ささいな症状も見逃さない、あらゆる可能性を考慮して医療をおこなう医師
院長
山下 弘之
取材日:2023年1月18日
山下 弘之先生(日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医)にインタビュー
検査から治療、手術、術後のフォローまで一貫しておこなえる環境を用意
慢性副鼻腔炎の特徴や診療で大切にされていることを教えていただけますか?
慢性副鼻腔炎の症状は、黄色く粘りのある鼻水が特徴です。ただの鼻水だからと軽視しがちですが、放置すると髄膜炎やがんといった重い病気になる可能性がある怖い疾患でもあります。そのため、重い病気になる前に食い止められるよう意識して診療をおこなっています。
副鼻腔炎の疑いがあれば、CTや内視鏡などといった精密検査をおこない、手術が必要なのか、それとも内服治療の段階なのかを見極めるようにしています。手術の必要性は、鼻茸と呼ばれるポリープの有無により判断いたします。
慢性副鼻腔炎の手術は、グループ院の方でもよく実施しているため、主にそちらにご紹介しています。グループ院であれば、最初のステップまで戻ることなく手術からスムーズに対応してもらえます。術後のフォローも患者さまのご都合に合わせてグループ院の中からお選びいただけるのも当院の強みです。
副鼻腔炎の疑いがあれば、CTや内視鏡などといった精密検査をおこない、手術が必要なのか、それとも内服治療の段階なのかを見極めるようにしています。手術の必要性は、鼻茸と呼ばれるポリープの有無により判断いたします。
慢性副鼻腔炎の手術は、グループ院の方でもよく実施しているため、主にそちらにご紹介しています。グループ院であれば、最初のステップまで戻ることなく手術からスムーズに対応してもらえます。術後のフォローも患者さまのご都合に合わせてグループ院の中からお選びいただけるのも当院の強みです。
アレルギー性鼻炎の、手術による根本的治療もおこなっているそうですね。
アレルギー性鼻炎は有病率が増加しつづけていて、二人に一人は花粉症かハウスダスト、もしくは両方に罹患していると言われており、多くの方が悩まれています。症状のレベルによっては、QOLにも大きく影響を及ぼすため、お一人おひとりの症状や重症度のレベルに応じた治療をすることが大切です。
内服薬や点鼻薬などの対症療法から、舌下免疫療法や手術療法といった根本的な治療法まで幅広いご提案ができます。お薬では、症状が緩和しない重症な患者さまであっても、当院で手術をおこなうことが可能です。
アレルギー性鼻炎は、薬の適性と重症度レベルに応じた治療で快方に向かうため、耳鼻咽喉科の医師の診断が重要だと言えますね。
内服薬や点鼻薬などの対症療法から、舌下免疫療法や手術療法といった根本的な治療法まで幅広いご提案ができます。お薬では、症状が緩和しない重症な患者さまであっても、当院で手術をおこなうことが可能です。
アレルギー性鼻炎は、薬の適性と重症度レベルに応じた治療で快方に向かうため、耳鼻咽喉科の医師の診断が重要だと言えますね。
嚥下障害も先生の専門分野だと伺いました。疾患について教えてください。
嚥下障害は、むせたり、飲み込みづらかったりなどといった口腔機能が低下する障害で、ご年配の方に多い疾患です。嚥下障害の患者さまは感覚機能と運動機能が低下しているため、それぞれの機能を促す内服治療を行います。のどの運動機能は年齢に左右されないことがほとんどなのですが、感覚機能については50歳頃を目途に降下する傾向にあります。そのため、ACE阻害薬というお薬を使ってのどの感覚機能の働きを促進し、誤飲しづらく、また飲み込みやすくさせます。ただし、ACE阻害薬は血圧を下げてしまう作用がありますので、低血圧などの症状がないか、処方前にしっかりと確認することが大切です。
このように、診療の際は、そのほかにかかっている病気や基礎疾患がないかなど、丁寧に問診をおこなうようにしています。嚥下障害では、何よりも誤飲性肺炎を起こさないことが重要となるため、ご状態によっては呼吸器内科と連携し治療を進めるようにしています。
このように、診療の際は、そのほかにかかっている病気や基礎疾患がないかなど、丁寧に問診をおこなうようにしています。嚥下障害では、何よりも誤飲性肺炎を起こさないことが重要となるため、ご状態によっては呼吸器内科と連携し治療を進めるようにしています。
がん医療で診断力を養った勤務医時代。開業後も早期発見で尽力
