高田 生織先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
症状発見のきっかけや生活習慣の聞き取りに注力しながら原因を精査し、一人ひとりにあった治療を提供
また、特に気を付けているのは真珠腫性中耳炎を見逃さないようにすることです。真珠腫性中耳炎は痛みの自覚症状が出ることが少ないため気付きにくく、重症化してから来院されることが多いです。時々、繰り返す耳の奥の痛みや重苦しい感覚、耳がつまったような症状があればお早めにご相談いただきたいです。
耳管開放症についても注意が必要です。あくびをするときや唾液を飲み込むときに一時的に開く耳管が何らかの原因によって閉じにくくなる疾患で、無意識に鼻すすりで治す方がいらっしゃいます。これを続けることで真珠腫性中耳炎につながるリスクがあります。クリニックでは、診察(耳の中の所見や聴力検査、耳管機能検査)を行い正しい診断に努めています。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎については勤務医時代からよく診ている疾患ですし、私自身も花粉症で悩んだ経験がありますので、つらさについては理解しているつもりです。そのつらさに寄り添い、より患者さまに合ったお薬を一緒に探していきたいと考えています。生活の質を上げるためにも、一度ご相談いただければ幸いです。
また、声が出ないという患者さまも多く受診されるのですが、声帯が腫れたりポリープが出来ていたり、声帯そのものの動きが悪くなっていたりと原因はさまざまなので、喉頭ファイバー検査やCT検査による精査を必要時は行うようにしています。声嗄れに加えて喉の痛みや息苦しさ、物を飲み込みにくいという症状がある場合は急性喉頭蓋炎の可能性があり、腫れが大きくなると気道をふさいで致命的にもなるため、特に注意して診ています。
人を笑顔にするために医師の道へ。留学時に知識や手技の習得に尽力
細かい作業が好きでしたので外科系に進もうと思っていたのですが、臨床研修で耳鼻咽喉科を回らせていただいた際に、自分自身が通院していたこともありとても懐かしく感じて、自然な流れで心に決めました。赤ちゃんからご年配の方まで幅広く、良性疾患から悪性疾患、アレルギーまで多岐にわたって診られるところが魅力的で、選んでよかったなと今でも思っています。
また、縁があってイタリアの病院に1年ほど留学し、そこで手術をじっくりと見学する機会をいただきました。日本では病棟業務や外来診療が優先される為、手術を見ることだけに時間を費やすことはできませんが、留学中はそれが可能だったため知識や手技の習得に集中することができました。初診外来診療では問診がとても重要で、既往歴や困っていることを患者さまのお話から正しく見つけ出さなければなりません。この事においては、各地方の病院に勤め、さまざまな習慣や文化の中で生活する患者さまと向き合ったり、留学時に幅広い知識を得たりしたことで、先入観なく取り組むことができているなと感じています。
クリニックにはさまざまな国籍の方がいらっしゃいます。国によってお薬の使い方などは異なりますが、どう処方すれば納得していただけるか、どのようなことを説明すればよいのかなどをある程度推測できて、スムーズに診療を進められるのも私の強みだと思っています。
これまでの知識や経験に加え、新しい薬や機器を導入し幅広いお悩みに対応
また、薬の進歩に加えて器械も日々進歩しています。補聴器は以前に比べてより自然に近い音が聞こえるようになっているので、必要とされている患者さまに出来るだけスムーズに導入していきたいですし、生活の質を上げるためにもぜひ相談していただきたいなと思います。
他にも、睡眠時無呼吸を補い良い睡眠を助けるCPAPという器械も年々小型化されています。周囲の方から難聴、いびき、無呼吸を指摘されたり、ご自身で不便を感じることがある方のご相談にこれからものっていきたいです。
また、不安な気持ちのまま治療に進んだり、納得できないため別のクリニックを受診したりすると患者さまの負担も増えてしまいますので、ご理解が得られるまでわかりやすく説明します。わからないことがあれば遠慮なくご質問ください。