矢島 純先生(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)にインタビュー
広範囲にわたり、原因発見に注力する皮膚科に興味を持った研修医時代
そしてさまざまな可能性を考え、多角的視点から判断を行い、症状に合わせたお薬を出しながら経過を見て治療を行っていきます。ですが診断が間違っていて、状態に合わない薬を使ってしまえば、みるみる症状が悪化していく危険性もあります。ですから初めの診断がとても重要なわけです。私がついていた先生は、その診断の誤りが少なく、治療を始めると患者さまの症状がピタッと改善されていたように思います。その先生の姿から診断能力の大切さについて改めて学びましたね。
医師としてクリニックを持ち、私がこれまでに培った経験と能力を地域の方に少しでも還元していければ、という思いが強かったですね。
「春日部ヒフ科医院」を開院するにあたり目指した医師像は、やはり先ほどお話したような診断能力に長けた医師でした。しかしながら、診断と薬の処方のほかに、家に帰ってからのスキンケアや薬の塗り方などについてもしっかりと説明するよう心がけています。開業医として地域の皆さまのお手伝いができればという思いで現在も診療を続けています。
患者さま自身が、発症の原因を知ることが予防につながることも
アトピー性皮膚炎の患者さまは年齢層も幅広く、一人ひとりの背景も異なります。幼少期から発症する方もいれば、大人になってから職場での人間関係や、業務に追われることによるストレスなどがきっかけで発症する方もおられます。その場合は、自分がなぜ発症したのか理解した上で治療を行うのが大事です。ストレスや不安を感じることでかゆみを伴う場合もありますので、生活背景も含めて、メンタル面にも寄り添いながらお話を伺っています。
アレルギー性のかぶれもそれと同じで、突然ある時期からなにかに反応してかぶれの症状がでてきてしてしまうので、患者さまご本人が原因に気づかないことも多いのです。
毛染めやアクセサリー類などによるアレルギー反応もそうですが、原因が明確にならない限り同じことを繰り返してしまいますので、その原因を特定するために、なぜそうなったのかをヒアリングして推測・確認を行い、治療では症状に応じて塗り薬を処方します。
対処方法については、濡れたらおむつをすぐに取り換えることはもちろんですが、「肌をゴシゴシこすらず石鹸を泡立てて、やさしく洗うようにしましょうね」と説明しています。清潔にしようという気持ちで、皮膚があかむけた状態のお子さまのお尻を濡れタオルや温かいもので何回も横拭きしてしまう方がいらっしゃいます。しかしそういう親御さまに対しては、ご自身が鼻かぜをひいて鼻の下があかむけて痛くなっているときに、濡れタオルでこすったりしたら痛いでしょう?とイメージしやすいようにスキンケアや保湿の方法についてお伝えするようにしています。かぶれが強い場合は、洗浄や保湿だけでなく、症状に合わせて塗り薬を使用するなど、スキンケアの指導と並行して治療を行っています。
日ごろからアンテナを張り、時代の流れについていくことが大事
それでも肌トラブルが起こってしまった場合は、症状が改善するよう手助けさせていただきますので、お気兼ねなく相談に来てほしいです。患者さまの改善したいという意思に寄り添って尽力いたします。