
金子 良恵先生(日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医)にインタビュー
より近い距離で患者さまをサポートできることが、開業医であることの魅力
また私は、皮膚リンパ腫の研究や、皮膚外科の専門的な手術などに興味があったのですが、結婚・出産などを考え、大学院には進まないという選択をとりました。その分、一般臨床経験を積むことができたこと、女性の患者さまに対しライフステージに寄り添った診療ができることは学びになったと感じています。
勤務医時代との違いは、より近い距離で患者さまのサポートができることです。患者さまの数が多い総合病院では、薬を3カ月分処方することなどは珍しくないのですが、今は「調子が悪いから一週間ごとに通います」と言ってくれる患者さまがいらっしゃったり、重症化した蕁麻疹の点滴治療のために毎日の通院をご提案したりと、より近い距離で患者さまを見守れます。
また、違いというわけではありませんが、近くの連携病院と信頼関係を築けているのはありがたいことだと感じています。「何かあったらすぐ受け入れますよ」とおっしゃっていただける医師の方々がいることで、必要に応じて専門医療機関をご紹介する際も、不安なくお任せすることができています。
専門知識を生かして検査・治療を行うとともに日常生活のアドバイスにも注力
当クリニックで大切にしているのは、患者さまのライフスタイルや治療に対するご希望などをお聞きし、その方に合った治療をご提供することです。アトピー性皮膚炎の悪化にはストレスの影響もあるため、急に悪化した方に対してはただお薬を処方するだけでなく、受験や就職といった生活の変化などをお聞きしています。
また、ステロイド薬に抵抗をお持ちの患者さまに対しては、ステロイド薬のご説明はもちろん、非ステロイド薬の処方も行います。日々のケアが大切なため、お薬の塗り方なども丁寧にお伝えしています。
治療に関しては、抗菌薬の処方のほか、生活におけるアドバイスにも力を入れています。「温泉やプールに行った後は、ご自宅でよく足を洗ってね」ということや、汗をかきやすい方には5本指ソックスで通気性をよくすることをご提案しています。また、スリッパは共用ではなく家族それぞれで分けるといったお話もするなど、症状改善だけでなく再発予防にもつながるご説明を心がけています。
治療の基本は、毛穴のつまりを改善する塗り薬と、アクネ菌の炎症に作用する抗生物質です。患者さま一人ひとりの症状の度合いや原因に合わせて処方しています。抗生物質を長く飲み続けることは、「耐性菌」と呼ばれる、薬が効かない菌の出現にもつながります。そのため、投与期間をできるだけ短くできるよう、食事や洗顔など日常生活においてのアドバイスも丁寧に行っています。また、毛穴にたまっている皮脂を押し出す「面皰圧出」という処置も行っています。ご自身でニキビをつぶしてしまうのは、炎症をひどくしてしまう恐れがありますので、ニキビが気になって触ってしまうという方はぜひご相談ください。
より良い治療をご提案できるよう、新しい治療法についての学びを深める
また、当クリニックでは診療の際は医療クラークの方に同席していただいています。医療クラークとは、医師の事務的作業をサポートするスタッフのことです。クラークさんに同席していただくことで、問診や施術内容をより詳細にカルテに記載できるようになり、お薬の処方も抜け漏れなく行えるようになります。そういった工夫をすることで、お越しになる方々の待ち時間短縮や治療の充実度アップにつなげていきたいと考えています。
「日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医」として、皮膚に特化した、専門知識を生かした診療をご提供いたします。