
松井 さおり先生(日本循環器学会認定 循環器専門医)にインタビュー
病気や治療法について丁寧に説明し、治療に前向きに取り組めるようサポート
また、治療に取り組むことの重要性についてもしっかりと説明するようにしています。高血圧症は自覚症状がなかなか出ないこともあり、健診などで数値異常が見られても放置してしまいがちです。しかし、放っておくと脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる病気につながる危険性がありますから、初期の段階で治療することが重要です。説明時にはリスクを伝えるだけではなく、「治療をすることで元気な老後を迎えられますよ」などとお話しし、前向きに治療に取り組んでいただけるよう努めています。
また、病気を早期に発見し、診断を付けて患者さまの不安を軽減するためにも、超音波検査には特に力を入れています。心エコーを用いて行いますが、脂肪はエコーを通りづらいので、肥満気味の方などは検査時の体勢を変えたりしながら、病変を見逃さないよう丁寧に調べるようにしていますね。検査の結果、心筋症の疑いがある患者さまには、確定診断を付けるため総合病院をご紹介します。紹介をスムーズに行えるよう、近隣病院の先生たちと日頃からコミュニケーションを取るようにしていることも、大切にしていることの一つです。
今後、高齢化が進むにつれて心不全の患者さまは増えていくでしょう。当クリニックで行える治療は限られていますが、心不全に対応しているお薬はたくさん出てきているので、アンテナを張り情報を適宜取り入れ、多くの患者さまの力になれたらと考えています。手足のむくみや息苦しさを感じた場合は、まずはご相談いただければと思います。
お世話になった医師に憧れ自身も同じ道へ。勤務医時代は心疾患の治療に尽力
勤務医時代は、心不全や心筋症、狭心症などの患者さまに対して、血管を広げる治療をメインに行っていました。あるとき、心筋梗塞で運ばれてきた方の治療を行い、その方がようやく意識を取り戻した際、とても感謝されたことがありました。今でもその患者さまとはお手紙のやりとりがあります。そういった人と人とのつながりが、医師としてのやりがいの一つになっています。
開業前には、「日本内科学会認定 総合内科専門医」も取得しました。循環器領域だけでなく、内科分野の知識も持っておくことで、より多くの地域の方々をサポートできると思ったからです。浜松市東区和田町のホームドクターとして、皆さまのお役に立ちたいと考えています。
しかし一方で、最近は心苦しさを感じる場面もあります。コロナ禍になり発熱患者さまの対応に追われ、これまで通院してくださっていた患者さまの顔をなかなか見られなくなったことです。早く新型コロナウイルスが収束することを望んでいますし、当クリニックとしても、待ち時間対策や衛生管理に力を入れるなど、さまざまな工夫をしていきたいと考えています。
知識や情報のアップデートに努め、急性疾患から慢性疾患まで幅広く対応
また、新しい薬や治療法が出てきていることで、心疾患による死亡者数は減っていくのではと予想できますが、何らかの理由で通院しなくなってしまったりご自身の判断でお薬をやめてしまったりして、突発的に亡くなる方も一定の割合でいるのが現状です。このような状況を減らすことを今後の課題とし、治療を無理強いするのではなく、患者さまが主体的に取り組めるような診療姿勢を提供し続けていきたいですね。
またクリニックとしては、心疾患・循環器疾患などの急性疾患に対応することはもちろん、これまでの経験を生かして生活習慣病などの慢性疾患に悩む方のサポートにも力を入れていきたいです。