
高橋 輝道先生(日本精神神経学会認定 精神科専門医)にインタビュー
うつ病やパニック障害など、幅広い心のトラブルに寄り添った診療を提供
この病気の難点は、当人だけではそれが病気であると自覚しにくいことです。当クリニックでも、周りの人に受診をすすめられたことがきっかけで来院される方は少なくありません。そのため、上記のような状態に少しでも心当たりのある方は、一度ご相談いただきたいと思っています。
うつ病の治療では焦らないことが大切です。「仕事に原因があるから仕事を辞める」など、患者さまにとって重大な決断を安易に促すのではなく、患者さまの生活事情を深く理解し、お薬による治療や生活習慣の見直し、休養を取るなど、一人ひとりに寄り添った治療を提案することを心がけています。
後者は予期不安とも言うべきもので、頻発すると外出などの行動に自分自身で制限をかけてしまい、生活の質が低下する原因になりかねません。具体的にはトンネルに入っていないにも関わらず、またパニックに陥ってしまったらどうしようと過度な不安を抱えてしまう状態のことを指します。
治療においては、発作や予期不安をいかに抑えるかが重要になります。そのためにカウンセリングで患者さまの生活背景やお悩みを丁寧にうかがい、状況に合わせて薬物療法などを行うことで、症状緩和を目指していきます。症状や治療について気になることなど、遠慮なくお話しいただければ幸いです。
主にアルコールの飲酒や服用している薬の副作用が原因であることが多く、また睡眠時無呼吸症候群が関係しているケースもあるなど、原因は本当にさまざまですね。原因に応じて治療のアプローチも変わってきますので、その見極めには力を入れています。
基本的には睡眠薬での治療が中心となります。患者さまの年代や眠りにくさの種類など、一人ひとりに合わせて量やタイミングを調整していきます。たとえば、眠りにくいと訴える患者さまがいらしたら、2~3カ月ほどお薬を処方し、まずは眠ることができると実感を持ってもらい、減薬にチャレンジしてもらったり、ご年配の方であればほかの病気を合併している可能性があるため、ほかのお薬の作用も見ながら処方を行ったりします。不眠をきちんと治療することで、精神的にも良い影響を与えると考えていますね。
心に悩みを抱えた方やそのご家族の助けになりたいと思い、心療内科の道へ
当初はアルコールに関する病気を中心に学んでいたのですが、その過程でアルコールの精神作用について学ぶ機会がありました。そこから発展して、精神疾患やメンタルケアに興味を持つようになり、次第に心療内科の道に進んだといった流れでしたね。
高齢者や働き盛りの方など、さまざまな方が相談できるクリニックを目指す
そのほか、認知症患者さまなどのご家族に対するサポートにも力を入れて行きたいと考えています。病気とは患者さまだけの問題ではありませんから、周囲の方も不安やお悩みを遠慮なくお話しできるようにしたいです。
また、それに伴って高齢者ご本人だけではなく、そのご家族や、介護など高齢者に関する職種の方々へのメンタルヘルスケアも大切になってくるでしょう。私も微力ながら、そうした方々の心の問題を緩和するサポートがしたいと考えています。
心の問題とは、目では見えにくいものです。そのため、皆さまが「こういった不安があります」と何でも遠慮なく話せるようにすることが大切だと考えています。治療も薬一辺倒ではなく、皆さまのご希望などもしっかりと把握した上で方針を立てていきたいと思いますので、どうぞ気兼ねなくご来院ください。