
奥田 武志先生(日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医)にインタビュー
どんなに小さながんも見逃さない気持ちで胃内視鏡検査を行う医師
消化器の分野へ興味を持ったのは、当時の花形治療である胃がんについて興味を持ったことが理由でした。現在は消化器内科と消化器外科でわかれていますが、当時は検査・診断・治療を一通り対応するのが当然でした。だからこそ私は、消化器の内科と外科、両方の視点を持った対応ができるという強みを持っています。
このようなさまざまな経験を経て内視鏡検査の面白さに気が付き、「日本消化器病学会認定 消化器病専門医」や「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」の資格を取ったというのが主な流れです。
また、開業後は患者さまのバックグラウンドを考えた上での診療を重要視するようになりました。その方が何をしてほしいのか、ご家族が何を望んでいるのかを知らなければ、納得のいく治療はできません。がんがあっても切りたくないという方がいらっしゃることもあり、そういった経験からご要望に寄り添って診療を進めていく大切さを学びました。
現在は「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」としてのつながりをもとに、研究活動をしている医師や学会から診療機器や治療法などの情報を得るようにしています。検査機器は日々進歩しているので新しい機器が出たらチェックして、良いものは率先して取り入れるようにしています。
あとは、毎年のように内視鏡検査にいらしてくれる患者さまの存在も、私のやりがいの一つです。負担の少ない胃内視鏡検査を心がけてきたことが実を結んで、定期的な検査のご利用につながっていると思うと、患者さまのお役に立てたようで喜ばしいです。
胃がんや逆流性食道炎などの合併症に目を光らせた診断が可能
あとは、逆流性食道炎の合併症である、バレット腺がんのリスクにも注意が必要です。食道に酸が逆流すると、その部分にがんが発生しやすくなります。それがバレット腺がんであり、発症を見逃さないためにも一度は胃内視鏡検査を受けることが重要です。
また、逆流性食道炎は長期化や再発のリスクが高いのですが、服薬で改善しやすいのも特徴です。継続的に薬を飲み続けてもらうためにも、作用が出やすいけれど服薬頻度が高いタイプや、緩やかに作用するけれど2日に1回の服薬でいいものなど、その方のライフスタイルに合ったお薬選びのお手伝いや服薬方法のアドバイスをしています。
まずは経鼻用スコープで嘔吐反射が抑えられることや、だからこそ明瞭に体内が撮影できることを、症例画像を用いて患者さまへご説明します。その後、鼻に麻酔を施した上でていねいにスコープを入れていくことで、ほとんどの方に鎮静剤を使わない内視鏡検査を受けていただけています。鎮静剤の使用を控えているのは、検査中や検査後に行った説明内容を、逆行性健忘によって忘れないようにしたいからです。
また、患者さまがどのくらいの頻度で胃内視鏡検査を受けたほうが良いのかは、胃の粘膜診断によってわかります。そういったアドバイスができるのは、「日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医」だからこそです。
腫瘍が大きくなると吐き気や腹痛、出血によって便が黒くなるなどの症状が出ることがあります。初期には自覚症状がほぼ現れませんので、胃内視鏡検査で見落とさず、必要時には迅速に手術を行うことが大切です。
小さな腫瘍は良性として経過観察でかまいませんが、サイズが2.5㎝以上は手術を検討し、5㎝以上になると手術が避けられません。説明時には私が実際に学会で発表した際のスライドをプリントして見せながら、筋腫を切除する必要があるかどうかを、視覚的にわかりやくお伝えしています。手術を必要とする場合には、連携先の医院へご紹介させていただきます。
地域のクリニックと連携し、地元住民の皆さまの健康をしっかりサポート
機能性ディスペプシアは「病名自体を知らない方が多い」「精神的ストレスが原因」といった理由から、ご納得いただけるまで説明に時間がかかる傾向があります。そういった方には、学会の記事や研究資料を用いて必要な情報を伝え、ご理解を得た上でカウンセリングに進んでいく形をとります。必要があれば、メンタルクリニックへのご紹介も可能です。
その他は、やはり胃内視鏡検査を受けたことがない方に、検査を受けてもらえればと思います。私の工夫として、がんの原因となるピロリ菌の検査を保険診療で行うために、その条件である胃内視鏡検査を先に受けるご提案をしています。胃内視鏡検査のカメラも、可能な限り新しいタイプやシステムを導入しているので、詳細な検査を少ない苦痛で受けていただけるかと思います。
幸い、私の息子が消化器内科を目指してくれているので、医師として一人前になったら手伝ってもらいたいと考えています。今はまだ臨床研修医なので、まだ4ー5年先の話ではありますが、一緒に働けると親としても先輩医師としてもうれしく思います。
胃内視鏡検査を受けるか受けないかが命に関わってきたり、QOLにも関係したりと、人生に大きな影響を及ぼします。しかし、検査自体はそれほどハードルの高いものではありません。自分の状態を調べるため、検査未経験の方も、昔に受けて苦しい思いをした方も、試しに1回経験してみるくらいの気持ちでご利用いただければと思います。
また、クリニック全体としては内科、消化器内科、胃腸内科、外科と幅広い科目に対応できるのが特徴です。開院以来、地域のクリニックと連携して患者さまの健康をサポートしてまいりました。その経験を生かし、それぞれの症状に対して必要なクリニックをご紹介いたしますので、「この症状をどこに相談すれば良いのかわからない」という方も、気兼ねなくご来院ください。