆さんから、よく話を聞くようにしています。そのうえでアルツハイマー病の可能性がある場合は、いくつかの検査を行った上で診察すると、おおよその診断が導かれます。さらに診断を確定するため、頭のCTやMRI検査など精密検査が必要となることもあります。そのような場合は、検査ができる施設をご紹介し、当院で総合的な診断を行っていきます。
アルツハイマー病の治療薬については、現在は特効薬がないので、症状や進行を抑える目的で薬物療法を行います。また、アルツハイマー病になっても、患者さんとご家族の皆さんが幸せに暮らせるように、どういう心構えでいればいいのかということなどをお話しています。
気兼ねなく来院できる、地域に根差した神経内科や糖尿病内科の医院を目指す
神経内科についても同様に、今後も引き続き力を入れて行きたいですね。その中でも、片頭痛やパーキンソン病、本態性振戦や認知症などの診療を中心に行っていきたいと思います。地域の皆さんにとって、さまざまな病気のお悩みを相談することができる、医療の入り口として尽力して行きたいと考えています。
新型コロナウイルスの検査は、現在当院では行っておりません。しかし、発熱がある方など、診療を受けられず困っている方もいらっしゃると思います。ほかの疾患の可能性も踏まえて、発熱がある患者さんもなるべく断らずに診療するようにしています。
片頭痛などの習慣性頭痛については、生活の質を落とすことにもなりかねないので、つらいと思われたら我慢せずに、一度受診してみてください。
また、手の震えなども比較的多くみられる症状です。思わぬ病気が隠れていることもありますが、飲み薬などで症状の落ち着くこともありますので、気兼ねなくご相談にいらしてください。患者さんが一日でも早く不安から解放されるよう、診療を通じてサポートしたいと思います。