開業前は九州がんセンターで、がんの早期発見に尽力されていたのですね。
そうなんです。耳鼻咽喉科分野の中でも、特にのどを専門分野として担当していました。開業前は九州がんセンターで、咽頭がん・口頭がんなどといった、がんのスクリーニング検査に力を入れていました。
がんに罹患する可能性は誰しもあります。もし検査で自分が見落としてしまったら、その方の人生を左右させてしまうので、絶対に見逃さないように初心を忘れないよう集中して検査をおこなっていました。それは開業後でも変わっていません。特にがん検査は一年に一回といった頻度で受診される方が多いので、見逃しがないようにしなければなりません。そのため、診察でのどをパッと診ておわらせるのではなく、現在でも内視鏡検査やCT検査などをおこなうようにして、化学的な証拠を集めて治療につなげるという診療スタイルを大事にしています。
がんに罹患する可能性は誰しもあります。もし検査で自分が見落としてしまったら、その方の人生を左右させてしまうので、絶対に見逃さないように初心を忘れないよう集中して検査をおこなっていました。それは開業後でも変わっていません。特にがん検査は一年に一回といった頻度で受診される方が多いので、見逃しがないようにしなければなりません。そのため、診察でのどをパッと診ておわらせるのではなく、現在でも内視鏡検査やCT検査などをおこなうようにして、化学的な証拠を集めて治療につなげるという診療スタイルを大事にしています。
耳鼻咽喉科を選ばれた理由や、開業に至った経緯をお聞かせください。
耳鼻咽喉科の道に進もうと思ったのは、お世話になった教授からのお誘いがきっかけではありましたが、感覚器の重要性や魅力を知ったから、というのも大きな理由です。首から上の部分で目以外の感覚器は、すべて耳鼻咽喉科が担う部位であり、QOLに直結しているので、知れば知るほどやりがいを感じられました。耳鼻咽喉科の疾患は内臓疾患に比べ、目で見えやすい部位であるため、診断から治療まで導けるのも自分の性格に合っていると感じています。
その後、グループ院の現会長である坂口先生との出会いがありました。坂口先生は、九州がんセンターの先輩でもあるので、「患者さまのニーズに応える」という自分が描きつづけてきた診療スタイルで一緒に耳鼻咽喉科を作っていけると思い、開業することにしました。開業するにあたっては、内視鏡やCTなどの設備をそろえ、早期発見ができるよう体制を整えました。
その後、グループ院の現会長である坂口先生との出会いがありました。坂口先生は、九州がんセンターの先輩でもあるので、「患者さまのニーズに応える」という自分が描きつづけてきた診療スタイルで一緒に耳鼻咽喉科を作っていけると思い、開業することにしました。開業するにあたっては、内視鏡やCTなどの設備をそろえ、早期発見ができるよう体制を整えました。
院長に就任されて、どのようなクリニックを目指してきたのでしょうか?
私は「患者さまファーストのクリニック」を作りたいと思い、開業しました。医師の意見を押し付けずに、患者さまのニーズに合った医療を提供していきたいと思っています。例えば、たくさん治療しないといけない疾患を抱えていても、患者さまの断りなく一方的に治療するのではなく、今後のリスクなどを考え、優先順位を患者さまと相談しながら診察を進めるようにしています。
町のクリニックの院長になってみて、大学病院や九州がんセンターで勤務医をしていたときに診ていた病気とは異なり、診断から快方に向かうまでのスパンが早い疾患を診る機会が増えたように感じています。クリニックでは、お一人おひとりの患者さまにじっくり向き合えるので、より見逃しがないように注意深く診たり、納得いただけるように詳しく説明したりと、自由に工夫できるのも今の仕事の魅力ですね。
町のクリニックの院長になってみて、大学病院や九州がんセンターで勤務医をしていたときに診ていた病気とは異なり、診断から快方に向かうまでのスパンが早い疾患を診る機会が増えたように感じています。クリニックでは、お一人おひとりの患者さまにじっくり向き合えるので、より見逃しがないように注意深く診たり、納得いただけるように詳しく説明したりと、自由に工夫できるのも今の仕事の魅力ですね。
クリニックとして目指すのは、高齢化に向けQOLを維持させる医療の提供
今後の耳鼻咽喉科の医療について、どのようなことに注目されていますか?
