こころの病気の裏に隠れている原因を探り、幅広い視点で治療を行う医師
院長
青山 洋
取材日:2022年11月16日
青山 洋先生(日本精神神経学会認定 精神科専門医)にインタビュー
勤務医時代に積んださまざまな経験を生かして、日々診療をおこなう
先生が現在の道へ進もうと思ったきっかけがあれば教えてください。
私は医学部入学前に他学部を出て別の仕事をしていました。その後医学部に入学し、卒業後、当時は義務化されていなかった内科や各科の臨床研修をし、産業保健の分野で働きました。これらは広い視野をもつことが望まれる精神科臨床の仕事をするうえで、役に立っていると感じています。
ちょうど、職場のストレスが原因でうつになる方がいるということが注目されだした頃でしたので、こころの悩みを抱える患者さんと関わる中で、うつ病や統合失調症などさまざまな疾患に対応するにあたり、幅広い視点から診断することの大切さを学びました。
ちょうど、職場のストレスが原因でうつになる方がいるということが注目されだした頃でしたので、こころの悩みを抱える患者さんと関わる中で、うつ病や統合失調症などさまざまな疾患に対応するにあたり、幅広い視点から診断することの大切さを学びました。
勤務医時代の経験で、今に生かされていると思う瞬間はありますか？
勤務医時代は保健所での精神保健相談、老人保健施設への訪問診療などさまざまな経験を積みました。その中で、以前から精神疾患で診ていた患者さんが発達障害だったという出来事がありました。また、「精神保健指定医」という資格を取得後、初めて担当した患者さんが知的障害の方でしたので、とても印象に残っています。このような発達障害や知的障害の診療経験は、現在の診療にも生かされていますし、自分にとって大きなものとなりました。
勤務医時代と変化したと感じる部分は、患者さんの病気の捉え方の違いでしょうか。世間的にも精神疾患の認知度が増したことで、「自分はこの疾患ではないか」と確認に来られる方が増えてきたと感じます。
勤務医時代と変化したと感じる部分は、患者さんの病気の捉え方の違いでしょうか。世間的にも精神疾患の認知度が増したことで、「自分はこの疾患ではないか」と確認に来られる方が増えてきたと感じます。
うつ病患者さんがつらい症状から抜け出すための手助けをする医師
うつ病の患者さんに対しては、どのような診断や治療をおこなっていますか？
昔は「自分は駄目な存在だ」と自分自身を責める方もいましたが、現在では自分だけのせいではなく、周りの環境によってうつ病になったと捉える方が増えているように感じます。うつ病には心理的な問題以前に、眠れない、食欲がない、疲れやすいなど身体の不調となって現れることがあり、その背後に「うつ病が隠れていた」というケースがあります。また、初めは身体のことが心配で内科に受診して、うつ病などの症状が見過ごされてしまうケースもしばしば見受けられます。
診察では患者さんのお話をヒアリングするだけでなく、スクリーニングテストも含めて総合的に判断し、症状に応じて治療をおこないます。うつ病と診断された場合は、脳や身体が疲れきっている状態ですので、とにかく休養を取ることが必要です。その上で、抗うつ薬を服用しながら、症状改善を目指します。「バイオ・サイコ・ソーシャル（生物的・心理的・社会的）」という考えのもと、診療をおこなっていますのでまずはご相談いただけたらと思います。
診察では患者さんのお話をヒアリングするだけでなく、スクリーニングテストも含めて総合的に判断し、症状に応じて治療をおこないます。うつ病と診断された場合は、脳や身体が疲れきっている状態ですので、とにかく休養を取ることが必要です。その上で、抗うつ薬を服用しながら、症状改善を目指します。「バイオ・サイコ・ソーシャル（生物的・心理的・社会的）」という考えのもと、診療をおこなっていますのでまずはご相談いただけたらと思います。
不安神経症も、こころの病気に関わると思いますが、特徴を教えてください。
不安障害・不安症に関わる病気として、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害など、いろいろなタイプがあります。例えば過度なストレスやプレッシャーを感じる環境に、長い間身を置くことでスイッチが入ってしまい、急な動悸・めまい、息苦しさ、不安・強迫観念や注意欠如、人前に出ると緊張するなど、身体に何かしらの症状が現れます。
その我慢が積み重なって、突然骨がポキっと折れるようなイメージでしょうか。一度あふれだした不安は元に戻すことは難しく、単に休むだけでは改善できませんので治療が必要になる場合があります。ストレスの少ない生活を心がけるように指導していますが、実行が難しい方もおられますので、カウンセリング（※）などを取り入れるなど不安に対処する方法を患者さんと一緒に考えていきます。
（※）は、一定回数以上長期的に行う場合、自由診療になります。
その我慢が積み重なって、突然骨がポキっと折れるようなイメージでしょうか。一度あふれだした不安は元に戻すことは難しく、単に休むだけでは改善できませんので治療が必要になる場合があります。ストレスの少ない生活を心がけるように指導していますが、実行が難しい方もおられますので、カウンセリング（※）などを取り入れるなど不安に対処する方法を患者さんと一緒に考えていきます。
（※）は、一定回数以上長期的に行う場合、自由診療になります。
発達障害は、うつ病や不安神経症とは別の視点から診察されるのでしょうか？
そうですね。いわゆるADHDという疾患ですが、整理整頓ができない、物忘れが多い、計画通りにできないなど、以前であれば単にだらしない人で済まされていました。それが、近年注目されるようになった背景もあり、「もしかしたら自分も」と大人になってから心配になって相談に来る方が増えています。また、「空気が読めない」、「他者と上手にコミュニケーションが取れない」「感覚が敏感すぎる」といった自閉スペクトラム症という疾患もあります。
初診では問診やスクリーニングテストをおこない、発達障害の可能性を検討します。発達障害が疑われる場合は、子供の頃からのお話をよく聞きし、必要に応じて心理検査や知的能力の検査をおこないます。脳の発達のアンバランスと言われることもあり、日常生活を送るのに大きな影響をきたすと感じる方、不安が大きく社会が生きにくいと感じた場合は、遠慮なくご相談にお越しいただければと思います。
初診では問診やスクリーニングテストをおこない、発達障害の可能性を検討します。発達障害が疑われる場合は、子供の頃からのお話をよく聞きし、必要に応じて心理検査や知的能力の検査をおこないます。脳の発達のアンバランスと言われることもあり、日常生活を送るのに大きな影響をきたすと感じる方、不安が大きく社会が生きにくいと感じた場合は、遠慮なくご相談にお越しいただければと思います。
経験年数に関係なく、常に新しい知識を吸収し勉強することが大切
今後の診療で注力したいこと、診療科領域での課題があれば教えてください。
自分なりに診断と治療の経験をさらに深めたいです。さらには、身体や薬物療法は医師がおこない、心理検査や一定時間以上のカウンセリングは臨床心理士などが担当するなど、お互いの役割を明確にして治療の幅を広げられたらと考えています。また、診療所、福祉サービス、就労支援施設などとも連携して、これまで働けなかった方が社会に出られるようなサポートが提供できればと思っています。
診療科領域において、今後期待していることや現時点での課題はありますか？
今後は「日本精神神経学会認定 精神科専門医」の資格を生かしつつも、例えばトラウマに関連する疾患など、今まで認知が低かった疾患のサポートができるようになればいいなと思っています。心療内科の治療は経験年数問わず、新しい知識と治療を取り入れることが必要な分野です。社会情勢にも目を配りながら、私自身も勉強を続けてさらなる高みを目指していきますので、お困りのことがあれば気兼ねなくご相談いただけると幸いです。
