耳垢が湿っている5つの原因。体質?病気?膿がでたら中耳炎の可能性も
耳垢にはかさかさした「乾性耳垢」と、湿った「湿性耳垢」が存在します。湿性耳垢のことを、飴耳や猫耳と呼ぶこともあります。
どちらのタイプかは遺伝的に決まっており、ふだんから湿っているのであれば体質の問題であり、病的なものではありません。
体質以外に耳垢が湿る原因としては、日常生活や環境のほか、『外耳道炎』や『中耳炎』などの病気の可能性もあります。
この記事では、耳垢が湿っている原因や病気について解説していきます。
耳垢ってそもそも何?湿っている人は少ない?
1.耳垢は何からできている?
耳垢は、以下の3つが混ざり合ってできています。
- 外耳道の皮膚にある皮脂腺と耳垢腺からの分泌物
- 古い皮膚がはがれたもの
- ちり・ほこり
皮脂腺と耳垢腺は外耳道の外側(外耳道入口部)軟骨部に存在するため、耳垢は外耳道の外側で生成されます。
2.耳垢には個人差が!薄い黄色で乾燥している人が多い
日本人は約80%が「乾燥耳垢」といわれています。乾性耳垢は、量も多くなく自然と外へ排出されやすいとされています。
しかし、耳垢の量は個人差があります。
耳垢が湿る6つのケース
1.ふだんから耳垢が湿っている場合
湿性耳垢か乾性耳垢かは遺伝的に決まっており、日本人は乾性耳垢が多いです。世界的には湿性耳垢の方が多いといわれています。
2.水泳や入浴のあとに湿った耳垢がでる場合
水泳時や入浴時に、耳の中に水が入って耳垢に混じると、あとから湿った耳垢がでてくることがあります。
一過性の湿性耳垢であれば問題となることはまずないでしょう。
3.皮脂腺の分泌が活発になっている場合
耳の中にも皮脂腺があります。そのため、皮脂腺の分泌が活発になっている場合は耳垢も湿りやすくなります。
耳の中がべたべたしている場合は、臭いを発する場合もあります。
体質以外でも、ハードな運動をしてたくさん汗をかいた場合は、汗によって一時的に耳垢がしめることもあるでしょう。
4. 耳掃除をしすぎている場合
耳垢が湿っているのではなく、体液の場合も!
耳掃除のしすぎで炎症を起こしていると、耳の中が傷つきます。その傷を修復するために、「滲出液(しんしゅつえき)*1」がでてきます。さらに悪化すると細菌感染を起こし、膿に変わります。
*1:滲出液…白血球が多く含まれる透明の結晶成分です。
5.『外耳道炎』や『中耳炎』を発症している場合
以下の病気の場合は、耳垢が湿っていることにくわえ、悪臭を伴うことがあるので注意が必要です。
ほかに症状がでていないかをチェックして、病気か体質かを判断しましょう。
『外耳道炎』
外耳道が炎症を起こした場合、耳垢の湿りに伴い 、痛みやかゆみ、膿がでてくる「耳だれ」の症状があらわれることがあります。
ほとんどの場合、炎症が治まれば症状も治まってくるでしょう。
『中耳炎』
耳は外側から順に、外耳・中耳・内耳と3つにわかれています。
そのうち、中耳に炎症を起こすと、耳の痛みが出現します。鼓膜が破けると中耳に貯まっていた膿が耳からでてくることがあります。
耳から滲出液や膿がでてくることを「耳だれ」といいますが、耳だれを起こすと耳の中が湿ってきます。
中耳炎は、とくに乳幼児に多くみられる病気です。
湿った耳垢の対処法・注意点
1.お風呂のあとは、耳の中も水気をふきとりましょう
お風呂に入ったあとも耳が濡れたままだと、湿気で耳の中がジメジメとしてきます。また、雑菌が繁殖しやすくなるため臭いを感じることがあります。
ただし綿棒などの使用は外耳炎の原因となるため、入り口をそっとタオルで拭く程度で充分です。
2.イヤホンや補聴器をつける習慣がある人は要注意!
耳の中に湿気がこもると雑菌が繁殖…!
短時間であればとくに問題はありませんが、長時間の使用は、耳の中に湿気がこもりやすくなるため細菌やカビが増えやすい状態になります。
また、耳垢が外にでにくい状態になり溜まってしまうこともあります。
イヤホンや補聴器も清潔に保つことが大切です。
慢性中耳炎の可能性も!すぐに病院へ!
1.こんな場合は要注意!
耳から膿がでる耳だれは、かゆくなることもありますが、湿った耳垢と区別がつきにくいです。
急に耳垢が湿り始めたまま放っておくと、重大な病気を引き起こすこともあります。
そのため、異変を感じた場合は自己判断で耳を触らず、すみやかに耳鼻いんこう科を受診することが大切です。
湿った耳垢を耳鼻いんこう科で相談
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2. 慢性中耳炎の症状について
耳だれによって耳垢が湿っている場合は悪臭が!
『慢性中耳炎』の場合、鼓膜に慢性的に穴が開いており、時々もしくはつねに耳漏が続いてしまうことがあります。多くの場合、痛みはありませんが、悪臭がすることは多々あります。
難聴や鼓膜穿孔を引き起こします
耳だれのほか『難聴』や、難治性の耳漏が特徴的な症状としてあらわれます。
難聴の程度は、病気の型や進行度によって度合いがちがいますが、鼓膜の穿孔を閉じないと難聴の改善は望めません。
まとめ
1.急に耳垢が湿りだしたら要注意!「耳鼻いんこう科」へ
耳垢は、乾燥している場合が多いですが、体質によって耳垢が湿っている場合もあります。
ふだんからそのような場合は、とくに心配はいりませんが、『外耳道炎』や『中耳炎』など疑いがある場合、耳鼻いんこう科を受診することが大切です。
2.自己判断で湿り気をとらず、医師に相談を
自己判断で、耳がかゆいからと耳の中を掃除しすぎたり、ティッシュなどを詰め込んだりすると、症状が悪化することがあります。
耳の粘膜はとても薄く傷つきやすいため、悪化する前に早めに病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2009年に日本大学医学部を卒業。初期研修課程終了後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科へ入局。東京医科歯科大学付属病院や土浦協同病院などの市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。
2016年7月より医療法人社団則由会AGAヘアクリニックを院長として開院すると同時に水島耳鼻咽喉科副院長に就任。
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