機能障害を根本的に再生し、失われた人体機能の快方に向かうよう目指すiPS細胞などといった再生医療に注目しています。これは諦めざるをえなかった難聴や嗅覚・味覚障害の治療に期待ができます。
耳鼻咽喉科の課題としては、社会は高齢化に進んでいるので、加齢に伴う、難聴、嗅覚障害、味覚障害の診療ニーズはこれから高まっていくと思います。認知症の新しい薬はどんどん出てきていますが、私も耳鼻咽喉科の医師として、耳・鼻・のどの感覚器を治療することで、認知症の進行をはじめ、高齢化に伴うあらゆる疾患の食い止める役割を担っていきたいと考えています。今後高齢者が増えてくるでしょうから、高齢者に多い疾患へのあらゆる治療法が必要になってくるでしょうね。
耳鼻咽喉科の課題としては、社会は高齢化に進んでいるので、加齢に伴う、難聴、嗅覚障害、味覚障害の診療ニーズはこれから高まっていくと思います。認知症の新しい薬はどんどん出てきていますが、私も耳鼻咽喉科の医師として、耳・鼻・のどの感覚器を治療することで、認知症の進行をはじめ、高齢化に伴うあらゆる疾患の食い止める役割を担っていきたいと考えています。今後高齢者が増えてくるでしょうから、高齢者に多い疾患へのあらゆる治療法が必要になってくるでしょうね。
クリニックでは、どの疾患や治療に注力していきたいですか?
今後もあらゆる世代の方々のお悩みに対応出来ればとおもいますので、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、嚥下障害の三つの診療に注力していきたいと考えています。
アレルギー性鼻炎は若い方に多く、罹患率の高い疾患のひとつです。働き盛りの方々のQOLを上げるためにも、根治的な治療が期待できる手術や舌下免疫療法といった治療を引き続き提案していきたいですね。
また、副鼻腔炎においては幅広い年代の方に起こりうる病です。この病気が原因で、髄膜炎やがんの発症の可能性もあるので、今後も力を入れて早期発見治療に尽力していくつもりです。
そして嚥下障害については、ご年配の方がかかりやすい疾患です。社会の高齢化に伴い、増加傾向にある診療ニーズに耳鼻咽喉科としてもお役に立ちたいと思っています。
アレルギー性鼻炎は若い方に多く、罹患率の高い疾患のひとつです。働き盛りの方々のQOLを上げるためにも、根治的な治療が期待できる手術や舌下免疫療法といった治療を引き続き提案していきたいですね。
また、副鼻腔炎においては幅広い年代の方に起こりうる病です。この病気が原因で、髄膜炎やがんの発症の可能性もあるので、今後も力を入れて早期発見治療に尽力していくつもりです。
そして嚥下障害については、ご年配の方がかかりやすい疾患です。社会の高齢化に伴い、増加傾向にある診療ニーズに耳鼻咽喉科としてもお役に立ちたいと思っています。
最後に、この記事を読んでくださっている方へメッセージをお願いします。
皆さまにお伝えしたいのは、「ささいな症状だけど受診していいのかな」と悩まずに、気兼ねなく来院いただきたいと言うことですね。小さな症状でも思わぬ病気がみつかることがありますので、迷わずにご相談にいらしてください。
クリニックのある天神ではお忙しい方が多い地域なので、今後、「ファースト医療、コンビニ医療」と言えるような診療スタイルで、速やかに利便性の良い医療を提供したいと考えています。2交代制などを取り入れて、遅い時間でも受診できるようなクリニックに発展できたらと思っています。
クリニックのある天神ではお忙しい方が多い地域なので、今後、「ファースト医療、コンビニ医療」と言えるような診療スタイルで、速やかに利便性の良い医療を提供したいと考えています。2交代制などを取り入れて、遅い時間でも受診できるようなクリニックに発展できたらと思っています。