
伊勢呂 哲也先生(日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医)にインタビュー
一人で病院の泌尿器科立ち上げにも携わった経験を活かし、開業医を志す
医師という職業に初めて興味を覚えたのは、中学3年生の時だったと思います。中学時代は、テニス部に入っていたのですが、部活動中に指を骨折してしまったのです。その時、病院で診てもらったことをきっかけに、漠然と「医師になりたい」と思い始めました。
私が通っていた高校は、1学年のうち50人ほどは医学部に進むような学校だったんです。そういった環境の中、私自身も、数学や物理が好きだったこともあり、医学部に進んで医師になろうと思いました。もちろん、中学の時、実際に医師の仕事を間近で見ることができたのも、進路を決める上で大きな影響を与えたと思います。
泌尿器科の医師になろうと決めたのは、臨床研修を行っていた時です。泌尿器科の先生に誘っていただき、泌尿器科の道に進むことを決めました。泌尿器科は、人間味溢れる先生たちが多く、そのご縁もあって、泌尿器科を選んだのです。実を言うと、医学部の学生の頃は、オペはあまり好きではありませんでした。泌尿器科の魅力的な先生方との出会いがきっかけで、だんだんとオペの魅力に取り憑かれていったのです。
今、当クリニックに非常勤で来てくれている泌尿器科の先生も、楽しい先生が多いですね。
(※)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。
責任感が強くなったのと同時に、これまで深く考えずに行っていた手技のひとつひとつについて、その方法を選択する理由までしっかりと考えるようになりました。これまでは、上司にあたる先生がそのように処置をするからと特に疑問も持たず、上に倣っていたのですが、「なぜここで止血する必要があるのか?」、「なぜ、ここで焼灼するのか?」といった理由を、自分の頭でひとつひとつ考えるようになったのです。それを3年ほど続けていくうちに、これなら開業できると思えるようになりました。とても成長できたと思います。
「日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医」を取得したのは自然な流れです。取るのが当たり前だと思っていたんですね。それと同時に、腹痛について幅広く診られるようになりたいと考え消化器内科についても学びました。
QOL快方で感謝されることが多い泌尿器科。それがやりがいにも繋がる
尿管結石は高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の患者さまに多く見られる病気です。生活習慣を改善することや、1日1500ccの水分を摂取して尿の濃度を薄めることで、結石ができないようにすることが期待できます。
尿管結石は、結石が出なければ手術で取り除かなければなりません。私は、勤務医時代、ずっと尿管結石の手術に従事してきました。その経験を活かして、手術をすべきタイミングの判断ができることは強みだと思います。手術をしなければならない状態か、水分を多く摂取しつつまだ様子を見ていても大丈夫なのかを判断し、必要な時に手術ができる医療機関をご紹介しています。
尿意があるのにトイレを我慢する、水分を摂らないといったことをすると、膀胱で菌が繁殖しやすくなります。膀胱炎を予防するためには、尿道口周辺を清潔に保つ、トイレを我慢しない、水分を十分に摂るといったことに気を付けるとよいでしょう。ただ、日頃から気を付けてこれらの予防法を実践していても体質的に膀胱炎を再発しやすい方がいらっしゃいます。そういう方には漢方薬を処方し、膀胱炎になりにくい体質への快方を目指しています。
西洋医学では、膀胱炎になってから、「入り込んだ細菌をやっつける薬を出しましょう」と抗生剤を処方します。未病の段階では何もできません。漢方薬には、膀胱炎になりやすい体質を未病の段階で改善していくことが期待できるのです。漢方薬のそういった特徴に魅力を感じ、漢方薬についても勉強をしました。
夜間頻尿の治療で大切にしていることは、まずその原因を究明することです。夜間頻尿の理由はさまざまなので、その原因に合わせた治療法を選択しなければなりません。例えば、夜間に尿が多く作られてしまう夜間多尿の方もいれば、膀胱に尿をためることができない蓄尿障害の方もいます。まず、排尿日誌を付けていただくようにお願いし、少なくとも24時間×2日間、尿量を計測し記録してもらっています。この排尿日誌をもとに、1日の尿量の中で夜間の尿量が占める割合を確認し、どのタイプの夜間頻尿なのかを鑑別していくのです。
夜間頻尿が改善されると患者さまの生活の質(QOL)が上がりますので、患者さまから感謝されることが多いですね。夜間頻尿以外でも、泌尿器科疾患は患者さまご自身が治療による症状の緩和を実感されやすく、医師としてもやりがいを感じます。
ためらわずに受診できる泌尿器科クリニックを展開していくことに今後も注力
泌尿器科を受診したいという患者さまのニーズ自体は多いと感じたため、当クリニックのほかに、「東京泌尿器科クリニック上野」も開業しました。「東京泌尿器科クリニック上野」には、都外にお住まいの患者さまも多くご来院されますので、泌尿器科の需要は高いことを実感しています。現状、お悩みを抱えている患者さまの数に対して、泌尿器科の医師やクリニックが足りていないように感じます。今後、泌尿器のことで悩んだ患者さまが、気兼ねなくクリニックを受診できるように、さらに展開していけたらと考えています。
また、泌尿器科を志す医師が少しでも増えるように、泌尿器科のイメージを改善するための情報発信もしていきたいですね。
小さな穴からロボットアームや内視鏡を挿入しておこなう手術なので、開腹手術と比べ、患者さまにとって身体的負担が少ないというメリットがありますね。ロボット支援手術では、腹腔鏡手術と異なり、手元の動きと同じ方向へ自然に鉗子を動かすことができ、手ぶれも補正してくれるので、術者の技術に左右されずに一定水準の手術が提供できるのではないかと、期待しています。
私は、医療法人誠高会おおたかの森病院に勤務していた時、消化器内科の先生のもとで、消化器内科の勉強もしてきました。患者さまが腹痛の症状を訴えられる時、その原因は泌尿器科疾患と消化器内科疾患が考えられます。両方の診療科目を診ることができれば、患者さまを広い視野からフォローすることができると思い、消化器についても学んだのです。私自身も幅広く診られる医師になりたいと思って研鑽を積んできましたし、そういうクリニックを作りたいと思いました。
泌尿器科に関しては、膀胱鏡、超音波画像診断装置を備え、いつでも標準的な泌尿器科治療を受けていただけるような環境を整えています。と同時に、消化器内科、内科、外科と幅広く対応できますので、何でも相談していただきたいですね。
(※1)は自由診療です。料金は料金表をご確認ください。
(※2)は、お住まいの市区町村によっては補助制度を利用できます。自由診療となる場合もありますので、料金表をご確認ください。